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残んの月

始発まで まだ少し
ファミレスを出て
人気のない 神宮前から
都会の杜を なぞっていく

渋谷まで あと少し
もたれ疲れた その矢先に
ひとすじの流れ星
主役の月を 出し抜いた

奇跡を 使い古した
この街には 似合わない

月並みに 願い事した?って
聞きながら 答えを探してみる
見逃した君は 悔しそうで
思わず笑ってしまった

夜明けまで もう少し
電車はまばらな 朝帰り
君はポカンと 口開けて
右の肩枕で 眠った

しっくりと 君はここに
収まるように できてる気がする

途中の駅で 起きそうにない顔を
揺すりながら 少し目を閉じてみる
掛かる重さが 馴染んできて
ホッとしてしまうんだ

今日は何にもできない
だろうけど もういいや

窓の外 次第に明けていく空
残んの月は 昨日を彷徨っている
このままもう 乗り過ごしたっていい
この先で 時代にはぐれたっていい
ナチュラルハイな 気分だって
わかっている つもりなんだ

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