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仏壇屋のお仕事紹介『位牌作成』

さて、すっかりモチベーションがなくなってしまった仏壇屋のお仕事紹介ですが、頑張って書きます。

今回は『位牌作成』です。

位牌というのは戒名が書かれた置物です。浄土真宗は使いません。

お客さんが店に来て位牌を作りにくるんですが、位牌作りにもややこしいルールがあり、その場ではスカっと決まることはありません。

位牌作成のルールとは……

・先祖の位牌と同じか似た形にする

・先祖の位牌より大きくしてはいけない

・先祖の位牌と同じ文字を使う(『天寿』『行年』『享年』など)

・仏壇のサイズに合ったものにする

です。

位牌を作るには一度お客さんのところへ行って、仏壇なり、先祖の位牌なりを見なければいけません。大変面倒くさいです。

それぞれ説明していきます。

先祖の位牌と同じか似た形にする

見た目の問題で、バラバラの位牌が仏壇に並んでたら気持ちがわるいでしょう、ということで、同じ位牌にします。

位牌にもピンからキリまであり、安いものは1万くらい。高いものは何十万とします。

先祖の位牌が50万円の高級な位牌だった場合、今回作る位牌もその50万円の位牌にするべきなのです。見栄を張って高級な位牌にすると子孫に迷惑がかかる、ということですね。

中には「50万円を払えない!」という人もいるでしょう。(というか、ほとんどがそうだと思いますが) そういう場合は50万円の位牌に似た、安い位牌にします。

高いものはやっぱりいいですが、気持ちの問題なので、安物でもいいです。毎日手を合わせることが大事です。

先祖の位牌より大きくしてはいけない

仏壇の中でも年功序列は適用されます。先祖より大きい位牌を作ってはいけないのです。

そうすると段々位牌が小さくなっていきます。キリがないので、同じサイズもOKとなっています。

ただ、偉業を成し遂げた人、成功した人、などは先祖より大きい位牌を作る場合があるそうです。

私は市会議員のすごく大きい位牌を作ったことがありますが、市会議員はそんな偉いのでしょうか。

先祖の位牌と同じ文字を使う

裏には亡くなった歳が書かれています。その文字が『行年』か『享年』か、俗名(本名)はフルネームで書かれているか、名前だけか、みたいなことも先祖の位牌に合わせないといけません。

まあ、合わせた方がいい、というだけの話です。裏なんて基本的に見ませんから。

表の戒名も『浄』の七画目の横棒が右に突き出るか出ないか、みたいな細かいことも確認しないといけません。もう思い出すだけで面倒くさくなってきました。

失敗してもお客さんが気づかないor気にしない場合はいいですが、文句を言われると作り直しです。費用はもちろんこっち持ち、「お魂入れ」のお布施も請求されることがあります。ひえ~。

仏壇のサイズに合ったものにする

せっかく作った位牌も仏壇に置けないと話になりません。どこに置いてもいいのですが、余間(「よま」仏壇の中段のところ)に置くのがスッキリします。

ここでも見栄を張ってデカいのを作ってしまうと、お供えがしにくいです。大きければいいってモンじゃありません。あの市会議員の位牌はデカすぎでお供えが大変だと思います。

★★★

以上のことをお客さんの家で確認してから、位牌の作成を外注します。

「なんでわざわざお客さんのところに行くの? 先祖の位牌を持ってきてもらえばいいんじゃないの?」

と思うかもしれませんが、位牌には魂が入ってるので無理です。

持ち出す際はその魂を抜かないといけません。「おりゃ~抜けんかいワレ」と言って上下にフリフリしても抜けません。住職を読んでお経をあげてもらわないといけないのです。

なので、位牌を持ち出す=お布施がかかる、ということです。だからお金がかからないようにわざわざ仏壇屋が先祖の位牌を見に行くんですね。

慣れないうちは結構ミスりやすい、『位牌作成』でした。

次回は『住職に怒られる』です。

#エッセイ #仏壇 #位牌 #仕事

働きたくないんです。