未来詠草2024年8月号『明日は来るの』
未来詠草2024年8月号 『明日は来るの』 風野瑞人
壁に触れその手ざわりの頼りなさ つながる穴がまだ見つからない
浮いていることばをたずさえ静寂がくる やみくもにピアノを叩く
地獄でもひとりじゃないなら絶え間ない仕打ちをすべて受けてたっていい
いたずらに吹き飛ばされる真夜中のケサランパサラン そんな欲望
絶望に刃をあててみる暗闇のとぎれとぎれの眠りの合間に
凪いでいるプルシャンブルーの海面のような夢なら何度でも見たい
天井のしみを星座になぞらえて明日は来るのそれとも来ないの
目覚めるときっと世界は透けていて水母が息をしているだろう
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