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第二回絵から小説 作品集

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2022.2.14.20:00~2022.3.15開催「第二回 絵から小説」作品集です。スゲー作品がいっぱい増えるといいな!
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#短編

第二回「絵から小説」作品集 目次と企画概要

当記事は、自主企画「第二回絵から小説」マガジンの目次です。 企画「第二回絵から小説」内容は以下の記事をご覧ください。 タイトル/作者の順です。※制作・創作が対等な立場であることに敬意を示すために、お名前に「さん・様」は付けない表記にしております。 気になるタイトル、気になる作者、選ぶも自由、読むも自由。どうぞご覧くださいませ。 A1.水色の果実と滴る涙/Haruka.•* 2.あおい/志麻/shima 3.はなちるさんどう/へいた 4.盲目の君は何を憂い/shin 5.

【小説】 月逃 【#第二回絵から小説】

 私は自ら犯した過ちから目を背けておきながら、焼け野原となった庭先から一台の車が出て行くのを見届けている。いや、これは過ちではない。自らこの結末を選んだのだから、これは罪なのだ。神は見ておられるだろう。いつか私に罰が下され、この身は地獄の業火に焼かれた後、魂をも滅ばされるだろう。それでこの罪を清算出来るのなら、それで良い。その時にはアイリーン、君も一緒だ。それならば、地獄の入口に立つ私には何の後悔も無くなるだろう。  農園を営む私達夫婦は、一人息子のライアンを遠いベトナムの

【スクールラブ】転校生

 桜の季節には、出会いと別れがつきものだ。各地で開かれる卒業式、それが終わると入学式。小学校から中学校へ、中学校から高校へ、高校から大学へ、大学から会社へという節目節目の別れや出会いがある。同じ地区にすんでいれば、「また一緒になったね」と友達同士で進学した学校で挨拶し合うことも多くあるだろう。涙と笑いの季節は多くの人にいろんな経験を与えてくれる季節でもある。  そして、静かに行われる別れや出会いもある。卒業式や入学式の喧騒に入れなかった別れや出会いというのも学生時代に稀に起

【小説】 35.6716486 139.6952259 【#第二回絵から小説】

 今朝も留置施設を出て、同じバスに揺られている。六人で暮らす檻の中から出されると、話すこともなく他の男達と一緒に黙々とバスに乗り込む。搭乗中に誰かと喋ることもなく、入口付近に立つ兵隊に俺達は監視されながらいつもの作業場へ向かう。  窓の外の景色はどこもかしこも爆撃や砲撃で傷付いていて、壊れたアスファルトの振動が嫌でも尻から伝わって来る。作業場へ着く頃になると振動のせいですっかり尻が痒くなってしまう。  少し前までは街の隅から黒煙が昇っていたが、それすらも今はもう無くなってしま

第二回「絵から小説」:B 『花弁の城』

またまた参加させていただきます。 築き上げられた花弁の城は、四月の香りを多分に含んだそよ風に撫でられながらも、君の足元に毅然とそびえていた。足元に広がる無数のなりそこないたちが、城に羨望の眼差しを向けているようだった。七歳の子供が持てるすべてを使って作り上げたその城に、僕は君の強さを見出していたのかもしれない。 城は崩れた。自分を作り上げてくれた主に、喜びと感謝の意を込めて、その姿を誇らしげに披露していた時の事だった。自分で作り上げたその城を、君の裸のつま先はいとも簡単に壊

【小説】 輪廻のソナタ 【#第二回絵から小説】

 海原千晴は肩で風を切りながらバレエ教室のレッスンへ向かっている。その傍で彼女に羨望の眼差しを向け続ける金山美宏は通称「金魚のフン」と陰で呼ばれているが、美宏はそんな噂を耳にしても平然としていられた。踊ることでその才能を世に知らしめる千晴の傍にいられることに、同じ教室に通う美宏は悦びを感じていたのだ。 「千晴様、お鞄お持ち致します!」 「……やめてもらえない? 今は下校中だから、あまりにも人の眼が多いわ」 「そんなこと……私は人の眼なんか気になりません!」 「あなたじゃなく

進路への分岐点 #第二回絵から小説  第760話・2.22

「石見さん、進路はどうするの?」石見葵は今後の進路について、放課後に担任に呼び出されていた。 「え、いや」葵は進路については何も考えていない。高校3年になった石見は、小さいときから漠然と自由というものに憧れていた。とにかく縛られるのが嫌い。義務教育などはさすがに従ったが、高校進学すらも迷ったほどで、両親からの説得で進学したほど。それもわざわざ私服が認められている高校を選んで入学。  だから高校卒業後の進路について、全く何も考えていない。普通に考えればどこかの大学に進学するのが

[読切] 藤の花の君(第二回絵から小説)

 それは俺が十歳の時だった。  五月の連休中、親父が持病の治療で入院している間、俺は北関東の田舎町にある叔父の家に預けられていた。  叔父は優しい人だったが親父と同じ病を患っており、一日のほとんどを寝て過ごしていた。  叔父には子はおらず、看病は若い奥さんが一人で対応していて、家の中はいつでもひっそりしていた。  俺は何となく居心地の悪い気持ちがして、滞在中は出来るだけ家を留守にするようにしていた。  叔父の家の周りを歩き回って俺は、すぐにお気に入りの場所を近所に見

ピュアな創作心 #第二回絵から小説  第759話・2.21

「陽太君のおじさんて、今海外で働いているの?」石見真央は同じ1丁目に立っている団地で、仲の良い横田陽太に話しかけた。 「うん、叔父さんは半年前に、東南アジアに行ったんだ。でも俺の父ちゃんは、ずっと日本。ずっとこの街にいるけどな」ここは団地が10棟くらい並んでいた真ん中に公園がある。その公園には砂場があり、ふたりはいつもここで遊んでいた。 「そうなんだ。私のパパは、ママが難しいことば。えっと『たんしんふにん』というのになっているんだって。来年まで家に戻ってこないの」と、少し寂

少女の洞窟舞踊 #第二回絵から小説  第758話・2.20

「この奥で、本当に踊っているのか?」横田は洞窟の前に来ていた。横田は6か月前から東南アジアにある国で、駐在員として赴任している。普段は車が行き交う、都会の中で通勤している横田であるが、今回はこちらに来て初めての長期休暇。これを利用して都会から離れた郊外の熱帯ジャングルに近いところに来ていた。そこには洞窟がいくつもある場所で、観光地としても脚光を浴びている。  今回横田もごく普通の観光客として、数泊の予定でそこに向かったが、到着初日に現地で雇ったガイドの男が、流ちょうな日本語

【集まれ!】第二回!絵から小説!【物書き!】

どうも、こんにちは。 世界のトップアスリートの名前が破滅的なほど答えられない物書きの大枝です。 先月は清世さんの展覧会にて絵本を販売し、多くの人達にご来場頂き誠にありがとうございました。 皆さんと直に触れ合い、お話が出来たことで多少は物騒な印象が武装解除出来たかと思われます。 多くの方に絵本を手に取って頂き、作者として重ねて感謝申し上げます。 気分を改め、清世さんがこんな企画を始めたよ! 物書きのみなさん、さぁ!深呼吸をして! 吸って!吐いて!吸って!吐いて!吸ったら下げ