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【ネタバレ】ヴァルディミール・ヨハンソン『LAMB / ラム』羊をめぐるお伽噺

カンヌ映画祭ある視点部門で話題となった後、A24が北米配給を買い付けた作品。プロデューサーにタル・ベーラがクレジットされている。アイスランドの草原に暮らす羊飼い夫婦を中心にしたある種の寓話であり、ちょうど東京国際映画祭で同じ日に観たアンドレア・アーノルド『牛』とマヌエル・マルティン・クエンカ『ザ・ドーター』を融合したような作品になっていて感動した。前者は乳牛目線で搾取的な"労働"を描いた作品、後者は他人が産んだ子供を自分のものとするために悪事に手を染める夫婦を描いた作品である。本作品では羊が左腕と顔以外人間で該当部分が羊という生物を産み、マリアとイングヴァル夫婦はその子供を"人間"として扱うが、産みの親である羊はそれを許さない。だが、そこからの話は"子供を守るために親たちは残虐なことでもする"という予想通りすぎる展開を迎えて萎える。イングヴァルの弟ペトゥルが加わって夫婦を加えた三人の過去が暗示されるのも邪魔(多くの人が短編から長編に引き伸ばすために水増ししただけと予想)。単調で面白味のないロングショットを"自然が綺麗でしょ?"と挿入するのもバカっぽい。それっぽい映像を並べて"はい考察してね"という餌やりみたいな感じは家畜と人間との関係性に似ているのかもしれない。マジで1秒たりとも面白くなかった。

羊人間について、公式トレーラーでネタバレがされているんだが、念の為【ネタバレ】表記にしました。

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・作品データ

原題:Dýrið
上映時間:107分
監督:Valdimar Jóhannsson
製作:2021年(アイスランド, ポーランド, スウェーデン)

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