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Ibiza Cafe del Marへ行く

突然ですがCafé del Mar(カフェデルマール)をご存知だろうか。スペインのイビザ島に位置するカフェ・バーの名前っであり、40年近く続くコンピレーション音楽アルバムの名前。Café del Marはチルアウトという音楽ジャンルを確立。知らない人は一切知らないだろうけれども、私が20年以上愛してやまないこのCafé del Marへ実際に行き、Café del Marを体験してきたので少し知ってほしいと思い記事をまとめた。


スペイン・イビザ島のCafe del mar
40年近く続くコンピレーションアルバムCafé del Mar
写真はSpotifyでも聞ける
Cafe del mar Essentials vol.1~vol.2

Café del Marとの出会い

私とCafé del Marとの出会いは2000年初頭。まだまだCD全盛期のころでインターネットもようやく普及してきたという時代だった。ダウンロードに関しても法整備が進んでいない状態で多くのMP3などのファイルが出回っていた事があった。その時にたまたま聞いたMP3ファイルの音楽がCafé del Marだった。出会いとは不思議なものだ。その出会いからすべてのCDを手にし、20年近くが経ってもまだCafé del Marがそばにいるから不思議だ。

その時出会いの曲は未だに覚えている。Alex NeriのAsiaという一曲。便利な時代になったもので今ではもうSpotifyで無料で聞ける。

2000年初頭には手にしたMP3で音楽が聞けたとしても、その音楽が一体どのようバックグラウンドなどまだまだ知る余地もなかった。2000年初頭にCafé del Marの音楽を聞こうと思ったらCDをインポートするしかなかった時代。そんな時代での音楽との出会いは大きいものだった。

私は高校生の頃から未だに音楽を制作しているのだが、当時、自分の作る音楽がCafé del Marの音楽と似ていて驚いたこともCafé del Marに親近感を覚える理由。これは自分が作ったのじゃないのか?と思うくらいのものが時々Café del Marのアルバムに収録されていて更に驚く。Café del Marというのはリラックスするという意味に近い"チルアウト"という音楽ジャンルを確立したと言われている。このチルアウトという言葉も知らなかったが作った音楽が"チルアウト"だったという驚き。生き別れの兄弟に出会ったような親近感がCafé del Marにあったと思う。Café del Marを知ったころから、いつかはイビザ島にあるCafé del Marに行きたいという気持ちがずっとあった。

※ Café del Marやチルアウトを知らないときに作った自分の音楽。「in mind」Spotifyでも聞けます。

そもそもイビザとは

このCafé del Marのあるイビザ島というのはスペインはバレンシア海に浮かぶ島。この島は世界のパリピが集まる音楽の島と言われている島でハウス・ダンスミュージックの聖地とも言われている場所。「パリピの島」という響きでイビザを知っている方も多いのではないだろうか。このイビザの全てがパリピの島ではないのであるが、特に島の北西部のサンアントニオ方面には数え切れないくらいのクラブが立ち並び、小型の遊園地もあり休みなく毎日パーティーが行われていてパリピの町とも言えるかもしれない。

Google Earthでのイビザ島の場所

ヒッピーの聖地としてのイビザ島

このイビザ島がパリピの島として知られるようになったのは戦後のヨーロッパにおけるヒッピーの聖地の中心だったことに由来する。その背景としてはゲルニカなどでも知られる1936年から1975年までスペインを統治したフランシスコ・フランコ政権の政治弾圧からの避難所であったこと。そしてこの時期に勃発したベトナム戦争なども重なりアメリカのヒッピーたちもこのイビザに移住したこともその要因。スペイン、アメリカの政治を背景としてヒッピーの聖地となったといえる。奇しくも1975年という年はスペインの独裁政権を主導したフランコの死去、そしてベトナム戦争の終戦、後に登場するホセがイビザに移住したのもこの1975年だった。ヒッピーたちにとってイビザの平和な田舎のライフスタイル、そして当時イビザの安い家賃がヒッピーの定着を後押ししたのかもしれない。

バレアリックビーツ

1980年代終わりからBalearic Beat(バレアリック)とよばれるダンス音楽スタイルがイビザで生まれるのだが、このバレアリックビーツがイビザの音楽の肝と言って良い。このビートがヨーロッパ中に広がり音楽の島イビザとして確立。このバレアリックビートはイビザのナイトクラブ「アムネジア」(1976年オープン) にてアルゼンチン出身のDJアルフレッドが生み出したと言われており「バレアリックの父」と呼ばれている。このイビザで生まれたバレアリックビーツをベースに多くの音楽が同じイビザ生まれているのであるが、その中でも軍を抜いて有名なのが今回紹介する「Café del Mar」だ。このCafé del Marは日本でもよく聞くようになった「チルアウト」という音楽を確立した。

