高松。
午前7時。紫外線が強すぎる朝だった。
電車待ちのサラリーマンに紛れて、僕はぶっかけうどんを食べていた。
つまり高松にいたわけである。
僕みたいな人間は思い立って一人旅に出るのが何かと気に入っている。
知らない土地に行き、知らない駅で降り、歩く……知らない何かを探しに行く事に、この上なく好奇心をくすぐられる。
今回のDestinationが高松だったわけじゃなく、僕の好奇心のdirectionがたまたま高松だった。
そんなわけで、街中をゆっくり進む琴電に乗り、栗林公園を巡った後、仏生山という駅で降りてみた。
交差点から神社まで、「お成り街道」を歩く。街道沿いには江戸から明治時代にかけて建てられた家が、当時の面影を残して建っている。
この辺りは言うまでもなく、生駒、松平家が統治していた高松藩の中心地である。
小鳥の囀り、木々がゆっくり靡く音、僕一人だけの足音…
緑と太陽の空間の中で、時間だけがゆっくり過ぎてゆく。
自然の中に、いにしえの風情がそこにはあった。
そんな事を細々と考えながら、仏生山の温泉に浸かり、高松でうどんと酒を嗜んで帰った。
ニコバーの皆さん、本当ありがとう。
帰りのバスで、カーテンを少し開けてみた。
瀬戸大橋から見える高松のネオンに、僕はそっと、別れを告げた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?