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職場の心理的安全性を高めたいと思った時に意識したい4つのイラスト

どうも森本です。「時代が必要とする学びの場を作って届ける」をマイパーパスに掲げて、日々、人や組織の学びの支援をしています。

今日は職場の心理的安全性を高めたいと思った時に意識したい4つのイラストというテーマで書いてみます。



まずは簡単に私の仕事の紹介


私はもともと小学校の先生をしていたということもあり、小学校1年生であれば1年生に向けに、6年生であれば6年生向けに、親であれば親向けに、先生であれば先生向けに、受け取り手にとってわかりやすく受け取れる形で伝えるのをモットーにしていました。

(当たり前ですが、言葉遣いや用いる言葉は全然違うものになります。そして、子供の場合、ここをしくじると、あっとう言う間にみんな集中力を失い、関心がどこかに旅立っていってしまいます。)

ここ10年は活動の中心を子どもから大人へと移し、主に民間企業で働く方々向けに仕事をしていますが、今もそのモットーを大切にしています。

受講者が50代の方であれば50代の方向けに、女性社員が集められる場であれば女性社員向けに。日本人だけでなく複数の国の人が集まる場であれば多国籍の方々向けに。できるだけ受け取りやすい形で話をするように努めています。

こういった年齢や性別などバイオグラフィー的な属性の違いもありますが、例えば、営業部門、R&D、工場で働く方々といった専門性もそうですし、
経営層や若手社員など、階層的な話、

同時に、製造業、金融業、IT、食品、インフラ、エンタメ、不動産、行政、学校・大学などなど、業界ごとの特性や、

伝統的な日本企業、外資系企業、スタートアップ、メガベンチャーなど、いろいろな企業ごとの経営スタイルの違いも、伝え、受け取ってもらうために意識すべきことに大きな違いをもたらします。

これまで、「この人たちには、どういう伝え方をすると受け取ってもらえるのだろう?」と考えてきたのがその源にあるものだと思いますが。

今では、どこの国の、どこの業界の、どこの部門、どういった専門性を持つ方々の、どれくらいの経験年数を持っている人向けに話をするのかで、少しずつ話をする言葉を変えながら、話ができるようになってきました。

最初にいただく問い合わせ段階で、問い合わせをしてくれた担当者さんと話をしていく際、企業ごと、受講者ごとの違いを意識しながら話をしていくようにしていることも効いているのだと思いますが。

ありがたいことに、担当者さんも信頼してくださることが多くなってきました。

それもあり、今では、本当にたくさんの方々を対象とした教育プロジェクトに参画させてもらっています。

ここ最近、本当に多い問い合わせ、依頼内容


そんな中で、最近どこの属性の会社からも問い合わせをもらうのが、「D&Iを進めたい」、「組織の心理的安全性を高めたい」というニーズです。

本来であれば、多様なメンバーが持つ様々な個性やアイデアが混ざり合い、共鳴し合いながら、昇華されていき、新しい価値の創造へと繋げていきたいわけです。

ただ、これは言うのは簡単ですが、実行するのはとても難しいものです。

例えば、伝統的な昭和の日本型の組織の場合、階層の力が強く働くため、下の人たちが上の人たちに率直な意見を言うのは難しかったりします。

本音が出ないまま離職をしてしまったり、自由闊達な意見が出ないため、新しいものが生まれてこないという課題感を持っていることが多いです。

本来持っていたはずの多様性が殺されてしまうということは、今ある価値すら発揮できていないとも言えるわけですから、とてもじゃありませんが新しい価値の創造どころではありません。

組織の心理的安全性を高めたいというのは、ものすごく筋の通った施策、チャレンジと言えるでしょう。

一方で、外資系企業や、スタートアップ、メガベンチャーからは、また違うニーズによる問い合わせが届きます。

もちろん、こうやって大括りしている3つの属性の経営スタイルがどれも同じなんていうわけはなく、細かく見ていけばそれぞれが全然違う組織であるわけですが。重なっているところもあるなということを感じます。

それが、すでに一定まではメンバーのダイバーシティ・多様性は認められていて、それをより良い形でインクルード・包摂していこうという段階に入っているものが多いということです。

これらの企業は、最初からであったり、これまでの取り組みであったりにより、従業員がお互いの違いを認め合った上で、それぞれが自分の意見を発信する土壌は整っていることが多いのですが。

一方で、全員が主張を始めれば始めるほど、それをまとめるのが難しくなってきます。

同じようなバックグラウンド、利害を持っているメンバーの集合体であればまだまとめるのはまだそこまで難しくないわけですが。多様になればなるほど、まとめることの難しさが生まれてきます。

