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恐怖分子

[2015年6月14日の日記]

公開年度: 1996年(日本公開)
鑑賞: 2015年6月14日 キネカ大森
監督: エドワード・ヤン

キネカ大森。初めての利用。席数の少ないミニシアター。好きな雰囲気。なのに僕の気持ちはパッとしない。どんよりとしているその理由は、映画そのものには余り関係の無い話だ。

僕は20代最後の日、この大森という場所に好きな人を呼び出して告白し、そしてフラれた。とはいえそんな大昔の話が未だに心に影を落としているというわけはなく、今現在の僕が、まさに好きな女にフラれたばかりだということが重なって、嫌な因縁を感じてしまっている。

そしてこの映画。観るのは二度目。妻に捨てられた男のミジメな物語。ああ、こんなタイミングでこの場所で、しかも観るのはこの映画なのか。

大森という場所に足を踏み入れて初めて気づいた。「ああ、この場所は」と。ずっとアルバイトしかしていなかった自分が初めて「契約社員」という雇用形態で働いた場所、そしてわずか八か月程度で辞めることになった職場があった場所。どうも自分はこの辺りと相性が良くないのかもしれない。

現実世界の今の僕は八方塞がりで何をやってもうまくいかない。そんな状態で観る映画ではないのかもしれないけど、このタイミングでデジタルリマスターの再上映が決まったのもまた運命なのだろう。ずっとずっと、僕はもう一度観たいと願ってた。この映画を待ちわびていた。

この映画の主人公は、僕の代わりに死んでくれたのだ。だから僕は生きなければならない。初めて観た時、そんな風に感じたことを覚えている。そして20年近くの時を経てもなお、その思いに変わりはない。

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