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うちのちっちゃな物語

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これは、立正佼成会の女性教会長たちの「うち」で起こった物語。 どこのうちにもあるような事件。あるいは見逃してしまいそうな些細なできごと。 夫婦のこと。子育てのこと。嫁、姑のこと… もっと読む
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記事一覧

古稀のお祝い

エモちゃん  私の都合で延期になっていた古稀のお祝いが開催された。豪華な食事と楽しい会話。あっと言う間に時が過ぎ、そろそろ記念写真の時間になった。写真を撮る前にと、小学一年生の孫が感謝状を読み上げてくれた。堂々と背筋を伸ばして、一生懸命に私を称えてくれた。私はニコニコ、ほっこりした気持ちで幸せを感じながら聞いていたが、主人は目にハンカチをあてていた。孫が一生懸命読んでいるその姿に感動したのか、読んでいる内容に共感したのか・・定かではない。  次にプレゼントをくれた。重い箱

家族は生きもの

風になびく柳 家族は生きものかも知れない。 「☆♯$※!★¥%になる?」 「えっ、なに?」 「だから、☆♯$※!★年になる?」 テレビを見ている夫のそばで趣味の本を読んでいた私は、せっかくの楽しみを中断されたようで、少しムッとし「何言ってるか分からない」と返した。いつの間にか夫婦共に高齢者の仲間入りをし、活舌が悪くなり、おまけに聞き取る力も衰え、老眼鏡が手放せない。 「だからさ、俺たち結婚して何年になる?」 どうして急にそんなこと聞くのかと思いながら、夫の見ているテレビ

【うちのちっちゃな物語】わが家の親ばなれ子ばなれ

ラピード  「お母さん、おれ大学辞めてきたから」3月になり、次の年に大学3年になる長男の授業料振り込みの準備をしていた私に、彼はボソッと言いました。「え~っ!…」いったい何が起こったのか理解できず、私は返す言葉もありませんでした。私に湧き上がってきたのは、「せっかく入学した大学なのに、なんで親に相談もせずに黙って辞めるの」という、怒りと絶望感でした。  私自身、高校、大学、企業に就職、やりがいのある仕事、結婚退社…と苦労もなく歩むことができました。だからこのコースが一番楽に

たいせつな時間

うすゆきそう  フルタイムで働いているような生活をしている私にとっては、久しぶりに行ける授業参観日。娘のエミも、出がけに「お母さん、今日、何着てくるの?かわいい恰好で来てね。」と、よほど楽しみな様子だった。同じ女の子でも、2歳上の姉からは、そんな言葉を聞いたことがない。3人兄姉の末っ子の娘は、ご近所のお母さん方にも、優しくて面倒見がよいとかわいがられ、どうやったらエミちゃんのような子が育つのですかとお手紙をいただいたこともあった。  いそいそと私も小学校に向かった。学年合

「〇〇さん、おはようございます」は魔法の言葉!

2023.11.1 金木犀 我が家は、主人と義母と私の3人家族。主人は海外出張が多く、結婚して45年の半分は離れて暮らしていました。昨年末、主人が定年になり、一緒にいる時間が増えました。中学生の頃からお互いを知っているので、些細な事で口論になります。 先日、私は台所の流しで野菜を洗いながら、コンロでお湯を沸かして、夕食づくりをしていました。主人が手伝おうとし、コンロと流しの間にある食洗機の中の食器を取り出してくれました。その時、鍋のお湯が吹きこぼれてしまいました。 主人

ほんとうの優しさ

のんのん もうすぐ36回目の結婚記念日。 主人とは、万灯行進を先導する纏の練習がきっかけで出会いました。そして、所属する教会の仏さまの前で結婚しました。 数え知れないほど喧嘩もしました。わがままな私を見かねて、2度ほど離婚を考えたことがあったと主人は言っていました。私も、ふっと教会の仏さまの前に行くと、反省の心が湧き、また向き合いながら歩んできたなーと思います。よくぞ、長い間共に人生を歩んでこれたと思います。 ある日、主人が最寄りの駅まで送ってくれました。ふっと、「どう

息子との子ばなれ!

