20231125

 岡山在住の知人が上京するタイミングで、関東の文芸仲間が彼女を囲む会を企画してくれた。あいにく仕事で二時間近く遅れて行ったのだが、とても楽しい時間を過ごせた。御嶽山駅近くの「マルカフェ」でコース料理に舌鼓を打ちながらいろいろなことを話した。彼女とは小川洋子読書会などでオンラインではよく話す間柄なのだが、この日に初めて対面で会うことができた。ZOOMで顔も見ていたのだが、やはり実際に会うのとでは全然印象が変わるということを改めて体感した。この体験はけっこう面白い気がする。つまり、パソコンやスマホの画面を通した視覚効果を認識することと、実際に身体が同じ時間と空間にいる状態で認識するのでは認識することに対して差異が生じるということを「経験」したということだ。ちょうど、竹田青嗣『はじめてのカント『純粋理性批判』』(講談社現代新書)を読んでいたところなので、アプリオリに人間が認識する「時間と空間」がいかに大事なのか、改めて体感できた気がした。そういうことを考えるに至ったのだ。
 ここでは初めて五ヶ月の子犬「ごま」ちゃんにも会うことができた。TL上で唯一の癒し的存在である彼の身体はとても小さく、アンバランスに動く尻尾の動きがとても愛らしかった。その身体を両腕で抱えることで、わたしたちの両親もかつて、わたしという吹けば消えそうな心もとない身体を抱えて育ててくれたのだろうか、と思いを馳せた。恐らくそれは万人に共通する感覚でもあるだろう。そう思うと、今ガザで起こっていることの不条理を到底受け入れることはできない。皮肉にもこの日から停戦が始まったが、四日後にはもとの惨劇が繰り返される。なんとかそれを食い止めてほしい。

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