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【読書感想文】新訳 フランス革命の省察

このnoteを書いたところ、「フランス革命の省察を読むといい。保守とはなにか、がわかるから。」というアドバイスをもらったので、さっそく読んでみた。実際読んでみて、むしろ分かんなさが増したというか、保守と革新についてもっと知りたくなったが、一旦ここまでの理解をまとめておく。

フランス革命そのものが難しい

まず、フランス革命に関する知識は、高校までの世界史のめちゃくちゃおぼろげな記憶(というか、僕は高校の世界史が未履修のままで卒業してしまったことで話題になった世代だから高校の世界史の記憶は本当にほとんどない)と、COTEN RADIOによって補強した。(このCOTEN RADIOがめちゃくちゃ面白くてハマってしまった)

僕なりにフランス革命についてまとめると次のとおり

・自由、平等、友愛という標語が生まれた革命
・貴族制とか奴隷制が廃止されるきっかけを作った
・革命の最中はものすごくドロドロ(世の中をひっくり返したはいいけど、具体的にどうしたらいいかわからなかった、というのはバークもコテンラジオの人も同じ見解だった)
・最後の方にナポレオンとかでてきた
・革命そのものが成功だったのか失敗だったのかを語るのは難しい
・「フランス革命がなければ今の世の中がなかった」とまで言えるかどうかは(僕にはまだ)わかんない

プロローグのまとめにすごく納得した

編訳者の佐藤健志氏が書いたプロローグ、まさにそのとおりだ!と思って、ここが一番納得感が高かった。

(急進主義に関する説明)
「正しい目標をめざすかぎり、社会の変化は抜本的であればあるほど良く、また急速であればあるほど良い」という発送は、次の4つの前提の上に成り立つ。
(1)人間は、社会のあり方をのぞk間敷する方法論を適切に考案する理性、およびそれを確実に実現してゆく能力を持っている。
(2)社会を望ましくする方法論が二つ以上存在する場合、人間は個人的な利害関係や感情にとらわれることなく、どちらが良いかを冷静に判断できる
(3)右二つの前提は社会全体で成立している。言い換えれば、みずからのあり方を望ましくしようとすることにかけて、社会は首尾一貫した単一の意志を持っているとみなして構わない。
(4)社会のあり方を変えることに伴うコストや副作用は、変化のスピードを上げたからと言って顕著に増大することはない。
...問題はこれらの前提が、どれ一つとして妥当とは言いがたいことである
彼の政治的な姿勢は「保守主義」と呼ばれるが、「人間の限界や欠点を直視したうえで、なお社会のあり方をできるだけ望ましくしようとする姿勢」と定義したほうが的確だろう

プロローグを読んで、こう書かれると、急進主義にはたしかに賛同できないし、保守主義のほうが僕はしっくりくるな、というふうに感じた。

本文を読むと混乱した

このプロローグを読んで、詳細を読みたい!と勇んで読み進めたが、そこで難しさに直面する。プロローグで引用した部分は編訳者の佐藤氏がエッセンスだけを取り出して文章にしたものだったが、本文はバークの思想や社会背景がそのまま書かれている。

フランス革命が起点になって貴族制が廃止されていったのだから、バークがそういう思想をもっていることについてどうこう言うのは無理があるかと思いつつ、「貴族が生まれながらにして偉いなんて当たり前だろう」みたいなことが書かれているのに、「この人の言っていることは根っこのところでは合理的であるに違いない」、と考えながら読むのは相当難易度が高かった。

たしかに革命派はうまくやれていなかったのかもしれないが、こういうオジサンを相手に社会全体を覆う思想を変えようと思ったら、革命という手段に出てしまうんではないだろうか、と。

また、バークは「人間の能力には限界があるから、未来を思う通りにつくることは難しい」と主張する一方で、伝統や歴史は重んじる。最初、これがわからなかった。伝統や歴史も、人間の限りある能力で作り上げたものなのに、なぜそちら側のことは信じられるのか?と。
ただ、読んでいくうちに、そういう限りある能力の「積み重ね」によって伝統や歴史が作られてきたから、バークは伝統に重きを置いているんだろうな、ということがなんとなく分かってきた。

最初は、バークさん、あまりにも人間のこと信じていなさすぎるだろう、ということで、そこにも肌の合わなさを感じていたのだが、信じるポイントと信じ方が僕と違うってだけなのかもしれない。

たぶん、僕の仕事の仕方も、革新というより、保守に近いスタンスで進めているし。

そして興味が湧いてきたこと

この本をきっかけに、こんなことがわかんないな、ということがいくつか出てきたので最後にメモとして残しておく

・フランス革命は成功か失敗か議論がわかれるが、では、明治維新はどうだったんだろう。竜馬がゆくを読んで育った僕にとっては成功だったように思えるが・・・あれも革命だよな・・・
・思想を大転換させたい、というときに、「革命」という手段をとらずに成功した例は、あるのだろうか。
・というか歴史上、思想が大きく変わったポイントってどことどこだ?
・イノベーションと保守と革新の関係?

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