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ごめんなさい・ありがとう・いただきます

教会長:エアリーフローラ

いま、主人と二人で暮らす毎日、食卓を囲む毎日。
そんなある日の夕食の時、主人が突然「ことし10月で結婚して45年になるな」と話だした所に、私の携帯電話に横浜に住む息子家族からテレビ電話がかかってきました。小学3年生、1年生の孫たちが「ばーば、一輪車乗って公園で遊んできた、バッスケットボールもしたよ、逆上がり連続できたよ」といっぱい話してくれる孫たちや息子夫婦と私も嬉しくなって話がつきず、気がついたら1時間以上話し込んでいました。電話を切って、「今は便利やなぁ、まるでそばにいるみたいに顔見れて嬉しいわ」と孫たちの遊んでいる写メも見ながら嬉しくて、嬉しくて主人に見せながら話しかけました。主人は、もう食事を終えていて、まだ残っている私の食事に「先に食べてからにしたらどうや」と促しました。

それでも、私は携帯電話を見ながら「いい子にすくすく成長してくれて、仏さまの子や」と見とれていました。主人がバッと椅子から立ち上がり「あんたは、孫、孫、息子、息子、嫁、嫁、娘、娘と喜んでいるけど、何言ってんだ!」と大きな声で注意されました。 私は、先ほどのうかれた気持はすっ飛んでしまい、「ごめんなさい...」と小さな声で呟きました。「お父さんという僕の存在がなかったら、あんたが可愛がる子どもも、孫も誰も誕生しないだぞ!」とまたまた大きな声で話す主人。「ありがとう、ほんまや、ほんまにありがとう」と主人の真剣に怒る気持ちに「ごめんなさい」と謝りました。

すっかり小さくなって謝る私に、「大体にして父親の存在をないがしろにしてるやないか!息子も」とますますヒートアップして話す主人。私は、この状態で尋ねたら𠮟られるかなと思いながら、「あの...せっかくの夕飯一緒に食べれずごめんなさい、食べていい?」と小さな小さな声で尋ねました。主人もハッとした感じで、「もう冷めてしまってるやろ、温めなおしてきたるわ」と台所に行き、「結婚したときは、可愛いくて尽くしてくれるあんたやったけど、まあ、45年の年月でお互い、両親のお陰で御教えに巡りあえ、親孝行な子どもたち、ジジババ孝行の孫たちを授けてもらったなぁ。あんたが、単身赴任でいなくなって台所にも入るようになったし」とぼそぼそと話す主人の背中を見て私は、心から「ありがとうございます」と背中に向かって伝えました。温めてくれたロールキャベツに心から「いただきます」を。どんな時も受け止めてくれた主人と結婚して、本当に「45年間ありがとう」と顔を見て、笑顔いっぱいで伝えました。
主人のあたたかさを思い返せたある日の物語です。


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