あの頃はあの頃で必死だった #14
半ドン技師です。
就職先の石野病院(脳神経リハビリ北大路病院の前身)は、急性期の病院でした。夜自宅で待機していると、ポケットベル(略してポケベル)が・・・
若い人のために一応ポケベルの説明しておきます。
移動中の人を呼び出すための携帯用無線受信機です。こんなの。
これ実際私が仕事で使っていたポケベルです。救急の受け入れが決まるとベルが鳴って、夜中でも30分以内に病院に到着しなければなりません。
不思議とポケベルが鳴る数分前に目が覚めてるんですよね。何かを感じる笑
時はアナログ時代末期。
病院に到着し、レントゲンを撮影したら暗室に入って現像作業。
現像に時間がかかるので、医師が写真の出来あがりはまだかと待ち構えています。そんな中、自動現像機から、真っ黒な写真や真っ白な写真が出てきた時の絶望感は半端ないです。医師、看護師を待たせて、もう一度一から撮り直し。患者さんの体格差でそんな事が簡単に起こるんです。その理由は下記のX線写真の原理をご参照下さい。
【X線写真(レントゲン)の原理】
X線が照射されて体内に入る。
X線が透過して体外に出ると⇒フイルムまで届き感光して黒くなる。
X線が体内で吸収されると⇒フイルムまで届かず感光しないので白くなる。
※この白と黒の濃淡の差でX線写真が出来ます。空気が多く透過しやすい肺は黒くなり、透過しにくい骨は白くなります。
だから透過しやすい細身の方は黒くなりやすく、透過しにくい体格のいい方は白くなりやすいので、撮影条件の判断を誤ると診断可能な写真にならないんです。いや、ならなかったんです。
デジタル時代の今は、撮影後に簡単に濃淡を調節できてしまいます。撮った写真をすぐに確認出来るようにもなりました。
再撮影も少なくなり、患者さんの立場から見ても、必要のない被曝が防げていいことだらけです。
ただ、一発勝負のヒリヒリ感は薄れ、一枚一枚の写真の重みが変わってしまった感じはあります。
実際使っていた昔の装置。
今はこんな感じです。
昔に戻りたいとは思わないけど、あの頃はあの頃で必死だったなぁとは思います。
アナログからデジタルへ
司法書士事務所で働いていた頃は、登記情報は紙で管理されていて原本の写しを登記簿謄本と呼んでいました。現在は、コンピュータで処理したデーターを印刷し登記事項証明書と名前を変えています。今、私が事務所に戻っても全く仕事にならないでしょう。
医療事務時代、莫大な量のカルテを倉庫に番号順に収納する速さは誰にも負けませんでした。今は電子カルテになり収納する作業自体なくなり、その技量は全く役に立ちません。
過去に培った技術や知識って役に立たなくなる事って多いですよね。過去に執着していては前には進めない。時代は移り行くもの。自分もそれに合わせて変わっていかなきゃならない。でも、色んな難局をどう切り抜けたかの経験は、無駄にはなっていない気がします。仕事に向き合ってた過去の自分が助けてくれる。そんな場面がきっとくると思います。
あの頃はあの頃で必死だった。
これ大切!
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