すでに、日本以外の先進国ではこれらの課題が強く現れている様子が伺えますが、日本においてもおそらくこれから似たような道を進んでいくことになりそうな予感がしています。

これまでであれば、もともとの同質性の高さや集団の中で発揮する自分の個性を限定的にすることでスムーズに進んでいたものが、これから先は、もっともっとまとめるのが難しくなっていくんだろうなと、私はそんな未来イメージをもっています。

すでにD&Iや心理的安全性向上の施策が一定進んでいるにせよ、これから進めていくにせよ、個性が発揮されていくほどにまとめていくのが難しくなっていくわけですから。

職場内での、話し合いによるすれ違いの解消、調和、昇華の技術を向上していくことに終わりはなく、これからもっともっと高めていくことの必要性、重要性は上がってくるのではないかと予想しています。

私の仕事の性質や、時代とともに生まれてくる課題感から、日々、様々な職場で
「職場の心理的安全性を高めていきましょう」
「みんなでお互いの違いを伝え合い、受け取り合いながら、可能な限り良い状態を維持し、前に進んでいきましょう」

というための場を提供するわけですが。あれこれ試していく中で、最近はこういう伝え方が受け取りやすいのかもなというイメージが浮かんできました。

なので、今日はそんな話を書いてみたいと思います。


その際、誰もが受け取りやすくなるようにと、できるだけわかりやすさを心がけて、ここでは心理的安全性の高い組織を実現していく上でイメージしてもらいたいことを4つのイラストにまとめてみました。

1、よくある心理的安全性の勘違いのイメージ


私も最初はこんなイメージを持っていましたw


心理的安全性という言葉だけを聞くと、「心」が「安全」という言葉がパッと目に飛び込んでくるため、きっとみんなが安心して穏やかな時間を過ごせるような空間なんだろうと思っていました。

とても平和で、牧歌的なイメージです。きっと今もこういうイメージを持っている方はたくさんいるのではないかと想像します。

でも、残念ながら、今言われている心理的安全性は全然違う概念です。


ブッブー、残念、ハズレです


心理的安全性というのは、対人関係においてリスクをはらむ発言をしてもこの集団であれば、大丈夫だと思える組織の状態のことを指します。

「他者から厳しいことを言われないから安心」なのではなく、
「他者に『この人は厳しいことを言うな』と感じさせる可能性があることを伝えても大丈夫、安心」
という、言われる可能性がある側の安心ではなく、言う側の安心を意味している言葉です。

イメージで表すならこんな感じではないかと思います。

2、目指したいあり方のイメージ

真剣に真剣を作ります

その職場にいる人が、良いもの(この絵では真剣)を生み出すために、お互いに一生懸命、真剣の素材となる金属を叩き合っている状態です。

心理的安全性の高い職場では、「そのやり方ではなく、もっとこういう風にしたほうがいいのではないでしょうか」ということを年齢、役職、経験年数に関わらず、誰もが率直に発言していくことができます。

このイラスト屋のイラストでは、二人で刀を作っていますが、みんなでプロジェクトをどんどんと叩いていくことができ、そして磨いているような組織のイメージです。

日本人の中には「職人気質」と呼ばれるような「質の高いものを生み出すことは圧倒的に良いことである」という信念を持っているケースが多くありあます。

それもあり、多くの職場でこのイメージを伝えると

「なるほど、心理的安全性って本当はそういうイメージだったんですね」
「大きな勘違いしていました」
「ただ、そうやって言われてみれば私の中にも過去、そうやって取り組んでいたことがありました」

と、言っていただくことが多いです。

ただ難しいのは、もともと技術レベルや経験レベルが高い人が、同じくらいの階層、役職、経験年数や年齢でやる分にはまだできるのですが。

役職、年齢を乗り越えてこれに取り組んでいくのは、そうは言っても簡単ではありません。

そこで私がいつもお伝えしているのが、このイメージです。

3、一歩踏み込んだ発言を引き出す為のイメージ


人類が克服するべき課題、この混沌とした世界を切り拓くような伝説級の名刀を作ろう!


