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店長の「アレ」
店長は60歳前だというのに、ボケ気味。
従業員の名前を忘れる、住職の顔を忘れる、3時間くらい話したお客さんの顔を次の日には忘れる、宗派を忘れる……
その中でも一番困るのは固有名詞が出てこないこと。
「ちょっと、アレ取って」と言います。
この「アレ」は「はさみ」だったりします。「はさみ」が出てこんのです。この店長は。
場面によってその「アレ」は「ガムテープ」だったり、「ペン」だったりします。そのときの状況を見てこちらが推測します。なにこの仕事。
これくらいなら皆さんもある思いますが、店長はもっとひどい。
「あ~あの、アレをアレしてくれ」
「アレ」が2個続くと何のこっちゃわかりません。
「アレが、あれやろ? だからアレやねん。はっはっはっは」
いや、わからん。なにを笑とんねん。
「アレ」は会話の内容によって、なにを差しているのか毎回違ってくるので、前後の流れで推測しなければいけません。
しかし、付き合いが長くなってくると、不思議とわかるようになるんですね。
「アレのアレがアレで……」みたいな傍から聞いたら何を言っているのかわからんことでも、すべて理解できるようになります。
★★★
皆さんも「アレ」を「アレ」で済ますことがあると思いますが、思い出そうとする行為が大切らしいです。
「名前が出てこない。スマホで調べよう」ではなく、まず思い出す。このプロセスがないと、脳はドンドン退化していくとのこと。
店長は「アレ」を「アレ」のまま押し切る。そして、我々もそれで推測してしまう。私たちの行為も店長のボケ推進に一役買っていたのだと思われます。
「アレ」を繰り返していたら、しまいには店長みたくこのようなことを言いかねません。
「アレがアレでな、そんでアレやから、アレやねん。はっはっはっは」
皆さんも気をつけましょう。
働きたくないんです。