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スタメン?ベンチ?選択と使い方。アマプラ×Netflix×Huluを分析でみえた強みとは?!

こんにちは。ライターのSakai Natsumiです。

突然ですが、筆者の自宅にはテレビがありません。
代わりにリビングの壁にプロジェクターを投影していて、(一応プロジェクターで地上波放送も流せるようにはなってはいるのですがほぼ使用していない)一日中VOD(動画配信サービス)の映画やアニメが流れています。

テレビ番組を見るとなると必然的に放送時間に縛られるので、それに合わせてこちらが動きますよね。
つまり主導権はあくまでも「テレビ」にあるわけですが、VODなら隙間時間に少しずつでも、真夜中でも、自分主体で自分の都合に合わせてみたいものをいつでもどこでもみられます。初めて利用した頃は、画期的すぎて感動したものです。

というわけで、私はテレビを見るとしたらスポーツの生中継や緊急のニュースをチェックするときくらいになりました。
皆さんの中にも、テレビをあまり見なくなりVODが生活の一部になった。という方が少なくないのではないでしょうか?

実際、VODサービスの利用者数は年々増え続けています。
コロナ禍による巣ごもり生活で更にその流れが加速したことは、みなさんも容易に想像がつくと思います。

Knowns BizにはAmazon Prime Videoをはじめ、Hulu、Tver、Abema、など計15のVODサービスのデータが集計されています。
今回は認知率上位3社のAmazon Prime Video(以下アマプラ)、Netflix、Huluに焦点を当てて、この分野を分析してみます。

アマプラにぞっこん。その秘密は

認知率は89.3%、満足度4.21と、どちらも非常に高く人気があります。
言わずもがな私もアマプラ会員です。元々Amazon(ショッピング)の"送料無料"サービスをメインで契約しましたが、今は動画見放題がメインと言っていいほど、その比重は変化しました。配信される動画も邦画、洋画、国内・海外ドラマ、ドキュメンタリー、アニメ、オリジナル作品など幅広く日に日に充実度を増している印象です。

Amazonプライムビデオの現在利用者のデモグラ構成比

年代分布のグラフを見ると、20-50代と幅広く利用者が分布しています。
会費が他のVODと比べて年間4900円(or月額500円)と安いので、「契約のハードルが低い」「認知率が高い」ことでVODのなかで一番始めやすいのがAmazonと言えます。
また、他のVODサービスに比べ若い世代の割合が多いのは、学割で半額の月250円で利用できることが、直接的に影響していそうです。

利用者の割合は性別と婚姻有無に関してはほぼ50%ずつ、子供有無においては多少"子供なし"の割合が高いです。

Amazonプライムビデオの現在利用者の声
Amazonプライムビデオ現在利用者の声

口コミを見ると、アマプラ限定配信の人気も根強いことがわかります。
バチェラーやドキュメンタルなどバラエティに限らず、ドラマや映画(洋・邦)なども数多くのオリジナル作品がみられます。

Amazonプライムビデオのブランドイメージ

アマプラのイメージ分析では、"コスパ・経済性"、"必要・ないと困る"、"優越感・ステイタス"の項目がVODサービス全体のイメージと比べると高く出ていて、動画配信以外にもプライム会員になるとできることがたくさんある点が結果に表れています。
他の項目も全体的に全て高いパーセンテージになっており、アマプラ自体の評価がとても高いと伺えます。

Amazon prime顧客の個人的価値観分析

ソシエタス分析でも、"損得判断家"や"倹約家"が上位にきており、ブランドイメージの"コスパ・経済性"と合致しています。

amazon prime 会員になるとできること

私は、消耗品(洗剤、おむつ、ミルク、ティッシュペーパー等)をAmazonで買っています。
「しまった!ストックが切れてたけどすぐにほしい!」というときでもPrime会員のお急ぎ便なら次の日には届くのでとても助かっています。

プライム会員になることで、動画配信以外にも送料無料や音楽配信、読書など様々なサービスが利用できる圧倒的コスパが、アマプラの1番の強みです。

ちなみに、わたしは今年Amazonの送料だけでも5390円得しています。それに加え会員限定セールや動画配信も利用しているので、年会費の4900円分は十分に元が取れています!嬉しいです!!

