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仏壇屋の憂鬱

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仏壇屋での体験や、仏事に関する情報を書いてます。
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#エッセイ

仏壇屋、営業社員募集!!

未経験者歓迎! 仏事を通して、お客様を幸せにするお仕事!仏壇は「人が死んだときに買うもの」と思っていませんか? 仏壇は遺族が亡くなったときだけでなく、普段から我々の心のよりどころになってくれる大切なものです。 そんな仏壇を通して、お客様、ご寺院様に満足していただく、それが我々仏壇屋のお仕事です。 「満足してもらえた」「ご寺院様の信頼を得ることができた」など、目に見える反応も多く、やりがいを感じることができますよ! 人生を豊かにするスキルが手に入ります!仕事が楽しいのはもち

仏具紹介『華瓶』

今回紹介する仏具は『華瓶』です。「けびょう」と読みます。 これは浄土真宗だけ使う仏具です。阿弥陀さんの目の前に一対置きます。 中に少しの水と樒(しきみ)を入れます。要は葉っぱです。その辺に生えてる葉っぱでOK。 浄土真宗はお茶も水も備えません。浄土にはたくさんの水があり喉が渇くことはないと考えられているためです。 華瓶に入れられた水と葉っぱは極楽浄土の水辺を表しています。決して阿弥陀さんに飲んでいただく用ではありません。 この華瓶は阿弥陀さんの目の間、すなわち一番奥

仏具紹介『仏器』

今回紹介する仏具は『仏器(ぶっき)』です。『仏飯器(ぶっぱんき)』と呼ぶこともあります。 これは皆さんも一度は見たことがあると思います。 そうです。ごはんを丸く盛ってお供えするとってもメジャーなヤツです。 コイツは仏具の中で、かなり重要な使命を持っています。なにせ本尊さんにごはんを食べていただくための容器なのですから。 すべての宗派に仏器は必要です。本尊さんの前に置くものなので、それなりに良いモノを準備しましょう。 「ごはんをお供えしてください」と言うと、「毎日ごは

仏具紹介『瓔珞』

今回紹介する仏具は『瓔珞(ようらく)』です。別名『ジャラジャラしたやつ』です。 仏壇の天井に吊り下げます。 仏具それぞれに持前の用途があるのですが、コイツは完全に飾りです。 飾りに特化しただけあって、すごく煌びやかです。私も初めて見たときは心奪われました。 しかし、仏壇屋の仕事に従事するうち、コイツが憎くて憎くて仕方なくなってきました。 なぜかというと、すぐにバラバラになるからです。 古くなった瓔珞に手を振れるのは厳禁です。絶対にバラバラになります。 先輩の山田

仏壇屋のお仕事紹介『住職に怒られる』

今回紹介する仕事は『住職に怒られる』です。 「そんなのが仕事なの?」と思うかもしれません。私もそう思います。 仏壇屋の仕事は「仏教」を扱うので、各々の考え、やり方があります。「浄土真宗はこうだから」と思ってやると、「ワシの寺はそんなことはせん!」と怒られることがあります。 怒られつつ、学んでいきます。まあ、仏壇屋に限りませんが。 住職のセリフと共に怒られた内容を紹介していきます。 「お布施の額を言うな!」これは仏壇屋で働くと一度は言われるセリフです。 お客さんに「

仏壇屋のお仕事紹介『位牌作成』

さて、すっかりモチベーションがなくなってしまった仏壇屋のお仕事紹介ですが、頑張って書きます。 今回は『位牌作成』です。 位牌というのは戒名が書かれた置物です。浄土真宗は使いません。 お客さんが店に来て位牌を作りにくるんですが、位牌作りにもややこしいルールがあり、その場ではスカっと決まることはありません。 位牌作成のルールとは…… ・先祖の位牌と同じか似た形にする ・先祖の位牌より大きくしてはいけない ・先祖の位牌と同じ文字を使う(『天寿』『行年』『享年』など)

店長の「アレ」

店長は60歳前だというのに、ボケ気味。 従業員の名前を忘れる、住職の顔を忘れる、3時間くらい話したお客さんの顔を次の日には忘れる、宗派を忘れる…… その中でも一番困るのは固有名詞が出てこないこと。 「ちょっと、アレ取って」と言います。 この「アレ」は「はさみ」だったりします。「はさみ」が出てこんのです。この店長は。 場面によってその「アレ」は「ガムテープ」だったり、「ペン」だったりします。そのときの状況を見てこちらが推測します。なにこの仕事。 これくらいなら皆さん