Café del Mar (カフェデルマール)とは

このCafé del Marというのはブランド名で使われていて、大体は2つのいずれかのことを指す。1つはバーの名前。2つ目は音楽アルバムの名前の事を言うのだが少し説明をしておく。

音楽としてのCafé del Mar

Cafe del mar Essentials vol.1~vol.2

Café del Marの設立は1980年。イビザ島のサン・アントニオ・バドルの海の見える最高の場所にバーとしてオープン。このCafé del Marというのは直訳すると「海のカフェ」と日本のどこにでもあるような名前なのだが、実際のところ海の見えるカフェよりも「夕日のバー」のほうが正しいかもしれない。というのはCafé del Marはサンセットをテーマにしていることが大きな特徴なのだ。Café del Marから見る夕日に合う音楽をピックアップして制作したコンピレーション・アルバム「Café del Mar」が世界的に有名になる。このアルバムを制作したのは伝説のDJ ホセ・パディヤ。残念ながら彼は2020年に他界してしまったのだが、彼の功績はCafé del Marを、イビザを更に世界的に有名なものにしたのではないかと思う。私もこのCafé del Marを知ったのは彼が制作したアルバムに触れたためだ。

ホセ・パディヤは1975年にイビザに移住。奇しくもこの1975年はスペインの独裁政権を築いたサンフランシスコ・フランコの死、ベトナム戦争終結が重なる年でもある。その後、1991年にCafé del MarのDJとして活動し始め、1994年にCafé del Marのコンピレーションアルバムの発売を開始。このアルバムが日本でもよく聞くようになった「チルアウトミュージック」という分野を確立する。ちなみにホセが手掛けたCafé del Marのアルバムは1〜6まで。

  • Café del Mar, Vol 1 - 1993発売

  • Café del Mar, Vol 2 - 1994発売

  • Café del Mar, Vol 3 - 1995発売

  • Café del Mar, Vol 4 - 1996発売

  • Café del Mar, Vol 5 - 1997発売

  • Café del Mar, Vol 6 - 1999発売

残念ながらホセが手掛けたCafé del Marの初期のものはSpotifyですべてを再生はできないがCafé del Mar Essentials (Collection)としてよりすぐりの曲を再生することができる。

このCafé del Marは現在もリリースは続けられており、最新はCafé del Mar Vol.29 (2023年9月時点)

また、Café del Marは様々なコンピレーションがシリーズとしてリリースされている。Aria、Chillout Mix、Chill House、DreamsなどがあるのだがホセのReactリリースなども合わせるとかなりの数があると思う。そして特筆したいのがCafé del Marに収録されている音楽は「夕日をより美しく見るように選ばれた音楽」であるということだ。

バーとしてのCafé del Mar

2023年6月のCafe Del Mar

一般的にCafé del Marへ行くというとスペインのイビザ島にあるCafé del Marを指すのだが、私も長年知らなかったのだがこのCafé del Marはイビザのみならず世界に数件のバーを経営していた。イビザ、マルタ(マルタ共和国)、テネリフェ(西アフリカ)、プーケット(タイ)、メロネラス(スペイン領) などがあるようだ。

Cafe Del MarのWebサイトにあるバー一覧

アジアはタイにもあることを知って驚いている。近いところにあるじゃないか。写真などでプーケットのCafé del Marを見る限りイビザと全然イメージが違っていた。

今回はスペインのイビザにあるCafé del Marに実際に行ってきたのでどのような場所なのか、細かいところもチェックしてきたのでその内容をお伝えしたい。

スペイン・イビザ島「Café del Mar」へ行く

日本からイビザへ行くにはとにかく時間がかかる。地球の裏ですからそりゃ時間がかかります。日本からヨーロッパまで片道12時間以上。チケットの価格でいうと往復20万円くらい。しかし、幸いなことにイビザには空港がありヨーロッパのどこかにたどり着けばヨーロッパのどこからも数時間で到着する。フランスのオルリー空港からは2時間、バルセロナ空港からは1時間でイビザに到着。

ただしバカンスの6月〜8月などはとにかくチケットが高い。閑散期だとヨーロッパの各地からイビザ往復1万円くらいの航空チケットが5万円くらいで販売されている。私がイビザへ行ったときは6月のハイプライスの時期で、バルセロナから泣く泣くフェリーを使って移動した。片道8時間近く要したのであるが通常1万円のところを5万円かけて飛行機に乗るほどの余裕はない。

