我が子は「優秀な遺伝子」があれば幸せになれるのか【映画評】ガタカ
親は、我が子に幸せな人生を歩んで欲しいと願うものです。
では、子供を授かる際にあらかじめ「優秀な遺伝子」を持つように操作できるとしたら、どうしますか?
この記事では、「優秀ではない」遺伝子を持った男が、優秀な遺伝子を持つ人しかなれない宇宙飛行士を目指す映画を見て、幸せな人生を送るために親が子に贈るべきものは何だろう?と考えたことについて書きたいと思います。
映画の紹介:ガタカ
20年ほど前のSF映画です。
描かれているのは近未来で、優秀な遺伝子を持つように人工操作して子供を授かるのがスタンダードな世界です。
主人公は遺伝子が優秀な「適正者」しか就けない宇宙飛行士に憧れる「不適正者」のヴィンセント。
ヴィンセントが、事故で足が不自由になった「適正者」のジェロームに血液や尿を提供してもらい、ジェロームのフリをして宇宙開発会社に入社し夢を目指すという物語です。
遺伝子操作は駄目?でも、似たようなことはやっている
ヴィンセントは両親の意思で遺伝子操作無しの自然妊娠で産まれますが、弟のアントンは遺伝子操作を受けています。
アントンを妊娠する際、遺伝子操作を迷った両親が医師から言われた言葉が印象的でした。
『子供にとって、最高のスタートを切らせるべきですよ』
遺伝子操作と聞くと何となく拒否反応が出る人も多そうですが、子供が人生の良いスタートを切れるようにと願ってしている投資は結構あるのではないでしょうか。
我が家でも、2歳から始めた習い事のプールや英語など、「(子供に)向いてるか分からないけど…」と思いながら親がお金と時間をかけて蒔いている種がいくつかあります。
遺伝子操作も、持っているからと言って必ず花開くとは限らないという点では、実はこれらの教育投資と大きくは変わらないのかもしれません。
現代もすでに『頑張っても報われない』社会
ガタカの世界は、優秀な遺伝子のみを持つ「適正者」とそうでない「不適正者」が徹底的に区別されます。
髪の毛一本・尿一滴の検査で、就ける職業が決まります。
競争のスタートラインに立つことすらできません。
まさに『頑張っても報われない』『頑張ることが許されない』社会です。
2024年のこの現代は、どうでしょうか。
少し前ですが、とある年の東京大学の入学式の祝辞ではこう語られています。
まだ遺伝子操作が一般的でない現代でも、親の経済状況、産まれる場所が都心か田舎か、男女どちらで産まれるかなどによって『頑張っても報われない』『頑張ることを許されない』環境にいる人達はいるのです。
私が我が子に贈りたいものは優秀な遺伝子と◯◯◯
ガタカが描く近未来が訪れたら、私は子供を授かる際に遺伝子操作します。
我が子が幸せな人生を送るためにできる限りの投資をしたいからです。
そして優秀な遺伝子と共に、子供に贈りたいのがもうひとつあります。
それは「想像力」です。
ハリー・ポッターの作者であるJKローリングは、想像力についてこう語っています。
「想像力とは、他人に寄り添う力」。
ガタカで最も感動するポイントは、ヴィンセントとジェロームの友情です。
特に「適正者」のジェロームが「不適正者」のヴィンセントの不幸な境遇と努力に思いを馳せて、彼が宇宙飛行士になるために立ち上がり行動を起こす様子には心打たれます。
そしてその行動こそが「適正者」のジェローム自身の人生にとってもかけがえのない経験になることが映画を通じて感じられます。
我が子が「適正者」であったら、想像力を持って「不適正者」に寄り添い、その人たちのために行動を起こせる人であってほしいのです。
現代もすでに、『頑張っても報われない』社会です。
遺伝子操作は間に合いませんでしたが、親の自分が背中を見せることで、娘たちに「想像力」を贈りたいなと思います(自分が「適正者」である自信はありませんが)。
まとめ
ガタカは、実は私の1番好きな映画です。
ご興味の湧いた方は、ゴールデンウイークのお供にいかがでしょうか。
(現在、吹替版はアマプラで100円でレンタル可能!)
見られた方はぜひ感想を教えて下さると嬉しいです。
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