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うちのちっちゃな物語

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これは、立正佼成会の女性教会長たちの「うち」で起こった物語。 どこのうちにもあるような事件。あるいは見逃してしまいそうな些細なできごと。 夫婦のこと。子育てのこと。嫁、姑のこと…
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2022年10月の記事一覧

娘の一言に「はっと」して

カスミソウ 新幹線で赴任先から帰ってくる私をいつも車で迎えに来てくれる娘と「おかえりなさい」「ただいま」と、言葉をかわす瞬間を今はとても幸せに感じています。 娘は、反抗期が人より少し早く、小学2年から小学4年まで続きました。口喧嘩が始まると、30分でも1時間でもくってかかる日々。あるとき、あまりのひどいへりくつに、つい手をあげてしまい、しかも3回ほど叩いてしまいました。すると、娘は私の顔を冷静にみながら「今の3回叩く必要ないよね」「1回でもよかったよね!」と言ったのです。

我が家に“ぷん”がやって来た

十二単‘S 2021年2月6日我が家にぷんがやって来ました。2020年12月6日生まれ2ヶ月の可愛い、ぶちゃいくネコちゃんです。私はワンちゃん、ネコちゃんに今までの人生で向き合ったことも、触れ合ったことも記憶にないほど無縁の存在でした。それがいきなり我が家のリビングにいるのです。娘は「今まで飼いたいといっても受け入れてくれなかった。だから、私は社会人になり独立して自分の意志で飼います」と宣言して連れて来ました。 ぷんちゃんは小さくて、はかなくて、可愛くて…私ははじめてぷん

普通って何ですか

モモがすき ある研修会で「普通って何ですか」というテーマで話し合う場面があった。 改めて“普通”って何だろう、と考える。 私の普通は、生まれてから自分の中で大事に育ててきた枠組み・価値観であって人とは違う唯一無二な思考と考えられる。しかし、時として「それって違うんじゃない」と言われると「普通じゃない」と否定された気持ちになる。 冷やしうどんには生姜が当たり前と考える人、ある人は七味唐辛子をかけるのが普通。自分の好みとは違うけど、これは許せる範囲の“普通じゃない”感覚。こ

デリカシーのない私

ダリア・マザー 窓から庭の草花の豊かな香りと、初夏の薫風が流れ込むリビングに、娘たちの笑い声が溢れる。連休に帰省した姉と話す妹は、嬉しさを隠しきれない。久しぶりに家族揃って食卓を囲む一家団欒は、至福のひとときです。 食事をしながら会話が弾み、笑顔でいたのも束の間、私が何気なく質問したひと言が場の空気を一転させてしまいました。娘が眉間にしわを寄せて「お母さんは、デリカシーがない」と言うのです。一体何がそう思わせたのか、尋ねても教えてもらえず、心が悶々とし始めました。「私が、

~子供たちに「ありがとう!」~

なわしろ 4人の子供たちは、寂しい思いをしてきました。自分たちの希望や楽しみを我慢して、大人中心の日常生活を過ごしていました。それでも今では、私たち夫婦を支えてくれています。母親として「ありがとう」の感謝の言葉を伝えている日々です 当時中学生だった長男は、私と一緒に畑の草むしりをしていた時に、「農家の後を継ぎたくない」と言葉にだしました。突然の一言にびっくりしましたが、幼い頃から「跡取り息子」と言われ続けてきた長男にとって、どんなにかプレッシャーだったろうと息子の心を察し

令和5年 降誕会

あきちゃん 婦人部員の私だったころ。年長さんになる娘は、大聖堂でのお稚児さんのお役をいただきました…ピンクの稚児さんの衣装を着て、頭に冠をかぶり、クロスにした手にはお花をもって緊張した面持ちで式典に臨みました。きっと、あの時もたくさんの稚児さんがいたのだと思いますが、私はわが娘しか見ていません。当時は、聖堂から旧本部までの練り歩いたような気がします。初めての草履で、娘は嫌だとも、痛いとも言わず、にこりともせず、一生懸命歩いて、ゴールである旧本部の花見堂に到着。灌仏会でやっと

