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日常に潜む非日常

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映画忘備録
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日常に潜む非日常⑪「ODDTAXI イン・ザ・ウッズ」

日常に潜む非日常⑪「ODDTAXI イン・ザ・ウッズ」

「私、運がいい方なんだ」
「奇遇だな 俺もだよ」

TVアニメ版は未履修だったけど気になってたタイトル「ODDTAXI」が劇場編集版として銀幕に帰ってきた。
劇場版としては新たなカット及び証言?が追加されていた模様。

動物たちの群像劇、という所はBEASTARSも好きだしあの爽やかボイスが売りの花江夏樹がオッサンの主人公を演じると聞いた時はどんな人選?とも思ったけど実際に見てみたらそんな考えは吹

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日常に潜む非日常⑩「全員死刑」

日常に潜む非日常⑩「全員死刑」

人生は小説より奇なり、という言葉がありますが
この映画の元となった事件はてんで下手な小説よりも、何ともまあ、考えれば考える程にお粗末な顛末でした。
行き当たりばったり、という言葉はこの事件のためにあるようなものですね。
TVドラマ「ニーチェ先生」などで有名になった間宮祥太朗像を色んな意味でぶち壊された初主演映画です。

「全員死刑」(2017)

借金を抱えたヤクザの父・テツジとヒステリックな母・

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日常に潜む非日常①「フリーキッチン」

日常に潜む非日常①「フリーキッチン」

皆さん、映画はお好きでしょうか。私は好きです。
いいですよね、映画。
今は少しお高めなランチ以下で登場人物の抱えきれないほどの幸福や不幸に転がり落ちていく様、誇り高いプライド、不器用な優しさなどを見れるんですから。
ランチの味は3日も経てば忘れますが、映画の味は3日どころか1年以上も忘れられなくなります。
それにね、映画に出てくる料理も美味しいんですよ。ただ手元にはないから食べられないだけなんです

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日常に潜む非日常②「コリアンタウン殺人事件」

日常に潜む非日常②「コリアンタウン殺人事件」

映画の中には色んなジャンルがある。それは音楽と同じくらいに。
ラブストーリー、ホラー、ミステリー、アニメ、コメディ、サスペンス。
最近の流行りは人気マンガの実写化か、感動の実話を謳うノンフィクションとか?
けれども今回各SNSで話題となっている映画「コリアタウン殺人事件」(2020)はそのどれにも当てはまらない。アマプラでもこのジャケットが一際異彩を放っていた。やばい、これ絶対怖いやつだ。本能がそ

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日常に潜む非日常③「マイリトルゴート」【追記:20/2/5】

日常に潜む非日常③「マイリトルゴート」【追記:20/2/5】

「子供たち、誰が来ても決してドアを開けてはなりませんよ。悪いオオカミが来て食べられてしまいますからね」

ヨーロッパの童話(大体グリム童話)に出てくる悪役は、大体オオカミだ。もちろんこれは悪い男をオオカミに擬態させたもの。
グリム童話が初めて世に出た時代は、飢饉の真っ只中。
中世の大人達は大体農作業に従事していて、子供だけが家に残り留守番をすることも少なくなかった。そしてその家を狙って強盗や性犯罪

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日常に潜む非日常④「ジェーン・ドウの解剖」

日常に潜む非日常④「ジェーン・ドウの解剖」

残留思念とは、超常現象、精神世界、スピリチュアリティなどで用いられる用語の一つで、人間が強く何かを思ったとき、その場所に残留するとされる思考、感情などの思念を指す。
(Wikipediaより)
オカルトホラーではよく聞く単語だろう。
人間が強く何かを思う時―――それらは大抵『恨み』や『妬み』『嫉み』になる。
「ジェーン・ドウの解剖」(2016)で解剖される事になるジェーン・ドウ(アメリカ版名無しの

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日常に潜む非日常⑤「TOO YOUNG  TO DIE! 若くして死ぬ」

日常に潜む非日常⑤「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」

死にたいと思ったことがありますか?学生時代はあまりいいものではなかった。それなりに地獄だった。でも、死にたいと思ったことがあるかと言われればノーだ。死んだら負けた気がしたから。

仲のいいクラスメイトも居なければ(居てもすぐ退学した)、特に輝かしい成績を残していた訳では無い。
学業よりも寧ろバイトに精を出していた。学校では時給は出ないが、バイトでは時給が出たのでそれは懸命に働いた。そこのバイト先で

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日常に潜む非日常⑥「BURN  THE WITCH」

日常に潜む非日常⑥「BURN THE WITCH」

久保帯人が還ってきたぞ!!!!!!!!!!お久しぶりです。
「BLEACH」連載終了後、「新サクラ大戦」のキャラデザを経てあのオサレ師匠が新作を引っ提げてジャンプに帰って来た。
読み切り時の煽りにはラブコメと言いつつ、しっかり久保帯人らしさを残したバトル漫画、そして最後のオチに非常に感動したのを覚えている。

期間限定に加え劇場が限られてるのでこりゃららぽーととかデカいとこまで出ないと観られないか

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日常に潜む非日常⑦「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」

日常に潜む非日常⑦「劇場版鬼滅の刃 無限列車編」

この物語は『炎柱』煉獄杏寿郎の物語である。

原作開始時から鬼滅の刃を読んでいた身としては、まさかこんなにこの作品が流行るとは思わなかった。

世の中は鬼滅フィーバー、パチモノのプライズ景品、柄を模したアクセサリーをよく見かけるし、売れている。
ちびっ子にも大きい大人にも人気である。
正直第1話は見ててめちゃくちゃ辛気臭い展開にあまりにも希望がなく「これ3巻くらいで終わりそうだけど人気出るかな??

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日常に潜む非日常⑧「グッドバイ 嘘から始まる人生喜劇」

日常に潜む非日常⑧「グッドバイ 嘘から始まる人生喜劇」

人生はその人が主役の舞台であり、世界は常に誰かの悲劇と喜劇で成り立っている。

「グッドバイ 嘘から始まる人生喜劇(2020)」

「斜陽」「走れメロス」「人間失格」で有名な太宰治の遺作をケラリーノ・サンドロヴィッチが独自の視点で戯曲化、ヒロインのキヌ子を舞台版でも演じた小池栄子が続投するなど話題になった。
原稿は13話迄書かれていて、一応文庫も発刊されているのだが、執筆途中に太宰が愛人と入水心

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日常に潜む非日常⑨「パラサイト 半地下の家族」

日常に潜む非日常⑨「パラサイト 半地下の家族」

韓国にこんな諺がある。

「幸せは分け合えば倍増し、不幸は分け合えば半減する」ドイツの詩人・シラーは幸福ではなく友情で例えたが、なるほど、これも一理ある。日本では幸福を分けるという考え方は貴重なのではないだろうか。情けは人の為ならず、辺りか。でも日本では何方かと言うと陰口を言って不幸を分け合っている方が多い気がする。

他人の不幸ほど自分の無駄なプライドや劣等感を覆い隠す蜜は無い。

「パラサイト

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