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のらねこ日記 ㊱

ミミコの帰還

  ケイちゃんが、虹の橋を渡って1年後のある日、いつものように外へ遊びに行ったミミコが夕方になっても戻ってきませんでした。
  心配した母が「ミミコ~!ミミコ~!」と、名を呼びながら近所を探し回りましたが、その夜は帰ってきませんでした。
  ミミコは、よく道を渡った向こう側にある原っぱで遊んでいました。
しょっちゅう出かけているので、
『ミミコは、畳の上では死ねないね』なんて冗談を家族で話していましたが、それが現実のものになってしまうのでは…と、わが家ではいやな空気が流れていました。
  翌日、「犬じゃないので、呼んでも無駄だ」と言う父を無視して、母はまた名前を呼びながら近所を探しました。
  すると、夕方お隣の娘さんがある情報を持ってきてくれました。
  昨日、うちから10件ほど離れたお宅の前で猫が車にひかれていたという話を聞いていて、うちの母の「ミミコ~!ミミコ~!」を聞き、もしやと思ってそのお宅にわざわざ確認しに行ってくれたことのことでした。
  ひかれた猫は、赤い首輪をした三毛猫で、飼い猫のようだけど、首輪に連絡先がなかったので、保健所に電話して回収してもらったそうで、お隣さんは保健所の電話番号まで調べてくれていました。
  父が保健所に電話すると、飼い猫である可能性があるからと、遺体は一応冷凍保管されていました。
   なんで、普段行かないところで、はねられてしまったんだろう…。
あの日、道路工事があったから、いつものルートから戻れず、別ルートから帰ろうとしたのかもしれません。
  翌日、父が引き取りに行き、ミミコは2日ぶりにわが家に戻ってきました。
  居間の座布団の上に寝かされたミミコは、思ったよりもきれいな状態でしたが、ポン太は近寄ることはありませんでした。
  こうしてミミコは、わが家から旅立っていきました。

  それからさらに1年後、すっか り年を取ったママちゃんも、囲い庭のポン太ハウスの中で、ひっそりと息をひきとりました。
  そして、ポン太はひとりっ子になりました。

最後まで自由な子でした
泥棒時代のママちゃん







  

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