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猫化集

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日常に猫化する。
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記事一覧

猫化⑫

今日は、
少しイライラする私に
マタタビ粉をくれた。

少し気持ちが落ち着き
お気に入りの爪研ぎで
カサカサと音を立てた。

ご主人様は、
私を優しく撫で
そっと抱き締めてくれた。

長い憂鬱なときで
ご主人様は疲弊しているはずなのに。

私に出来ること。
ただ寄り添い
疲れた手を舐め
この温かな重みで
ご主人様を癒すことぐらい。

あなたが
笑顔でいられますように。

猫化⑪

昼間の暑さが
日の傾きによって
薄れ始めた夕暮れ

涼しくなったソファーの上で
沈んでしまった
夕日の淡さを
ただ
ただ
ご主人様とこの眼に焼き付けていた

湯上がりのご主人様の
優しいシャンプーの香りが
私の心を落ち着かせた

薄着のまま
ソファーに横たわるご主人様の背中に
この爪をたてないように
そっと飛び乗る

ただ
ただ
まったりと
ご主人様の背中を占領する
愛のムチではないけれど、
ご機

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猫化⑩

開いた窓から
入ってくる生暖かな風
強さを増した日向に
悪戦苦闘中な私

外では
スズメさんが水浴びしている
気持ちよさそうに
チャプチャプと

私は
フローリングの部分に
平べったくなってみた
心地いい

ご主人様はソファーで
ぐっすり昼寝中
添い寝は熱いから
指先に鼻先を乗せてみる

別にかまってほしくないけど
ご主人様の寝顔に
ネコパンチを
ムギューと一発

寝ぼけたご主人様に
抱っこされ

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猫化⑨

朝から窓の外が騒がしい
心地よい風と
私の深い眠りを
邪魔してくれた燕たち

巣を作るのか
ああでもない
こうでもないと
話し合って居るみたい

ご主人様は
燕たちのやり取りを
遠くで聴きながら
コーヒーを飲んでいる

私はゆっくりと動くと
ご主人様のあぐらの上に
丸くなる

私には分かっている
ここが一番安らぐ所だと
だって
優しく撫でてくれる
あなたがいるから

猫化⑧

ご主人様が
朝から買い物へ出かけた
何やら
そわそわしながら
あやしい

ひとりぼっちの部屋の中
小さな日だまりを見つけ
前足を伸ばしながら顔を埋めた

玄関の扉が開く音
猫耳だけを立てて
私に近づく
ご主人様の足音を確認した

あまり呼ばない私の名前を
呼ぶご主人
分かりました
私の苦手なお風呂ですね

私を抱くとお風呂場へ
軽くブラッシングし
優しく濡らし毛並みを泡立てた
私はご主人様の手の中

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猫化⑦

ひとり遊び疲れ
ウトウトと
睡魔が押し寄せた頃

ご主人様が
そっと
私を抱き上げた

少し窓を開け
部屋に風を通した
まだ風は冷たく
ご主人様の脇に
頭を埋めた

ため息をついたご主人様
私が
心配そうに見上げると
遠くを見つめるご主人様は
多くを語らないながらも
笑顔が減っていく日々に
疲れているようだった

私は
ただ優しく抱かれ
癒された
ご主人様は
ただ優しく
私を抱き癒された

時を共

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猫化⑥

寝不足気味で
イライラな私
ソファーの上を
うろちょろ

仕事が落ちついたご主人様
遊んでくれるのは
とても嬉しいけど

猫じゃらしや
爪研ぎくらいじゃ
この気持ちが落ちつかない

お気に入りのネズミのオモチャに
甘く噛みつき
後ろ足で何度もキック
やっと落ちついた

あとは
ご主人様の膝の上と
少しのマタタビ粉で
ゆっくり癒されます

そのあとは
ご主人様のお腹の上で
昼寝をご所望いたします

猫化⑤

今日は
キャットタワーの上から
ご主人様を観察

パタパタと忙しそう
そんな時に限って
じゃれたものだから
怒られたばかり

でもね
癒してあげたかったの
後付けだけど
ごめんなさい

近寄りたいのを
ちょっと我慢して
離れたソファーに
静かに移動

目線を向けて
ゆっくりと横たわる
眠くなって目を閉じると
優しい足音が聴こえ
冷たい手で私の額を
撫でてくれた
ゴロゴロとのどを鳴らす

気持ちで

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猫化④

ソファーで
横たわるご主人様
眠っているみたい
今しかない

ご主人様の足元から
ゆっくりキャットウォーク
起こさないように
ゆっくりと

私にとっての
特等席へ
ご主人様の胸の上

だって
寝顔が見れるじゃない
爪を突き立てないように
私もまっすぐ横たわる

すやすやと眠る
ご主人様の首筋に
両前足を伸ばしながら
どんな夢を見てるのかしらと
しっぽで優しくペシペシしながら

私の額で
ご主人様の

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猫化③

脱ぎ捨てられた
ご主人様の服の上
落ち着く香りを
クンクン嗅いで丸くなる

窓の外では、
黒い雨雲が
しぶとく居座っている

まんまるになって
ご主人様と添い寝する夢を見る
しっぽを撫でてもらいたい
欲望もちょっと

あの大きな手のひらが
こんなに
恋しいなんて
ご主人様は
罪なヒト

猫化②

静かに寄り添い
この眼差しは
ご主人様に向けない

だって
しっぽが私の心
ツンデレと言われても
これだけは譲れない

優しく手のひらに
近づきながらの
ペシペシ

強引にされれば
この爪を突き立てるけど
優しく撫でてくれるなら
そっと柔く絡ませて

今夜も月夜
ご主人様の隣で
小悪魔になる

猫化する

日だまりに陣取り
まんまるになる

ロシアンブルー
ご主人様の触れた物に嫉妬する
可愛らしい猫だ

毛繕いをしながら
深い眠りに落ちていく

高い所から
世界を見ている眼差しに
急かせかと動く
人間たちとは
せっかちな生き物か

日だまりを探しながらな
ご主人様の膝の上に
なんという
天国だろうか

守られ
こんな姿全てを
受け入れてくれる者