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ほかの書き手さんのnote記事で面白かったもの。 その記事に対する私の感想記事も。
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#エッセイ

寝てる場合じゃなかった

荒川静香さんのイナバウアーで一斉を風靡した曲、トゥーランドット(誰も寝てはならぬ)。 ドイツのバイエルン国立歌劇場で観劇したオペラは、ドイツ語上映・英語字幕だったので、残念ながら全くストーリーが分からなかった。 それでも、劇中にあの名曲を生で聴いた感動は忘れられない。 3年前、友人のつぼみん(仮名)と2人で行ったドイツ旅行で、オペラ観劇のほか、観光、グルメ、ショッピングなど、全力で堪能していた。 つぼみんの憧れのブランド、RIMOWAは、ドイツ発祥だ。 わたしは全く知

大きく #お花の定期便

高校、大学と、女子サッカーをやっていた。遠い昔のことだ。今ではもう全然走れないし、勘も鈍っている、というか勘など消え失せている。共にボールを追いかけた仲間ともいつしか疎遠になり、年賀状で家族が増えたことを知る。 夜を照らすグラウンドのライトや、真夏の朝練で吸い込む澄んだ空気、雨の日の筋トレ、イヤホンを片耳ずつはめる遠征のバスの中、お喋りが花咲く合宿所の夜。すべて、遠い遠い昔のことだ。 先日、全国高校サッカー選手権大会が行われた。青森県出身の私は代表校の試合を録画し何度か繰り

気持ちは世界を変える。

先日、娘の持久走大会があった。 普段見られない娘の真剣な表情と一生懸命に走る姿はなんとも感動的で、当事者ではない今、娘には悪いがひっそりと楽しみな行事だ。 私は知っている。足が遅い人間にとって、持久走大会は運動会と並んで学生生活の中の苦行であることを。 数字は自信を与えたり奪ったりしながら、時に人生を大きく左右する。 なんでも大会にして、順位をつけやがって。 オリンピックみたいに得意な人達だけが参加するシステムになればいいのに。 最下位争い。ゴールを前に瀕死の心身に向けられ

「真実」を自分の中で「虚構」に変えて言葉にする。

私がライターとして仕事の文章を書く時に心がけていること、信条としていることが2つある。 1.消しゴムで書け これはライターになる前に、元新聞記者だという方に教わった言葉だ。 ペンじゃなく消しゴムで書く? 頭に「???」が浮かびそうな言葉だが、たとえば1000字の原稿を書く時に、1000字分の情報を集めて文字を埋めていくのではなく、それよりもっと多くの情報を取材で集めて、不必要なものを削っていく、ということだ。 集めた情報はどれも大事だと思っても、その中で取捨選択をする

エッセイ 『平べえ』

 小学校二年生、という言葉の響きが、いまもどこかヒマワリのように明るく、楽しい時代のように私の心で弾むのは、そこに平べえがいたからだった。  あれから三十年以上も経った、この場所から振り返るとそれがとてもよく分かる。平べえのことが、私は好きだった。親にも見せたことのない、支離滅裂な絵本を「見てもいいよ」と渡したのも、まるで友達のように話しかけたのも、そしていまでもその分厚い眼鏡の奥の小さな目を、焼けた肌の色を、男の人にしては少し高めの声をありありと思い出すことができるのも、

【他者の記事の感想】胸が熱くなる体験記。

「GENCOS|ドイツパン修行録」氏の作品が面白かったので紹介します。 ノンフィクションだそうです。恐れ入りました。面白いというか、それを通り越して筆者に対し憧れや尊敬の念を抱きました。 単に異業種への挑戦ということであれば、二十代なら珍しくない話でしょう。 しかし、修行の場を異国に設定し、語学もイチからの習得となれば話は別です。 私がパン職人を目指したとして、ドイツのパンに憧れていたとしても、ドイツまで行って修行しようとは絶対に思えない。行動できない。 パン職人に憧れた