日常に潜む非日常④「ジェーン・ドウの解剖」
残留思念とは、超常現象、精神世界、スピリチュアリティなどで用いられる用語の一つで、人間が強く何かを思ったとき、その場所に残留するとされる思考、感情などの思念を指す。
(Wikipediaより)
オカルトホラーではよく聞く単語だろう。
人間が強く何かを思う時―――それらは大抵『恨み』や『妬み』『嫉み』になる。
「ジェーン・ドウの解剖」(2016)で解剖される事になるジェーン・ドウ(アメリカ版名無しの権兵衛ことジョン・ドウの女性名)も、この残留思念によって”死にながら”生きていたのかもしれない。
アメリカ・バージニア州。
遺体安置所兼火葬場を営む検死官トミー・ティルディンとオースティン親子の元に、保安官から緊急で遺体が運び込まれる。一家四人が惨殺された家の地下に埋まっていた身元不明の全裸の女性死体、通称「ジェーン・ドウ」だった。
早速検死解剖に入るティルディン親子。しかしジェーン・ドウの遺体には謎が多すぎた。
パッと見とても派手な損傷もなく、死後硬直や死斑、腐敗もない綺麗な死体であるにも関わらず手足の関節が折られており、舌は切り取られ、腟内はズタズタ、執刀時には滅多に見られない出血、肺は黒く変色し、しまいには抜いた歯を布で包んで飲まさせられたのでは?という不可解な臓器損傷原因が出てくる。
そして、ジェーン・ドウが運び込まれた際に近付いてきた嵐がティルディン遺体安置所を密室にし、解剖を進めていく彼らに奇妙な現象が襲う……。
解剖シーンはとても面白かった、ストーリーもジェーン・ドウの正体が暴かれるまでは悪くなかった。
少し残念に思ったのは
力業でオカルトを全面的に出してきたところだろうか
流石アメリカ。カーチェイスと爆発とヒーロー物が大好きな国。完全に失念していた。そして見たのを少し失敗したと思った。
これホラーじゃなくてオカルトじゃん。
オカルトと言えば「エクソシスト」が1番有名だろう。悪霊に取り憑かれた少女を悪霊祓いを生業とするエクソシストが救う為、悪霊と戦う映画なのだが
私こういうのダメだったんでした。
怖いとかそういう意味でなく、海外の番組でやっていた悪魔祓いモノがものすごくチープな作りだったから。
ルシファーとか上級悪魔がそんな気まぐれに人間の体乗っとる????悪魔舐めてんのか?????
それ以来、オカルト系は少し冷めた目線で見てしまうためにオカルトはなるべく控えているのだが、久々に引き当ててしまった。
主人公親子が検視官のため、主な舞台は解剖部屋になる。
前述の通り内臓を見るため遺体にメスを入れたり肺を見るため肋骨を折ったり、脳の損傷を調べるため脳みそを取り出したりと中々にグロテスクなシーンがかなりあるため、そういうのが苦手な方はまず見るのはやめるべきだと思う。
ただそれ以上に内蔵がかなりリアリティ溢れる精巧な作りになっている。
そして親子の会話術もテンポがよく見やすかった。かなり簡潔で検死に縁のない視聴者にも分かりやすい。
首を伝う薄気味悪さとグロさ、胸をザワつかせる不安さは結構見応えがあるのでその辺が大丈夫な方は是非ご鑑賞を。
「なあベイビー、もうしないって」
ラストシーン、大学病院に検死対象として回されることとなったジェーン・ドウに対してアフリカ系ドライバーが言ったセリフ。
残留思念によって死にながら生かされている彼女が求めているのは、永遠の安息か、それとも―――
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