マツマヨ 「俺一人暮らしすることにしたから」「えっ(聞いてないよ)」突然、息子の一人暮らし宣言。ビックリして単身赴任の主人に伝えると「いいと思うよ。色々な経験も大事」「そうね」とは言ったものの何か複雑な感じ。大学も職場も自宅から通っていたので家を出るのは初めて。聞きたいことは沢山あるけど、しつこく聞くと嫌がるだろうな、とりあえず見守ろうと自分に言い聞かせて数週間後。 今度は「部屋決めたから」「そうなの。どこに住むの(なんか寂しいな)」もしかして私、子離れしてない?結婚して

娘の一言に「はっと」して

カスミソウ 新幹線で赴任先から帰ってくる私をいつも車で迎えに来てくれる娘と「おかえりなさい」「ただいま」と、言葉をかわす瞬間を今はとても幸せに感じています。 娘は、反抗期が人より少し早く、小学2年から小学4年まで続きました。口喧嘩が始まると、30分でも1時間でもくってかかる日々。あるとき、あまりのひどいへりくつに、つい手をあげてしまい、しかも3回ほど叩いてしまいました。すると、娘は私の顔を冷静にみながら「今の3回叩く必要ないよね」「1回でもよかったよね!」と言ったのです。

我が家に“ぷん”がやって来た

十二単‘S 2021年2月6日我が家にぷんがやって来ました。2020年12月6日生まれ2ヶ月の可愛い、ぶちゃいくネコちゃんです。私はワンちゃん、ネコちゃんに今までの人生で向き合ったことも、触れ合ったことも記憶にないほど無縁の存在でした。それがいきなり我が家のリビングにいるのです。娘は「今まで飼いたいといっても受け入れてくれなかった。だから、私は社会人になり独立して自分の意志で飼います」と宣言して連れて来ました。 ぷんちゃんは小さくて、はかなくて、可愛くて…私ははじめてぷん

普通って何ですか

モモがすき ある研修会で「普通って何ですか」というテーマで話し合う場面があった。 改めて“普通”って何だろう、と考える。 私の普通は、生まれてから自分の中で大事に育ててきた枠組み・価値観であって人とは違う唯一無二な思考と考えられる。しかし、時として「それって違うんじゃない」と言われると「普通じゃない」と否定された気持ちになる。 冷やしうどんには生姜が当たり前と考える人、ある人は七味唐辛子をかけるのが普通。自分の好みとは違うけど、これは許せる範囲の“普通じゃない”感覚。こ

デリカシーのない私

ダリア・マザー 窓から庭の草花の豊かな香りと、初夏の薫風が流れ込むリビングに、娘たちの笑い声が溢れる。連休に帰省した姉と話す妹は、嬉しさを隠しきれない。久しぶりに家族揃って食卓を囲む一家団欒は、至福のひとときです。 食事をしながら会話が弾み、笑顔でいたのも束の間、私が何気なく質問したひと言が場の空気を一転させてしまいました。娘が眉間にしわを寄せて「お母さんは、デリカシーがない」と言うのです。一体何がそう思わせたのか、尋ねても教えてもらえず、心が悶々とし始めました。「私が、

~子供たちに「ありがとう!」~

なわしろ 4人の子供たちは、寂しい思いをしてきました。自分たちの希望や楽しみを我慢して、大人中心の日常生活を過ごしていました。それでも今では、私たち夫婦を支えてくれています。母親として「ありがとう」の感謝の言葉を伝えている日々です 当時中学生だった長男は、私と一緒に畑の草むしりをしていた時に、「農家の後を継ぎたくない」と言葉にだしました。突然の一言にびっくりしましたが、幼い頃から「跡取り息子」と言われ続けてきた長男にとって、どんなにかプレッシャーだったろうと息子の心を察し

令和5年 降誕会

あきちゃん 婦人部員の私だったころ。年長さんになる娘は、大聖堂でのお稚児さんのお役をいただきました…ピンクの稚児さんの衣装を着て、頭に冠をかぶり、クロスにした手にはお花をもって緊張した面持ちで式典に臨みました。きっと、あの時もたくさんの稚児さんがいたのだと思いますが、私はわが娘しか見ていません。当時は、聖堂から旧本部までの練り歩いたような気がします。初めての草履で、娘は嫌だとも、痛いとも言わず、にこりともせず、一生懸命歩いて、ゴールである旧本部の花見堂に到着。灌仏会でやっと

今日も一日 ありがとうございます

ひまわり 我が家は、主人と私、二人の息子と近くに住んでいる嫁いだ娘と婿さん、4人の孫がいます。 みんなご供養が大好きです。 ある日、我が家で一緒に食事をしたとき、婿さんが娘に「ママ、今日ご供養した?」と聞きます。娘は「まだだけど」と答えます。「それなら今、ばーばの家でご供養したら」と娘にご供養を勧めます。娘は、「急にどうしたの?今でなくていいでしょ」と言いながらも、私と一緒にご供養しました。最後に「今日も一日ありがとうございました」と仏さまにお礼を申し上げたあとに、娘は合