きたみまゆ

北海道在住。小説を書いたら漫画の原作を担当したりしています。既刊・コミカライズ情報はH…

きたみまゆ

北海道在住。小説を書いたら漫画の原作を担当したりしています。既刊・コミカライズ情報はHPに。 https://mayucafe.wixsite.com/mayu-cafe

マガジン

  • フレンドリーな取り立て屋さん

    サングラスにアロハシャツ姿のガラが悪いけれどフレンドリーな取り立て屋さんがでてくるシリーズです。

  • 金曜日のショートショート

    • 36本

    金曜日のショートショート企画主催メンバーの作品一覧です。隔週金曜日に更新予定です。

  • ドラマみたいなふたりのはじまり。

    年下男子は嫌いだし社内恋愛はしたくない先輩(女)と そんな先輩が好きな後輩(男)が 酔った勢いで一夜を共にして 逃げて追いかけての攻防戦がはじまるやつ。

最近の記事

ウェブトゥーンのシナリオ書きました

楽天から新しくリリースされたマンガアプリ『R-TOON』でシナリオを担当した縦読みマンガ、いわゆるウェブトゥーンが配信されました! ウェブサイトとアプリから、1日1話無料で読めます。 普通のサラリーマンの日野が、ある日無愛想な部下新木の心の声が聞こえるようになってしまい…というラブコメ。 今回は男性主人公なので書いていてとても新鮮で楽しかったです。 不器用な恋愛模様と、お仕事と、キャラクターたちの成長をぜひ見守っていただけたらうれしいです! ウェブトゥーンのシナリオは初

    • 文学フリマ京都に行ってきました。

      1月14日京都みやこめっせで開催された『文学フリマ京都8』に行ってきました! 昨年『文学フリマ京都7』では会場には行かなかったものの、藤白圭さん主催のアンソロジーに参加させていただいたり、望月麻衣さんのスペースにフリーペーパーを置かせていただいたりして、 そのとき皆さんから聞いた会場の様子が本当に楽しそうすぎて「来年はぜひ参加したい…!」と今回の京都行きを決めました。 それを望月麻衣さんと野々山りおさんに伝えたところ、「じゃあ三人で合同誌を作ろう!」とものすごい勢いで話が

      • 理性が崩壊するシチュエーションがすきです

        どうでもいい話なんですが エアリアルヨガをやってみたい。 どうもきたみです。 エアリアルヨガというのは、天井からぶらさがった柔らかいハンモックを使って空中で行うヨガらしいです。 私も布に包まれたり吊されたりしながらブラブラ揺れて体のあちこちを伸ばしたい。 絶対気持ちよさそう。 と最近ずっと思っています。 でも田舎なのでエアリアルヨガを教えてくれる教室がないんですよね。 調べたら自宅でできるようにスタンドと布も売っているんですが 買ったところで置いておくのは邪魔だろうし、初

        • 2月10日に新刊がでます

          お久しぶりです。きたみまゆです。 2月10日にベリーズ文庫さんから新刊がでます! 『激情を秘めたエリート外交官は、最愛妻を啼かせたい~契約結婚なのに溺愛で満たされました~』 今回のヒーローは外交官ということで、日本とアメリカが舞台になっております。 甘さたっぷりの番外編も書き下ろしました! 色っぽくて美しいれの子先生のイラストを目印にぜひ書店さんで探してみてください。 発売は来週の金曜日、2月10日になります。 よろしくお願いいたします。 いつも使っているTwitter

        ウェブトゥーンのシナリオ書きました

        マガジン

        • フレンドリーな取り立て屋さん
          7本
        • ドラマみたいなふたりのはじまり。
          8本
        • 金曜日のショートショート
          36本

        記事

          フレンドリーな取り立て屋さん書籍化されます

          『フレンドリーな取り立て屋さん』がKADOKAWAさんからコミックとして書籍化されることになりました。 もともとnoteで公開していたこの短編ですが pixivさんで開催されたマンガ原作コンテスト「コミカライズ・パーティ」でpixiv賞をいただき ロキチキンさん作画で書籍化の運びとなりました! 原作となった小説ではキャラクターに名前はなく、強面な取り立て屋さんが債権者のもとを訪れお節介を焼くというお話でしたが コミカライズされるにあたり設定から見直し 強面の取り立て屋の佐