4.21という満足度のスコアも納得です。

amazon

7Journey分析に示されているように、現在利用している顧客の中でもロイヤル層(36.4%)が高いことがアマプラの満足度の高さの秘密とも言えます。

一度始めると"アマプラにぞっこん"現象があちこちで起きています。


テレビっ子はHuluっ子に

認知率は84.8%、満足度は3.82です。

Huluは日本のドラマやバラエティ(日テレ系)が多いのがその特徴です。月額1026円で過去のドラマやバラエティ番組に加え、見逃し配信、ドラマのアナザーストーリーなどを配信しています。

また、子あり家庭には子供向けコンテンツの豊富さが人気なようです。
おかあさんといっしょ、えいごであそぼなどEテレ系の配信は他のVODにはないコンテンツです。
子持ちの筆者としては、月額1000円ちょっとでアンパンマンを見ることができるのは本当にありがたいです。子供に見せておけば1時間くらいは静かにしていてくれます。

会費はアマプラに比べると少し高いですが、有料コンテンツもあるアマプラに対しHuluは追加料金なしで全てのサービスを利用できるシンプルな仕組みです。
この価格でフルHDの高画質も楽しむことができます。

Huluブランドイメージ①
Huluブランドイメージ②

次にイメージ分析をみてみます。
Huluならではというポイントは、"懐かしい・ノスタルジー"、"青春・甘酸っぱい"のイメージを持たれているところです。
ここには、過去の日本のドラマがたくさん見れる点が影響していると考えられます。

Hulu利用経験者の声
Hulu利用経験者の声

少し前述しましたが、Huluにもオリジナルコンテンツがたくさんあります。
放送中のドラマの続編をHulu独占配信したり、オリジナルドラマやバラエティ番組を制作したりしていますが、アマプラやNetflixのオリジナルコンテンツと違うのは、その多くが日本の俳優、芸人、アイドルなどが出演している点です。

海外作品よりも日本の芸能人やエンタメが好みのいわゆる"テレビっ子"の方は、Huluをはじめたら最後、沼ってしまうかもしれません。
会員数も増え続けており、"Huluっ子"増殖中です。

7Journey分析を見ると、潜在顧客の割合(63.2%)の高さに目が行きます。まだまだ新規獲得できる余地が多くある中で、離反層(14.2%)も一定数いることは留意したいポイントです。

「目当ての動画の配信が終わったら解約する。」このユーザーをどう引き止めるのか。または、解約する人もいれば新規契約する人もいる。というような入れ代わりスタイルを極めるのか。
このあたりのHuluの動向に注目したいですね。


伸びしろ大のNetflix

認知率は82.5%、満足度は4.17。満足度が全体の2位でとても高いです。

Netflix最大の特徴は「オリジナル作品」の数とクオリティです。
映画規模の製作費をかけた作品がたくさん配信されており、「ストレンジャーシングス」や「イカゲーム」「今際の国のアリス」など世界中で話題になるような作品が多くあります。
また、独占配信された「梨泰院クラス」や「愛の不時着」は社会現象を巻き起こし大きなブームとなりました。

オリジナル作品以外も、洋画、洋ドラマの配信にも力を入れており、海外作品ファンから人気を集めています。

Netflix現在利用者のデモグラ構成比

Knowns Bizの分析を見ると、女性が多いのがわかります。年代別に見ると、20-34歳の比較的若い世代に人気です。

Netfix顧客の個人的価値観分析
Netflix顧客の消費的価値観分析

ソシエタス分析に注目してみると、話題のオリジナルコンテンツや独占配信の韓国ドラマなど、"オンリーワン消費" や"プレミアム消費"の価値観とマッチしていると考えられます。
また、個人的価値にある"一徹凝り性"は、Netflixが推している"イッキ見したいドラマ"(ホームに、イッキ見したいドラマの特集欄があります。)にも合っていると言えます。

また、プランが3つあるのはアマプラやHuluにはない点です。料金によって登録できるデバイスの数や画質が異なります。
「家族や恋人とアカウントをシェアしたい」や「画質にこだわらずとにかく安く済ませたい」などニーズに合わせて使い方を選択できるのは嬉しいシステムですよね。

