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白の国

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記事一覧

【小説】 見果てぬ夢より 

【小説】 見果てぬ夢より 

 焦りが小さな虫の大群ように常に駆け巡っている。それは座ったままの自分を立ち上がらせようとしたり、仕事をしている自分には囁きかける。

そんな事をしている場合か、と。

 日当たりの良いマンションの一室に、夕方にも関わらず一際暖かい陽光が満ちている。熱を持つ光は、リビングに並んだ作業台に向かう佐々埼圭一を容赦なく堕落へと誘っていた。机に広がる紙や鉛筆から避けるように置かれたペットボトルの水を掴み煽

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【トワのエラーコード】 深掘りあとがき

こちらは2020年2月のCOMITIA131に発行いたしました、『トワのエラーコード』という小説の深掘りあとがきになります。

知ることによってノイズになるだろう、本編のあまり公開したくない世界観の設定に触れる話ですので、こういう形を取らせて頂いた次第です。詳しくは『トワのエラーコード』本編のP49『深掘りあとがきについて』の欄をご覧ください。

なお、今後のストーリーのネタバレにはなりません。別

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【立ち読み】トワのエラーコード

【立ち読み】トワのエラーコード

 朝食を黙々と食べながら、杜季悠真は今日、部屋にこもる計画を立てていた。土曜日なのに、父が帰ってくるからだ。夕方には帰れる、とのことだった。家族と団欒での時間の潰し方を、悠真は知らない。いくら母と三人家族と団欒で楽しもうとしても、間が持たなくなって部屋に行くよう促されるだろう。いや、その空間に自分が耐えられなくなって出て行くほうが先か。
 外に遊びに行くのもダメだ。帰ると聞いて早々に諦めている。父

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【立ち読み】透明な境界

【立ち読み】透明な境界

(中略) 

鳥の羽ばたきとせせらぎが聞こえる。まぶたの裏でも、ぼんやりとした光が、自分を包んでいる事がわかる。底のない安心感に身を任せ、蓮城珠華は思いまぶたを開けた。白いベットの上、部屋の充満する光は遠い記憶の中で眩く差し込む日の光より白い。家具を含めて白で統一されているせいで、まだ微睡の中にいるような気持ちになる。
 唯一と言っていいほど、色があるのは一方の壁の大半を占める窓だけだった。大きな

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