          フレンドリーな取り立て屋さん書籍化されます

          ドラマみたいなふたりのはじまり08

          後輩を家に泊めたあの雪の日から、今まで以上に彼が気になるようになってしまった。 仕事をしていても、無意識に彼の姿を探してしまう。たくさんの人が話していても、彼の声だけをはっきりと聞き取ってしまう。 そんな自分に気づくと、慌てて首を左右に振り心の中で「別に好きなわけじゃない」と言い聞かせる。 だって、社内恋愛なんて面倒でしかない。 私は悪あがきのように、何度もそう繰り返す。 休憩時間に私が社内を歩いていると、後輩の姿を見つけた。 彼は女性社員たちにかこまれている。みんな私より

          ドラマみたいなふたりのはじまり08

          ドラマみたいなふたりのはじまり07

          俺は先輩のベッドでひとり横になっていた。 薄暗い部屋の中、ぼんやりと天井を見上げながらため息をひとつこぼす。 冷えた体を温めるために交替でシャワーを浴び、カップラーメンで夕食を済ませ、そろそろ寝ようかという流れになった。 先輩の部屋で眠れそうな場所はリビングにあるソファと、引き戸で区切られた寝室においてあるベッドの二か所。 俺はソファでいいと言ったのに、先輩は自分がソファで寝るからベッドを使ってと譲らなかった。 しばらく言い合いは続いたものの、長身の俺がどんなに足を折りたた

          ドラマみたいなふたりのはじまり07

          ドラマみたいなふたりのはじまり06

          「――先輩、今の本気で言ってます?」 低い声でたずねられ、その迫力にごくりとのどが上下した。 後輩がこちらに一歩近づき、私の背後にある壁に手をついた。 長身の彼と壁の狭い空間に閉じ込められ、鼓動が速くなる。 「俺がその程度の気持ちで先輩を口説いてるって、本気で思ってます?」 彼は静かな口調で言いながら軽く首を傾けた。 顎をしゃくるようにしてこちらを見下ろす不機嫌な視線が色っぽい。 「自分で言うのもなんですけど、俺はそれなりにモテるんですよ。遊びでいいからって言い寄ってくる軽い

          ドラマみたいなふたりのはじまり06

          ドラマみたいなふたりのはじまり05

          好意が先か、快楽が先か。 最近そんなことをよく考える。 そっけなく接しているのにめげずに私を口説いてくる後輩は、もともと好意を持っていたからあの夜私を抱いたのか、それとも酔った勢いでの一夜が予想外によかったから私に執着しているのか。 どう考えたって後者だろう。あのイケメンが前から私を好きだったなんてありえない。 入社したころから気になっていたと言われたけれど。私は来年で三十歳。幸せな恋もつらい経験もそれなりにしてきた。若い男の口説き文句を真に受けるほど馬鹿じゃない。 社内の

          ドラマみたいなふたりのはじまり05

          ドラマみたいなふたりのはじまり04

          先輩とふたり、打ち合わせのために取引先に向かった。 ビルの前でコートを脱ぐ。となりにいる先輩を見下ろすと、マフラーをはずすところだった。 綺麗なうなじとうすい耳たぶが目に入って、思わずごくりとのどが上下する。 寒さのせいで耳たぶが赤くなっていてかわいい。冷たくなった耳を甘噛みしていじめたい。首筋にキスをして、うなじにかみついて、痕を残したい。あんたは俺のものだってしるしをつけてやりたい。 そんなことしたら、確実にぶん殴られるけど。 俺のふらちな妄想を気配で感じ取ったのか、先輩

