未来2024年7月号詠草 『芝居がかった水のふるまい』
未来2024年7月号詠草 『芝居がかった水のふるまい』 風野瑞人
真夜中のひかりに浮かぶ水槽のネオンテトラのアリアに聴き入る
雨乞いのこころやるせなく一枚のガラスで癒す 滴はレプリカ
点描の景色を留めるまぶしさの神経組織の求める潤い
眼を閉じて満ちる涙の記憶するトリコロールの自由の対価
封印をされた遊具の公園で水滴だけが時間を語る
泣かないで 鎖骨のくぼみで受けとめるティアドロップもいつかは乾く
球体のなかにぽつんと残された液体みたい ダンス、ダンス
不器用な彗星のように消えてゆく芝居がかった水のふるまい
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