Netflixブランドイメージ①
Netflixブランドイメージ②

イメージ分析でもわかるように、VODの中でもNetflixには特に"話題の・流行っている"、"先進・テクノロジー"、"ハマる・依存する"や、"カッコいい・イケてる"、"カリスマ性がある"などのイメージを持っている人が多いという分析結果が出ています。

Netflix利用経験者の声
Netflix現在利用者の声

そこにしかない作品がとてもおもしろく世間で話題になると、「おや?じゃあ契約してみようかな?」と思うのはごく自然なことです。

"気になる心理"をフックに新規会員を獲得し、Netflixでしか見られないオンリーワン作品のクオリティで満足度を勝ち取るスタイルが定着している印象を受けます。

netflix

7Journeyでは積極的ロイヤル9.5%、消極的ロイヤル5.0%と合わせても15%に満たない結果になっており、アマプラ(36.4%)とは差があります。

一方潜在顧客が60.2.%と高く、また離反の割合は9.3%とアマプラ、Huluと比べても一番低いのがわかります。
まだまだ伸び代が期待できるコンテンツです。

まとめ:3社3様の顧客タイプ

アマプラ

  • 料金設定が低く、若い世代やVOD初心者もはじめやすいため20代前半から50代まで幅広いユーザーがいる

  • 動画配信以外のサービスも付帯しており、お得感が強い(コスパのよさ◎)

  • ロイヤル層の顧客が多い

Hulu

  • ドラマやバラエティの配信が充実しており40代以上の女性の支持が高い

  • 追加料金がかからないので安心感がある

  • "ノスタルジー"や"青春"のイメージがあり、ユーザーは愛着を持ちやすい

Netflix

  • クオリティの高いオリジナル作品で高い満足度を獲得している

  • "カリスマ性"や"カッコいい"など"ステイタス" や"憧れ"のようなイメージもある

  • 潜在顧客が多く、離反が少ない

ここで、ブランドスイッチ分析にも触れておきます。

HuluとNetflixはアマプラと併用している人が7割近くいると示されています。
アマプラの現在利用者は、TVer、Netflixとの併用している割合が30%前後となっています。
TVerは現在購買のランキングで全て3位以内にランクインしています。会員登録なし、会費なしで利用できるため併用しやすいことが理由に挙げられます。

VOD市場はどんどん拡大し続けており、実際には上記のようにひとり1社ではなく2社、3社利用している人も少なくありません。
自分の好みや使い方に合わせて、スタメンとベンチという使い方も賢い選択だと思います。


筆者のひとこと

正直、配信コンテンツ数が多ければ多いほどいいんだろうと安易に考えていましたが、記事を書き終わった今「思ったより差別化されているな」というのが率直な感想です。

確かに「ロゴ制作依頼する」というときに、どんなテイストでもどんなジャンルでも、ロゴならなんでも承ります!というところよりも、30代女性に刺さる大人かわいいロゴをつくります!というところの方がクオリティの信頼性がありますよね。
あ、VODもそういうことなんだな。と。

"ただいろいろ集めるだけ"ではなくてそのサービス自体のアイデンティティが問われていて、「沼らせる」ことが必要なのだと感じました。
つまり、新規を増やすことはもちろん大切ですが、獲得した顧客をどうとどまらせるか。が次の課題なのだと思うのです。
スタメンとベンチという使い方もあり。と言っておいてなんですが、それはあくまでも利用者側からの目線であって、提供者側はやはりスタメンを目指すべきなのかもしれません。

その点アマプラは結構強いな。とおもっていて、動画配信だけではない他のサービスも利用できて月額500円というのは他のVODにはなかなか真似できない領域です。個人的には動画をほぼ見なくても、送料無料だけで会員になる価値はあると思えます。
もはやスタメンにこだわらなくても良いという王者の余裕さえ感じます。
逆にHuluやNetflixでは、目当てのシリーズの配信が終了すると解約してしまうユーザーが確かにいて、スタメン争いorベンチ争いをしている印象です。

多くのVODが乱立する現代。
ここで白状しますが…アマプラ、Hulu、Netflix全て契約しているVODホリックの筆者としては、そのトップ3に上り詰めた三社の、今後の進化から目が離せません。

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