鬼滅の刃

あまり興味はなかったけど、仕事の都合で鬼滅の刃の映画を観に行くことになった。
私は36歳だが、感動することは年々少なくなっていると感じる。
その理由は、冷静に色んな想いを想像してしまうからだと思う。
作り手の狙い・アニメの中だけのルール・リアリティなど、作品の純粋な内容より裏側の構成に意識がいってしまう。
でも、夢の世界に落ちてしまった時の炭治郎の心の中のシーンは心奪われるものがあった。
うまく言葉にできないが、自分が忘れかけてた大事なものを、思い出させてくれるような感覚になった。
大人になると、仕事が軸になり、同じような毎日が繰り返し、自分の良い所も悪い所も気付かずに慣れて過ぎて行く。
慣れるとそれが真実になる。感覚も偏ってしまったりする。
私は自分の感覚に捕らわれてしまいやすい性格で、自分が正しいと思ったことに従って生きているが、それが自分の可能性を狭くしてしまっているんじゃないかと、この作品を通して感じさせられた。
好きか嫌いかという単純な理由で、答えを出していいのか。
人の心は、自分が想像しているよりも複雑なんじゃないだろうか。

隣に座っていた女性は涙を流して観ていた。
その女性は上映ギリギリに男性と2人で来て、大きい声で喋るし、暑い暑いとうるさいし、何か匂いのする香水かクリームのようなものをつけて臭いし、映画に集中できなくなるから邪魔だと思ったが、この映画で涙を流すということは、心が美しいのだろうと思うと、色々なことが気にならなくなった。

人を本当に心から理解するためには、炭治郎のような心の世界で世の中を写さないと、見えないのかもしれない。

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