今日も一日 ありがとうございます

ひまわり 我が家は、主人と私、二人の息子と近くに住んでいる嫁いだ娘と婿さん、4人の孫がいます。 みんなご供養が大好きです。 ある日、我が家で一緒に食事をしたとき、婿さんが娘に「ママ、今日ご供養した?」と聞きます。娘は「まだだけど」と答えます。「それなら今、ばーばの家でご供養したら」と娘にご供養を勧めます。娘は、「急にどうしたの?今でなくていいでしょ」と言いながらも、私と一緒にご供養しました。最後に「今日も一日ありがとうございました」と仏さまにお礼を申し上げたあとに、娘は合

ごめんなさい・ありがとう・いただきます

教会長:エアリーフローラ いま、主人と二人で暮らす毎日、食卓を囲む毎日。 そんなある日の夕食の時、主人が突然「ことし10月で結婚して45年になるな」と話だした所に、私の携帯電話に横浜に住む息子家族からテレビ電話がかかってきました。小学3年生、1年生の孫たちが「ばーば、一輪車乗って公園で遊んできた、バッスケットボールもしたよ、逆上がり連続できたよ」といっぱい話してくれる孫たちや息子夫婦と私も嬉しくなって話がつきず、気がついたら1時間以上話し込んでいました。電話を切って、「今は

親子対決の果て

教会長:レディー・おカカ 先日、3年ぶりに主人と娘と3人で温泉に行ってきました。このご時世、三人の休日を合わせることが出来たのはラッキーなことです。冬の温泉で身も心もほっこりと温められ、解されて帰る頃。チェックアウトの時間が迫り、部屋を片付け見回して、私の一言「うーん、片付け早いね。〇〇、みんなやればできるねぇ…」すると、娘が「何を言ってんの。自然なことですよ。余計なことしなければ…」と、穏やかに笑いながら申すわけです。心がやんわりして一気に回想録が出現。娘の思春期、壮絶な

子どもの正義

教会長:コトちゃん 東京で生まれ育った夫と私が、子どもを自然豊かな所で育てたいと郊外に引っ越してきたのは42年前のことです。 高台にある我が家は、春は一面桜色に染まりウグイスがさえずり、夏には緑濃い木々に囲まれてセミしぐれ。都心にある職場に通勤する夫の大変さと引き替えに、子どもたちは四季の味わいを体感しながらスクスクと育ちました。 長男が小学3年生のある日のことです。ヒヨドリのヒナを抱えて帰ってきました。どうやら木の上にある巣から落ちてしまったようです。 困惑した顔でいる

「雨降って地固まる」ものがたり

元教会長:はなちゃん 小さなケンカはあったけど初めて聞いた「離婚だ!」の一声・・ それこそ、ほんの些細のことから始まった高齢夫婦の口喧嘩。墓石は長方形が良いという夫に私は五輪塔がいいと譲らなかった。 ならば実家の五輪塔に入ると言ってしまった!その瞬間、夫のかみなり冒頭の言葉だった。 「離婚」の言葉に悔しさや切なさや悲しみが溢れ出て、心が落ち着くところ、「仏間」に緊急避難した。床の間には両家の父母と信仰している仏教の開祖さまの写真があり、ニコニコ笑っていた。そして一カ月前に

いのち・授かる

元教会長:ひさすえとまこ 不妊治療をしているさっちゃんから、無事にいのちが宿り、妊娠4か月という報告を受けました。ところが、出血が多くて入院中だというのです。 お話を伺った4か月前「明日、受胎しているかが、わかるんです!」と不安と希望が入り混じった表情で握手をしました。私は、そんな逼迫した時に、いえ、逼迫した大事な時だからこそ、何でもお役に立ちたいと頑張っている姿に心がキューンとしました。その後どうしたかなあと、気になっていましたが、聞くにも聞けずにいたのです。 私には

いつもあげちゃう⁈

元教会長:ひさすえとまこ 「のりはー?」と我が家の2階のキッチンの小窓から、子供たちが小学校へと坂を上って歩いていく背中に叫びました。娘の返事は「えー!のり、食べたー!」えっ⁈朝食に海苔を食べた話じゃなくて、今日図画工作で使う糊を忘れずに持ったの?と聞いているのに。 おおらかでなんでも人にあげるのが好きな長女は、図工で糊を使うので、家にある糊を集めて4つ持っていくと、準備していたのです。ですが、昨晩、机の上に置いたままになっていたのを思い出して、私は、叫んだのでした。 「