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【連載】独裁者の統治する海辺の町にて

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過疎の漁師町がある政治結社組織に統治された。否応なく組織に組み込まれた中橋康雄は少女凛子と組んで親友の神学者登坂士郎を殺害する。組織の統治支配の恐怖のなかで康雄と凛子はどうなるの…
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2023年6月の記事一覧

独裁者の統治する海辺の町にて(17)

独裁者の統治する海辺の町にて(17)

(17)

昨夜、例の倉庫で安倉雅子は言った。
「あなた、驚かなかないのね。知ってた?」
その通りだ。ただし知ったのはその前日、彼女の腹違いの弟であり恋人の永川謙二を殺害したことを平良主席に報告した夜だった。情交の後、主席が深い眠りの底にいることを確認したおれは、以前から気になっていた寝室の奥のドアを開けた。寝室から差し込む淡い光に照らされ、部屋の中央にある長テーブルの上に前方後円墳のようなものが

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独裁者の統治する海辺の町にて(16)

独裁者の統治する海辺の町にて(16)

 凛子は右目に眼帯をしたまま、食いちぎったトーストを牛乳で胃に落とし込んだ。口からあふれ出た牛乳は喉からTシャツの下の、膨らみはじめた胸の谷間に幾筋か流れていった。
「ちっちゃいなあ。先生みたいになりたいのに」
 シャツの濡れた襟ぐりを凛子は前にのばし、自分の胸を覗き込んだ。下の方はブルーのトランクスをはいているが、たぶんどこからか盗んできたのだろう。まあ、そんなことはどうでもいい。おれはここぞと

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