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熊の飼い方 27

 光 14

 気付いた時には、家の床にうつ伏せで転がっていた。寝返りを打ち机の上を見ると、半分残っているウイスキーの瓶と、封が空いているスナック菓子があった。
腹筋に力を入れて起きようとしたが上手く力が入らず、そのまま元の位置に戻る。壁に掛っている時計を確認すると、午前三時だった。
 記憶があまり無い。早く仕事を終え、帰って行ったところまでは覚えている。そこから思い出そうとしても上手く思い出せない。
服はスーツのままだった。部屋はアルコールの匂いが充満し、鼻を突く。頭が何かに掴まれているかのように痛い。
仰向けのままポケットにあるスマホを確認すると、島崎からメールが届いていた。そのメールの内容を見ることなくスマホの画面を暗くし、ソファに投げ付けた。
 何をすることもなく天井を眺める。起きていることさえ面倒になったため、目を閉じた。


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