見出し画像

仏具紹介『華瓶』

今回紹介する仏具は『華瓶』です。「けびょう」と読みます。

これは浄土真宗だけ使う仏具です。阿弥陀さんの目の前に一対置きます。

中に少しの水と樒(しきみ)を入れます。要は葉っぱです。その辺に生えてる葉っぱでOK。

浄土真宗はお茶も水も備えません。浄土にはたくさんの水があり喉が渇くことはないと考えられているためです。

華瓶に入れられた水と葉っぱは極楽浄土の水辺を表しています。決して阿弥陀さんに飲んでいただく用ではありません。

この華瓶は阿弥陀さんの目の間、すなわち一番奥にポジショニングされていますので、大きい仏壇の場合非常に取りにくいです。その上、何の嫌がらせか、非常にツルツルした造形となっており、さらに『華瓶卓』というやたらと狭いところに置かれています。

なので、落とす人が続出。仏壇に傷が入り、泣きついてくる人がいましたが、そんなもんどうしようもありません。

腹の出た店長は腹が出ているばかりか、手の震えも終始止まらないので、納品時に華瓶をしょっちゅう落としていました。「ああ、ああ……」と言って何事もなかったのように作業を進めます。「今、華瓶を落として仏壇に傷が入ったかもしれないけど、まあ大したことはないですよ」という雰囲気を出すのが店長はうまかったです。

話が少し逸れましたが、こんな扱い辛い華瓶ですから、毎日水と葉っぱを交換する必要はありません。というか、水と葉っぱを入れるのは法要時だけでいいと思います。そのとき以外は放置しときましょう。

仏壇を扱うのはお年寄り、住職もお年寄り、仏壇屋もお年寄り、もっと仏具は扱いやすいように作るべきです。華瓶だってチェスのナイトみたいなゴツゴツした形なら落とすこともないのに……。

#エッセイ #仏壇 #仏具 #華瓶

働きたくないんです。