上のイラストが、率直な発言を生み出すことが難しい関係性の中で、それを引き出すために共有しているイメージをイラストにしたものです。

良い真剣を生み出すこと、そのために叩き合うことそのものが目的なのではなく。
この真剣、名刀作りの先にある価値を生み出すことが真の目的であり、みんなで叩き合いながら作り出していく価値や、解決したい課題、生み出したい状態、ビジョンをみんなで一度、共有することから始めることが大事になってくるというものです。

具体的に私が現場で発する言葉で言いますと、

「世界に今はまだないこういった価値を作り出すためには、この課題を解決しうるような新しいプロジェクト、ソリューションが必要になります。それを実現するために、これまでは『本当は言ったほうがいいんだろうけれどなと』思いつつ、飲み込んでいた言葉を伝え、受け取り合うことで、みんなで心理的安全性の高い組織を実現し、アイデアを磨いていきましょう!」

という感じでしょうか。こういった説明の仕方をすると

「そりゃそうだよなー」
「今まで飲み込んでいたいけれど、もっとこういう発言を率直にしていく必要があるんだろうなー」

という意見や表情がその空間に広がっていきます。

この共通体験を集団として持つことで初めて、これまでと比較してちょっとずつ発言の範囲を広げていったり、発言の量を増やしていったりすることにつながっていきます。

そこから先は、組織のこれまでの状態や、チームの上司や年長者がどの程度、積極的に受容したり、自己開示をしたりしているか次第ではありますが。

実際に「自分の言動の変化により良い仕事が生まれてきたぞ」という手応えが生まれてくると、次第に心理的安全性の高い職場に近づいていくなということを実感しています。

4、逆に持たせたくないあり方のイメージ

激しく人と人とがぶつかり合っています

最後に、
「心理的安全性を高めていきましょう!」
「そのために、対人関係のリスクを恐れず、率直に意見を言えるような組織を目指しましょう!」
と伝えた時に、決して持ってもらいたくないイメージも紹介していきます。

上記のイメージがまさにそうなのですが、「対人関係のリスクを恐れず、それを乗り越えていきましょう」というと、ついついこういったイメージが頭に浮かんできてしまうのではないかと思います。

このイメージは、実際に職場で率直なコミュニケーションをとっていこうとした際には、とっても不向きなイメージになってくるなと思います。

特に、様々なデータで見ても、世界と比較した時に、対人関係の衝突を避けようとする日本人にはとっては、最も持たせると難しくなっていくイメージではないかと考えています。

休日の早朝から、わざわざこんな記事すら書いている私ですら、
「できることなら人生においては、極限まで、人とのぶつかり合いを下げていきたい」と思っていることもあり。

「最初に心理的安全性を高めましょう」
「摩擦を恐れず率直な発言をしていきましょう」

と言われた時には、「いやー、絶対そんなの嫌なんですけど」と思ったものでした。。。。

言わんや、普通の働く人からしてみたら、なおさらです。

ただ、よくよく考えてみると別に4をやる必要はなく。
3のために2を真剣にやればいいんだと思うようになってからは、私もかなり多くの場面で率直に発言することができるようになってきました。
(もちろん今もできないシーンがたくさんありますが、、、)

心理的安全性の高いコミュニケーションが取れるようになると


こういう自分になってみて思うのは、教育、人材開発、組織開発の専門家として様々な企業様の人材育成のプロジェクトに入り、プロジェクトの成功のために真剣に、率直に発言するように心がけていくと、やはりそこから生まれてくる価値というのは少なくないなということです。

冒頭にも書きましたが、今は、ありがたいことに、多くの組織から必要としていただき、また新しい価値の創造に繋げていけているような手応えを感じています。

そして、これを日々実践し、様々な手応えを感じていくほどに思うのが、もっと多くの組織で今の日本社会を覆う閉塞感を切り拓いていけるような名刀作りプロジェクトが生まれてくると良いなということです。

そんなことを思いながら、今日はこんな心理的安全性を高めるためにもっていきたいイメージについて、休日の早朝から頑張って書いてみました。(←本エントリー、2回目のアピール)


と言うことで、これからもがんばって取り組んでいきたいと思いますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。


補足

先週の2024年5月12日(日)から、「勝手に週刊連載」という形で、ウィークリーで、noteに記事を書いていくことにしています。

ありがたいことに前回の第1回目のエントリーが多くの方に読んでいただき、50近いスキをいただくことができました(2024年5月18日現在)

私がこれからテーマにしていきたいのは以下の4つです。

・2024年の人材開発、組織開発領域での実践の中からの学びの共有
・世界のさまざまな実践や、世界にいるさまざまな人から得た学びの共有
・自分が好きなこと、趣味やライフワークの中から得た学びの共有
・そのほか、自由に書きたいことを思うがままに書いてみる

もし、自分もやってみたいという方がいましたら、ぜひ「勝手に週刊連載」というタグをつけて書いてみていただけるとありがたいです。


おすすめ図書

補足2として、今回のエントリーを書くにあたって、心理的安全性やD&I推進で参考になった本を紹介しておきます。
どれもそれぞれの良さがあるので、興味が湧いた方はぜひ読んでみていただけたらと思います。

以上、今日も素晴らしい学びの機会をどうもありがとうございます。

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