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見つかった糸口

紅しょうが

 その日は「夕飯は焼きそばね!」と主人に宣言して出勤しました。一日を終え、さあ帰ったらおいしい焼きそばを作ろう~と車を走らせました。朝からの強風が夕方になって更に強まり、並走する高速道路が閉鎖され一般道が混み始めました。

 ナビで混み具合を見ていて初めは余裕がありましたが、進まなさ加減に念のため主人に「お肉だけ解凍お願いします」とLINEをしたところ快諾…それでも中々進まない車に、最後は「焼きそば焼いて!」と伝えると全力で「ムリムリ!」の返事。カレーや麻婆豆腐を作れる人だから大丈夫と思ったのにまさかの答えで調子が狂ったものの、着いたら速攻で仕上げようと切り替えました。

 普段ならあと15分の道がこの日は1時間かかり、さあ着いた!と気がはやってるところにスマホが鳴り、焦って出たら主人の声。苦手な車庫入れ中ですぐには出られないもどかしさ。(なんてタイミング悪いの!)と不機嫌になり急いで台所のフライパンを取り出し焼きそばは完成。

 食べ始めたものの微妙な空気でテレビを見ながら無言で食べること5分。主人が「風が強かったけど事故もなく無事に帰ってこられてよかったね。」と。内心(やられた!)と、片意地張っている自分の小ささがにわかに迫ってきましたが、それだけでないものも心にありました。何にこんなに反応したのか、何がこんなはずじゃなかったのかを探してみると見えてきたのは(早く家に着いて美味しく夕飯を食べてもらいたい)という自分の気持ち。それが渋滞によって想定が崩れて主人とのやりとりも私からしたら想定外で、一人でこんがらがってしまっていたということでした。今までなら(また私のわがままが主人も自分をも傷つけてしまった・・・)と自己嫌悪に陥っていました。

 でも今回まちがい探しをせずに心の奥を見てみたら、お互いに相手を思っている気持ちがあっただけ、とこんがらがりがほどけて心の風通しが良くなりました。

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