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教師は1年間担任をしたらその後の1年はヒマな状態にさせたほうが絶対に良いと思う

学校の教師をした経験はありませんが、講師の仕事をしていて学校の教師の仕事の取り組み方について思った事があったので、今回はそのことについて書きます。

新入社員研修は大変

私はプログラミングの講師をしていて、基本的には個別指導で生徒に教えていますが、4月~6月の3ヵ月間はIT企業の新入社員向けの新人研修の講師をしています。
その研修の期間中は、仕事でそれなりの時間を取られるため、自分の時間を多く作ることが難しかったりします。
新人研修の期間は、10数名~20数名単位の人数に対し、1日約8時間×約3ヵ月の期間で基礎からがっつりプログラミングの技術を教えます。
新人研修では新卒で採用されて新社会人になる人がほとんどのため、社会人としてのマナーや仕事の基本、仕事の対する考え方など、様々なことを教えていきます。

研修期間では定時が過ぎた後も、残って学習を続ける研修生のサポートをしたり、全員分の日報をチェックしたり、課題や演習問題を確認したりします。
それが終わった後に次の日の講義の準備したり、テストや演習問題を作成する場合もあります。
また、毎週、研修生全員分の成績と報告書を作成します。この作業もそれなりに時間がかかります。
後半の1ヵ月になると、講義は終了して個人やグループでの開発演習になるため、最初の2ヵ月に比べると時間は作りやすくなります。
それでも、報告書の作成や質問対応やフォローなどでそれなりの時間拘束されます。

ある程度経験を積んで慣れてくれば、講義内容もある程度頭に入って、演習問題やテストのストックも増えるため、効率が上がってきます。
そうするとある程度自分の時間を作ることは可能になってきます。
それでも、研修期間は自分の時間を多く作るのは難しいです。
そのため、新しいことをがっつり勉強したり、業務改善や仕事の質を上げることに力を使うことが難しかったりします。

※一応補足しておくと研修は大変ですが講師をするのは楽しいし好きです。
愚痴ではないことを補足しておきます。

研修が終わった後の振り返りが大事

プロジェクトではよく終わった後の振り返りが大事だと言いますが、研修も同様です。
終わった後は詳細に振り返りを行い、次の研修での質の向上に役立てることが大事です。
いわゆるPDCAサイクルです。

私の場合、基本的には新人研修の講師は4月~6月の3ヵ月間なので、1度研修が終えた後は、7月~来年度の4月まで、約9ヶ月間の空き時間があります。
実際には7月の中旬頃まではまだ報告書の作成の仕事が残っていますし、新人研修以外の期間は個別指導での教育や開発の仕事、既存社員向けの講座なども行っています。
そのため、何もしなくなるわけではありませんが、研修期間に比べるとかなり時間に余裕ができます。
この余裕のある時間が私の取ってはとても貴重な時間でした。

正直、初めて新人研修の講師をしたときはかなり大変でした。
自分の中にノウハウがなかったので、探り探りの状態だったので色々と苦労しました。
ただ、研修が終わった後に振り返る時間が多くあったことで、かなり多くのことを学べました。

・プログラミングの技術的な内容
・教え方
・講義の仕方
・講義の構成
・講師としての立ち振る舞い
・新入社員に伝えるべきこと
・新人エンジニアに伝えるべきこと
・伸びる研修生、伸びない研修生の分析
などなど

これらの事柄について、一つ一つ自分の中で整理することができました。
そして、次回の研修の時には何をどう伝えるべきか、どう振舞うべきか、など、講師としてやるべきことをじっくり考えることができました。
また、時間に余裕があったので、勉強する時間も多く取ることができました。
その結果、研修を振り返る中で講師として自分に足りない部分や知らないことは書籍を購入して読むなどして自己研鑽ができました。
そのおかげもあって、2回目の研修では、1回目の研修に比べてかなり満足いく研修ができたように思います。
もちろん、まだまだ講師として身に付けたいことはたくさんあり、完璧な状態になることはありませんが、1度の経験で大きく成長することができたと感じています。
新入社員研修は新入社員を育てるための研修ですが、私が初めて講師を担当した研修では、おそらく最も成長できたのは講師の私自身だったと思っています。
現在はそれらのノウハウを洗練させながら文章を整理してnoteにアップすることに注力しています。

仮に最初の4月~6月の研修期間が終わった後、あまり期間を空けずに次の研修に入っていたとしたら、振り返りの時間があまりとれなかったため、おそらくあまり成長していなかったのではないかと思っています。

教師にはヒマな時間が必要

私は学校で教師をした経験はありませんが、講師の経験から学校の教師の大変さはなんとなくイメージできます。
特に担任などを持つと余計に大変だと思いますし、教師の人がいつも忙しいと言っているのも理解はできます。
ただ、私の経験から言えば、常に忙しい状態ではその人が大きく成長することはありません。
時々、常に何か行動していていつも忙しそうにしながらもどんどん成長していく人もいますが、そういう人は少数派だと思います。
成長するためには忙しい時期があることは大事だと思いますが、その後それなりに多くの時間をかけて振り返ることをしなければ、成長は望めないでしょう。

学校では1年という単位で教育を行います。
夏休みや冬休み、春休みといったまとまった休みの期間もあるかもしれませんが、1年という教育期間を考えると短いです。

私の感覚では1年間担任などのある程度忙しいポジションでの仕事をしたら、その後の1年は比較的時間に余裕のある状態にする方が良いのではないかと思います。
そしてその余裕のある1年でたっぷり振り返りをして教師としての自分をアップデートし、他の教師の人たちとも情報共有することが大事だと思います。
少なくとも最初の5年くらいは、忙しい時期とヒマな時期を交互に繰り返して、たくさん振り返りの時間を取った方が成長できると思います。

1年間忙しいまま過ごし、その後振り返る時間をまともに取れない状態で再び忙しい状況になったとしたら、その教師はおそらくあまり成長していないのではないかと思います。
10年以上教師の経験があるなど、ベテランの人であれば、何年も連続して忙しい仕事をしても良いかもしれませんが、若手の教師が何年も常に忙しい状態であるのは最悪の状態だと思います。
経験を重ねることで、徐々に慣れてくると思うので、慣れてきたら自分の時間が増え、自分の成長のために使える時間も増えてくるかもしれません。
しかし、それは非常に効率が悪いと思います。
教師の成長が遅いと、結果として損をするのは教わっている生徒です。

教師の成長がなければ学校教育が良くなることはあり得ません。
学校教育の質を上げるためには、教師がヒマな時間を多く取るための仕組みを作ることが大切ではないかと思います。


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