ここからは実際にバルセロナからイビザへ行った話。

バルセロナ港「Baleària Barcelona」フェリーでイビザへ

バルセロナフェリーターミナルは地下鉄駅も近くにありアクセスは結構便利だった。今回利用したフェリーは「Baleària Barcelona」バルセロナからはこのBaleàriaでイビザへ行くことになる。超繁忙期の価格だが往復で15,000円/人くらいだったと思う。これが安いと思ってしまうくらい繁忙期はどこも高いのだ。

フェリーはどこも搭乗の30分前にはカウンターで待つ必要がある。日本も大体30分前って書いてあった気が。

Webで予約したチケットをフェリターミナルで受け取る
バルセロナフェリーターミナル
船内はかなり広く食事も充実のBaleària Barcelona
このシートで8時間すごす。インターネット回線なし。
Baleària Barcelonaの船内の食事はかなり満足度が高い
9ユーロでかなりの量。日本人は2人でシェアしないと無理。

イビザ島フェリーターミナルからサン・アントニオ・アバドまで

8時間の乗船ののち、ようやくイビザ島が見えてきた。バルセロナは夜の出港、イビザ朝の到着です。朝焼けがとてもきれいだった。この島が目指していたイビザ島か。ここでチルアウトが生まれたのかと様々な思いが頭を巡った。

8時間の乗車の末ようやく見えてきたイビザ島

イビザは島といえど結構広く、クラブなどが立ち並んでいるのがサン・アントニオ・アバドです。バルセロナのフェリーが到着する場所の真逆がサン・アントニオ・アバド。この移動がけっこう大変です。

フェリーターミナルからタクシーでバス乗り場まで。イビザのバスは観光客には現金での支払が基本です。乗車のときに目的地を告げて現金を払うスペイン語が苦手な方にはとても過酷な仕組みです。

タクシー:フェリー降り場→バス乗り場まで。
15ユーロくらいだった。
バス乗り場。ここからL3のバスでサンアントニオまで。
車内での支払いは現金のみでした(2023年7月現在)

サン・アントニオ・アバド到着からCafe Del Marへ行く

サン・アントニオ・アバドのバス停からCafe Del Marへは徒歩で行くのですが思ったよりも距離はあるのですが、それも楽しみの一つです。

サン・アントニオ・アバドのバス停
真っ白な壁が多い
バス停からは路地裏を通ってCafe Del Marへ向かう
途中でアイスクリームをいただく。
アイスクリームのクオリティはどこも高い。

Café del Mar到着

Café del Marの看板が見えてきたときは感動した
Cafe Del Marの入り口の看板。これはファンならすぐに気がつくマーブル模様。

Cafe Del Marに到着し、裏の入り口から入ったのだが入り口にあったCafe Del Marの看板。これはファンならすぐに気がつく。Cafe del mar vol.16のジャケットだと。

Spotifyでもこのアルバムが聞ける

Cafe Del Marの裏にはお土産売り場が併設されているということを現場へ行って初めて知った。これには感動。この感動はファンにしかわからないだろう。

服からCD、キーホルダーなど販売
完全にマニアにしかわからないCafe Del Mar Tシャツ
もちろんCDも販売されていたが、最近はもうCDで音楽を聞く人のほうが少ない。
お土産売り場を抜けて意味に面した方へ向かうとバーが現れる

Cafe Del Marの営業時間は16:30〜25:30の営業。朝早く行っても営業はしていません。基本夕方の夕日の時間にめがけて営業が始まります。今からCafe Del Marへ行くのだと現地の人に話をすると必ず言われるのは「良い夕日を」と。

Cafe Del Marを海側からみた写真。建物の上にはイラストが。
Cafe Del Marの隣にはMAMBOが。
Cafe Del Marとはまた違った戦略でバー営業をしている。
建物の下は海岸線となっていて誰でも降りることができる
建物の前の道路を一本挟んだエリアもCafe Del Mar 
日本人は全くおらず映画の中に迷い込んだ感覚だった
Cafe Del Marの母屋の隣に隣接しているバー
こちらもファンが観るとすぐに分かる
天井のシャンデリアですぐにジャケットが思い出す

