道具は身体機能の延長である。という考え方

以前、何かの本でデザイナーか建築家が、「道具は身体機能の延長である」と言っていました。武術にも、この考えは当てはまり、身体の一部として得物を扱うと良いと言われます。
今回は、「道具は身体機能の延長である」を自分なりに考えてみます。

目次
・身体機能の延長として捉え、デザインの本質を見る
・道具に捉われずに道具を使えるように
・道具と身体の機能を引き出して効果的に扱える
・ひとつの視点、考え方として

身体機能の延長として捉え、デザインの本質を見る

プロダクトデザインを観察するとき、その機能は身体の何を拡張しているのか?そのプロダクトがなければ、同じ目的を達成するのに人はどうするか?を考えていくとデザインの本質に気づくことができます。

例えば、人がやりたいことは実に単純で、早く移動したいから足(歩く)の延長として車をデザインし、遠くの人と喋りたいから口(しゃべる)の延長として電話をデザインしました。無理やりな考え方な気もしますが、こうすることで本質が見えてくるのではないでしょうか?

また、デザインをする時も「身体機能の延長」というシンプルなイメージで考えると、無駄な機能は削ぎ落とされ、インターフェースは洗練され、より使いやすいものになっていくと思います。

道具に捉われずに道具を使えるように

武術で刀や杖(135cm棒)といった武器を扱う時、身体の一部であるように(身体機能の延長として)考えて操作します。

道具を武器という意識で持つと、“武器を使って戦う”という意識が強くなりすぎてしまい、敵に武器を掴まれた時などに対処が遅くなってしまいます。しかし、武器を“身体の一部である”と考えて使うと、武器を掴まれたりしてもとっさに捨てて対応できるようになります。これは、右腕を掴まれたら左手や足で攻撃して振り払うような感覚と意識が同じだからです。

プロダクトも同じで、便利なモノに頼りすぎるあまり、万が一使えなくなってしまったときにどう対処して良いかわからなくなってしまうことがあります。(特に災害時など思考停止に陥りやすい)

しかし、身体機能の延長程度で捉えておくと、使えなくなった際どうしたらいいか考えることができるし、あらかじめ対策を考えることもできます。

道具と身体の機能を引き出して効果的に扱える

また、身体の一部という意識で武器を扱うと、武器の強さ(切れ味や重みなど)に、自分の身体機能(力や思考、反射など)を重ねることができるので、最速で最小のエネルギーで最大の効果を発揮することができるようになります。

例えば、刀を振り下ろす場合は、上段に振りかむっている時は両腕の脇を締め、両手で
軽く握ります。そこから腕を振り下ろして斬るのですが、力は始め入れないで刀の自重と落下エネルギーを利用します。腕と手は刀が狙った場所に向かって行くようにガイドしてあげるだけで、対象物に接触した時に手の内を握りこんで力を瞬間的にかけます。

この意識で道具を使うと、見た感じは身体と道具は全くの別物ですが、意識では一体化されている。いわば、意識的サイボーグ状態です。

意識的サイボーグ状態は、道具を扱うのにトレーニングが必要で、扱う人に寄って道具の効果が変わるという難点があります。しかし、利点としては道具がシンプルなデザインで済み、万が一道具が機能しなくなっても身体が自由に使えるので代用品を探したりで対処できるようになります。(道具によるとは思いますが)

ひとつの視点、考え方として

今回は「道具は身体機能の延長である」という言葉から、デザインの観察と制作。道具との接し方。道具の扱い方。について考えを書きました。

ちょっと違うかもな〜って人も、確かに!という人もいると思いますが、ひとつの視点、考え方として扱って頂ければと思います。

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