仏壇屋のお仕事紹介『接客』
仏壇屋といってもどんな仕事をしているのか、わからないと思います。
なので、仕事のひとつひとつを紹介していきます。
今回は『接客』です。
親身な対応が必須
仏壇屋はスーパーみたいにお客さんが自分で選んで、レジに持っていく。というスタイルではないです。
仏壇屋の店舗は小さいので展示するスペースが限られています。そのクセ、仏具の種類はイヤというほど多いです。お客さんの要望を聞いて、倉庫から持ってきたり、カタログを見て取り寄せたりします。
親身になって話を聞く必要があります。愛想が良くないと勤まりません。
かといって、元気すぎるのもよくない。身近に「死」を体験した人を相手にするからです。仏壇屋らしい厳かなテンションを維持しつつ、気持ちよく接客することが大切です。
お客さんはお年寄りが多いので、待ってもらうときなどは椅子を用意したり、お茶を出したり、話相手になったり(タイガースの話)、トイレに連れていったり、と気配りが必要になってきます。
こう聞くと大変そうに思いますが、お客さん自体非常に少ないので、むしろヒマです。
たまに若い女性が来ると、皆色めき立ちます。別嬪さんだと取り合いになります。ちなみに仏壇屋では50代前半までが「若い女性」に分類されます。
奥さん、仏壇屋ではまだまだピチピチギャルですよ。ヒヒヒ。
一番売れるのがお線香
仏壇屋で一番売れるのがお線香です。
進物として買いにきはる人が多いです。進物(しんもつ)とは贈り物のことです。近所の人が亡くなったときは贈り物として、桐箱に入ったお線香を持っていったりします。
進物用は、のし紙にお客さんの名前を書いて、包装して渡します。
人が死ぬたび、進物のお線香は売れます。よって、一番売れます。
というか、線香に限らず人が死なないと仏壇屋は儲かりません。なんちゅう商売でしょう。
進物用の線香は売れますが、逆に普段から使うお線香はあまり売れません。一箱に入っている量が異常に多く、買い替え需要がないからです。線香業界はこの辺、失敗してます。
仏具の接客
仏具も宗派によって違うことがあります。お客さんは理解していない人が多いので、教えてあげないといけません。
間違って売ってしまうと、お客さんは知らないので何も言ってこないのですが、住職が文句を言ってきます。
仏具の接客で難しいのはお客さんが正式名称を言ってくれないところ。「ご飯を入れるやつ」とか「ジャラジャラしたやつ」とかならまだ良いのですが、「丸いやつ」とか「重いやつ」とか言われても何をどうしたらいいのかわかりません。
値段の高い仏具なら、お客さんの家に行って、その仏壇に合った仏具を検討することもあります。
住職の話し相手
仏壇屋の接客で一番骨の折れる仕事が「住職の話し相手」です。
お得意先の住職がしょっちゅう買い物に来ます。そのときは、コーヒーを入れて、テーブルに座り、雑談開始です。
住職の話といっても特別な話が聴けるワケでもなく、ただただ普通の雑談(タイガースの話)、もしくは愚痴(金がねえ)です。面白くない話をいかに興味深く聴けるか、ここがやりがいでもあり、イヤにしんどいところです。
お客さんがいて相手にできず、放ったらかしの場合もあります。そのときは「茶も出えへん」みたいなこと言って立ち去っていきます。
担当の住職が来たときは、他の作業をしていても強制参加。「できたら来てほしくない」のが本音です。
以上が接客になります。
必要なスキルは
・仏壇仏具、宗派の知識
・コミュニケーション能力
・気配り力
・阪神タイガースの知識(関西に限る)
最後のやつ以外はやってりゃ勝手に身につきます。
次回は『寺院営業の目的』についてです。
働きたくないんです。