見出し画像

熊大の財政状況分析経常損失はないが不安定要素も

(デジタル版編集部注)
 以下の記事は「熊本大学新聞」7月22日付1面に掲載された熊大の財政状況を分析した記事です。東大が7月10日に年間10万円(2割)の学費値上げ案を提示したことを受け、7月号の記事をデジタル版に転載します。
 掲載に際し、文章は変更せず、一部小見出しを追加するなどしました。取材日・掲載日の関係から、9月16日時点の情勢とは若干異なる場合があります。(取材班)


熊大の経常費用と運営交付金金額の推移
※ 2016 年度は熊本地震の復旧のため交付金金額が増額されている。(平成 16 〜令和 4 年度事業報告書より取材班作成)


熊大の経常収益内訳と経常費用


 熊大の令和 4 年度の経常収益内訳は、附属病院収益 53.9%、運営費交付金収益 21.7%、学費等の学生納付金収益 9.1%、その他 15.3%となっている。また、熊大の光熱費や人件費といった経常費用は上昇傾向にあり、国立大学が法人化された 2004 年から 2022 年の 18 年間で約 1.5 倍に上昇している。対して、運営費交付金は熊本地震からの復旧のため増額された2016 年は突出しているものの、全体として停滞傾向にある。 

熊大の運営費交付金

 運営費交付金には大学の運営・研究を実施する上で必要な基幹経費と人材育成や研究推進など、戦略の達成状況に応じて配分される機能強化経費がある。基幹経費は毎年度約 100 億円減少しており、減少分は成果に応じた額が機能強化経費として配分されるようになった。基幹経費が上がらない中、熊大では、TSMC 誘致による企業との共同研究といった産学官連携を進めたことによる補助金やネーミングライツなどによる収入などで足りない収入を補っているという状況だ。熊大は財政に余裕があるわけではないものの、東大のように経常損失が出ているわけではない。 

総括

 熊大の現在の財政状況として、⾧く経常損失が出ていない点では極めて厳しい状況に置かれているとは言い難い。一方で、上昇する光熱費や人件費などの不安定要素が多く、将来的な固定費の上昇等を踏まえると⾧期的にみて財政は不安定であると言える。 

[関連記事]

#熊本 #熊本大学 #大学 #運営費交付金 #経常収益内訳 #経常費用 # TSMC # TSMC 誘致 #産学官連携 #東京大学 #東大 #ニュース #地方                                       

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?