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20年後に稼ぐ人はどこにいるか

先月、趣味のキックボクシングで試合に出てアマチュア4勝目を挙げました。私はアマチュアなので数千円の参加費を払って出場していますが、プロの方々はファイトマネーをもらう側であります。いくらぐらいかご存知でしょうか?イベントや試合の注目度によって異なりますが、1試合数万円から数十万円が相場です。

日本のプロボクサーの収入(副業などを除き、ボクサーとして得ている対価)は、キックでなく普通のボクシングですが、日本タイトルレベル、つまり日本で一番の選手になっても100~200万円と言われています。それに対し、日本にはプロ野球選手が800名以上いますが、彼らの年俸は平均4,900万円、中央値で1,600万円です(2022年)。

稼ぎを気にしてスポーツを始める人は少ないでしょうし、その必要もないと思いますが、稼ぎが種目によって大きく変わることはたしかです。

経営コンサルタントは戦略を考えるとき、where to playhow to winを意識します。どこの市場で戦うか、そしてそこでどう勝つか。

市場を間違えれば、例えそこで努力を重ねて一位になったとしても報酬(売上や利益)の上限が小さなものになってしまいます。これは企業の戦略論だけでなく、ボクサーと野球選手のように、労働市場における個人についても同じ考え方ができます。

ご縁あって今年度から京大で教えております。

学生の相談に乗るとよく、日本の労働市場にとどまっていてはこれから厳しくなると伝えています。

北米やアジア発の多国籍企業は、各地で従業員を雇うときでも国際的な労働市場で人を探しています。英語ができない人材は面接にすら呼ばれないでしょう。日本語しかできず、日本での労働経験しかなければ、日本の労働市場で戦わざるを得ませんが、日本での給与が低いことはこのエッセイの読者はよくご存知かと思います。

20年前、私が学生のときにバックパッカーとして訪れた東南アジアの途上国では、英語を話せる現地の方は外国人向けのツアーガイドや飲食サービスの仕事をして現地にしては良いチップを稼いでいました。それを見て、途上国では英語が話せるかどうかで収入に大きく差がでるのだろうなと思いました。

それから20年、まさか日本で自分たちがそのようなことを考えなければならない立場になるとは思っていませんでした。20年後の世界でたくさん稼いでいるのはどこのどのような人たちなのでしょうか。それは私達がアクセスできるところでしょうか。

真鍋希代嗣 (京都大学 特任准教授/東京在住)

※この文章はワシントンDC開発フォーラムに2022年11月に寄稿したエッセイ「市場」を転記したものです

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