Cafe Del Marオタクとしたらもはやこの場所は夢のような場所だということに気が付く。何もかもが自分の記憶のなかのものと結びつくから恐ろしいものです。

Cafe Del Marの夕日

そしてCafe Del Marで観る最高の夕日を向かえます。ヨーロッパの夜は長く、6月の日没はほぼ9時PMでした。

船から見る夕日ツアーもありました

最高の夕日に送る拍手

夕日が沈む時、その美しい夕日に多くの人が拍手を送る。こんな文化は少なくとも日本には無い。ただ黙って夕日を見る。このイビザの地では夕日に拍手を送りその美しさを称える。日本とはまた表現の仕方が違うだけかもしれない。

日没とともに変わるCafe Del Mar

日没後に一瞬として雰囲気が変わる
日没と同時に赤いライトが灯る

これからCafe Del Marへ行く人のために

熱くCafe Del Marについて語ってきたが、Cafe Del Marの席の予約方法など意外とわかりにくいので少しその話をしておく(スペイン・イビザに限定)。Cafe Del Marは予約がなくとも入ることができるが、予約がないと座れないと思ったほうが良い。

Webで予約するのであるが先ずこちらにアクセス(スペイン・イビザ)。

人数や日付の入力は問題はないと思うのであるが、問題は次の画面だ。

4つの選択肢がある。しかも値段が書かれている。席料なのか?どの場所なのか?まじでわからない。

だれも書いていないのでしっかりと説明しておく。まず席であるが下記の場所に名前が違う。
・1番海に近い=Seafront terrace in first row. 70ユーロ
・2番めに海に近い=Seafront Terrace 2nd row. 50ユーロ
・道路を挟んで海に近い=TERRAZA DEL BAR 30ユーロ
・最も海に遠いがクッションシート=LOUNGE 70ユーロ

席の場所はこの図で理解いただけるだろう。次にここに書かれている値段だ。

私はTERRAZA DEL BAR 30ユーロで予約していったのだが、これは最低限30ユーロ使えという意味で良いと思う。現場に現れなかったりするとデポジットとしてお金取るからな、の意味だと思われます。※間違いがあればお知らせください。

Cafe Del Marのバーメニューだが、テーブルのQRコードでメニュー閲覧となっている。上記からメニューが見れるが、結構高い。

Cafe Del Marのシグネイチャーカクテル
18ユーロ x 2 = 36ユーロ (5,500円)
Pata De Pulpo / Octopus Leg 32ユーロ(5,000円)

あっという間に一人30ユーロは超えるので予約して行きましょう。

イビザ島での宿選びだが、まず、一人一泊1万円は必ず超えるということを理解しておこう。ヨーロッパ全体高いのだが(2023年6月)イビザのサンアントニオアバド周辺は更に高い。一人一泊2万円と考えておくと良いかもしれない。何箇所かホテルをピックアップしておくが全部宿泊したわけではない。宿泊したホテル、歩きながらここ良さそうだなと言うホテルを載せておく。

宿泊するにはサンアントニオアバド周辺が確かに良い。ちょっと離れてもバスに乗る自信があれば離れたところで良い。毎日クラブで騒ぎたいと言うのであればサンアントニオだ。

イビザのクラブ入場チケット表

あとは最後にイビザのクラブの入場料一覧を掲載しておく。これはCafe Del Marは一切関係ないのだが、相場感を知るにもとても良いかもしれない。

最後に

いかがだったでしょうか。ここまで誰の役に立つのだろうか?単なる自己満足だなと思いながらCafe Del Marの歩き方をまとめました。私が高校生の時から行きたいと思っていたCafe Del Marへバルセロナからフェリーで行けたのは私の人生のなかでも大きな体験だったと思います。チルアウトという言葉を知ったときからCafe Del Marが近くにいた。実際に行ったCafe Del Marのあらゆる場所がCDのジャケットと重なり、夕日を眺め、その夕日に拍手を送る人を見てさらにこの場所が好きになってしまった。

日本ではリラックスするという意味合いで「チルアウト」という言葉が多用されるようになり、音楽でも日本人が作るチルアウトミュージックが増えてきたようにも思う。私が実際にこのCafe Del Marを訪れて思ったのは自分本場へ行かずに描いていたチルアウトは本物と結構かけ離れていたということだった。かけ離れていた点は「陰」ではなく「陽」だったということ、もう一つは思った以上に「パワフル」であったということだ。日本人はアメリカ人やヨーロッパ人に比べて体が小さい。その差がパワフルというイメージに結びついたのかもしれないが、リラックスという意味合いとチルアウトの違いはその辺りに違いがあるのではないかと感じた。感じることが非常に多くあった。毎年イビザでチルアウトできるようになりたい。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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