          ドラマみたいなふたりのはじまり04

          ドラマみたいなふたりのはじまり03

          一週間前。 俺はひそかに想いを寄せ続けていた会社の先輩と寝た。 そして、現在。 その先輩に露骨なほど避けられている。 仕事中は最低限の会話しか交わさないし、目も合わせてくれない。 仕事帰りに声をかけようとすれば、気配を察知してあっという間にいなくなる。 先輩が、あの夜のことはなかったことにしてしまおう思っているのが、表情や態度からひしひしと伝わってくる。 いくら酔った勢いだったとはいえ、ひどくないか? もし男女が逆の立場だったら、最低の行動だ。 だけど……。と俺は心の中でつ

          ドラマみたいなふたりのはじまり03

          ドラマみたいなふたりのはじまり02

          酔った勢いで会社の後輩と男女の関係になってしまうという、非常に不本意なことをやらかしてから一週間。 私はひたすら後輩を避け続けていた。 あの夜は本当に酔って理性を無くしていただけで、社内恋愛なんてごめんだし、私が好きなのはお互いに心地よい距離を保てる余裕のある年上の男だし、三十歳目前にして五つも年下のイケメンと本気の恋をはじめるなんて、ひたすら面倒でしかない。 もうこれは忘れたふりをしてすっとぼけるしかない。 そう結論を出し普段どおり仕事をしていると、私の右半身にするどい視線

          ドラマみたいなふたりのはじまり02

          ドラマみたいなふたりのはじまり

          ベッドの上で疲労感に包まれながらぼんやりしていると、隣にいた男が体を起こした。 どうやらシャワーを浴びに行くらしい。 あんなに動いた後ですぐにベッドから起き上がれるなんて、さすが若いな。こっちはさんざん喘がされたおかげで、寝返りをうつことすら億劫なのに。 そんなことを考えているうちに、どんどんまぶたが重くなっていく。 「先輩、シャワーはいいんですか?」 その問いかけに、わずかに目を開け首を横に振った。 申し訳ないけど、私にベッドから這い出す体力は残ってない。 「朝にする……」

          ドラマみたいなふたりのはじまり

          フレンドリーな取り立て屋さん6 今日も誰かの背中を押す

          「おい、お前。ちゃんと人生を楽しんでんだろうな」 仕事を終えた私が会社を出てバイト先に向かっていると、背後から声をかけられた。 少しかすれた低い声に、ぶっきらぼうな口調。 驚いて振り返る。そこにはふたりの男の人が立っていた。高そうなスーツを着た長身の男性と、サングラスに派手なアロハシャツを着た……。 思わず「あ」と声をもれる。 以前、父が作った借金の取り立てに来た人だ。 「フレンドリーさん!」 そう言うと、アロハシャツの男の眉間に深いしわができた。 「なんだそのフレンドリーさ

          フレンドリーな取り立て屋さん6 今日も誰かの背中を押す

          フレンドリーな取り立て屋さん5 物々交換をする

          炎天下の街をひとり歩いていた。 喪服を着た俺の背中に日差しが容赦なく照り付ける。 なにもかも熱かった。背中を伝う汗も、吐き出した息も、目じりに浮かぶ涙も、全部。 めまいに襲われ、視界が反転した。同時に世界から色が消える。 貧血か、熱中症だろう。冷静に考えながら、仰向けに道路に倒れる。 こんなところで倒れていたら、車にひかれるかな。そう思ったけれど、それでもかまわないと目を閉じた。 生き続けたところで、もう、妻には会えない。 「おーい。死んでんのか」 がらの悪い男の声で意識

          フレンドリーな取り立て屋さん5 物々交換をする

          フレンドリーな取り立て屋さん4 ケンカをする

          「待てや、ゴラァ!」 後ろからものすごい声で怒鳴られた。 俺は全力で走りながら、待てと言われて素直に待つ奴は最初から逃げないよな、と思う。 それでも待てと言いたくなるのは、狩る側の本能なのだろうか。 そんなことを考えながらも、必死で細い路地を走る。 捕まったら確実に殴られる。それだけじゃなく、下手すれば命の危険すらある。 だって鬼の形相で俺を追いかけてくるのは、正真正銘のヤクザだ。 友人に誘われてやけに高級なマンションの一室に連れていかれたのは六カ月前。 セキュリティーのしっ

          フレンドリーな取り立て屋さん4 ケンカをする