仏壇屋のお仕事紹介『仏壇納品』

「仏壇のご安置(納品)が一番大切な仕事」 この道35年の店長の口癖でした。 納品後、店長はさらにドヤ顔で言います。 「これからの付き合いの方が長いですから」 売って終わりじゃない。その後もお客さんとの関係は長く続く。 付き合いの始まりが『仏壇納品』。ここをしくじるとそのお客さんとの関係は途絶えます。だから店長は納品が一番大切だと言ったんですね。 今回は仏壇の納品を紹介したいと思います。 仏壇、仏具の梱包仏壇の引き出しには緩衝材を挟み、飛び出ないようにします。中の

仏壇屋のお仕事紹介『仏壇販売』

今回はいよいよメインの仕事、『仏壇販売』です。 これができて初めて、仏壇屋を名乗ることができます。 気をつけるポイントがいくつかあります。 ・宗派、菩提寺 ・置き場所 ・仏具 ・予算 順を追って説明していきます。 宗派、菩提寺宗派によって仏壇は違いますので、お客さんが来たらまず宗派を聞きます。 浄土系(「南無阿弥陀仏」の宗派)は金仏壇、日蓮系は法華壇(位牌を入れる部屋がある)、それ以外は唐木仏壇(黒いやつ)です。 モダン仏壇(家具みたいな仏壇)はどの宗派で

仏像の洗い方

「仏像を綺麗にしたってくれへん?」 こんな依頼がたまに来る。 仏具の中でも、仏像は特に触ることが憚られる。なんせ仏さんそのものだ。「触るなんて考えられない」という人も。 なので、めちゃくちゃホコリが溜まる。 そこで仏壇屋である我々が預かって綺麗にするのだ。 お客さんは「なにか特殊な方法で綺麗にしてくれるんだろう。なんてったって仏を掃除するんだから」と思うかもしれない。 ということで、仏壇屋である私がしていた仏像の洗い方を紹介しようと思う。 1.クモの巣だらけの地

住職の茶番

住職が檀家さんを連れて、仏壇を買いにくるときがある。 これは仏壇屋にとって最悪だ。 住職は檀家さんに威厳を見せつけたいので、「あれ付けろ、これ付けろ、オマケにあれも付けろ、そして半額にせえ」と無茶苦茶言ってくるからだ。 さすがにすべては無理だが、ある程度叶えられると、住職は檀家さんから感謝され「さすが先生っ! ついてきてくれてよかった!」となり、お布施が弾み、威厳も保てる。 しかし仏壇屋は儲けが減り、売った人は社長に嫌味を言われ、お局さんから3日くらい嫌がらせを受ける

仏壇屋のお仕事紹介『寺院営業のやり方』

寺院営業の目的は「住職と仲良くなり、注文につなげる」というもの。 今回は「じゃあ仲良くなるには、どうしたらいいの?」という話です。 ポイントはいくつかあります。 ・坊守さん(奥さん)と仲良くなる ・雑務をこなして、恩を着せる ・何回も訪問し、おしゃべりする ・檀家さんを大切にする です。それぞれ紹介します。 坊守さん(奥さん)と仲良くなるお寺を訪問したとき、まず対応してくれるのは奥さんです。仲の良い寺では住職が対応してくれますが、あまり付き合いのない寺では

宗派別、お坊さんのイメージ

仏壇屋では沢山の住職と接してきました。 そのなかで思ったことは「宗派別でお坊さんに特徴がある! ような気がする!」でした。 ということで、宗派別のお坊さんのイメージを紹介したいと思います。 ※あくまで私の個人的イメージです。 真言宗 「頑固」 真言は山で厳しい修行をしているからか、他の宗派以上に教えに厳格なような気がしました。 良く言えば、「教えに忠実」。 悪く言えば、「融通がきかない」。 個人的に一番付き合いにくい宗派です。(キャッ、言っちゃった) 浄土

仏壇屋のお仕事紹介『接客』

仏壇屋といってもどんな仕事をしているのか、わからないと思います。 なので、仕事のひとつひとつを紹介していきます。 今回は『接客』です。 親身な対応が必須仏壇屋はスーパーみたいにお客さんが自分で選んで、レジに持っていく。というスタイルではないです。 仏壇屋の店舗は小さいので展示するスペースが限られています。そのクセ、仏具の種類はイヤというほど多いです。お客さんの要望を聞いて、倉庫から持ってきたり、カタログを見て取り寄せたりします。 親身になって話を聞く必要があります。