見出し画像

動物の写真を現像してみて

動物の写真を人間の写真と同じように現像してみても、まるでトンチンカンな写真に仕上がってしまうのだなあ、と思った。写真はすべて去年の5月に上野動物園で撮影したもので、人間の写真、いわゆるポートレート写真にありがちなアプローチで現像した。

ポートレートモデルの撮影の場合、モデルは衣装、化粧、表情、ポージングなどでより美しく自分を見せようとして、カメラマンはその瞬間をより美しく捉えようとする。しかしそれは撮影時にすることで、カメラマンには撮影後に「現像」という重要な仕事がある。

ポートレート写真の最も単純な現像アプローチは、とにかく露光とシャドウを上げて、コントラストと明瞭度を下げる。そうするだけでモデルさんの欠点が目立たなくなる。欠点というのは、例えばほうれい線であるとか、化粧のムラとか、目のクマとか。

それが欠点、という考え方も被写体が人間ならではだからなのだろう。

ちなみに僕は普段、余りそういうアプローチでポートレート写真を現像することはないのだけど(あんまり大げさにそういうことするのはモデルさんに失礼な気もするので)、今回は趣旨を分かりやすくするようあえて大げさにやってみた。

人間ならそうすれば魅力的に見える手法のはずなのに、動物だと逆に魅力を消してしまっているようにさえ見える。

動物園の檻の中とはいえ、僕らはきっと動物の「野生」が見たいのだ。飼いならされて芸をするところが見たいのではなく、彼らのありのままの生を感じたいのだろう。

ちなみにポートレートを意識せずに普通に現像するとこんな感じになる。

やっぱりこっちの方がしっくりくるな。

今日の BGM はやっぱり Animals だろうな。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?