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【戯曲】唯花 〜 YUIKA①

■【 登場人物 】

【 天利 ユイカ 】(17歳)
都内の高校へ通う高校2年生。成績優秀で特に目立った問題もない生徒だったが、2年へ進級してからすぐに登校拒否になった。これによって一年留年ということになる。夢や希望が見つからず、人間関係と競争社会に疲れ果てたことによる。母の顔を見るとつらくなるため、極力お見舞いに行かないようにしている。何かにつけて『あ~死にたい』を口にする。父はユイカが幼い頃に他界している。

【 カレン 】
人が天寿をまっとうするときにその人の前に現れ、然るべきところまで送り届ける死神エージェント。この業界では『大御所』と呼ばれ知らぬ者はいない。任務遂行率100%、遂行のためには手段を選ばない、と言われているが真相は定かではない。今回は山田からの依頼により、ユイカの担当となったが……。ユイカを励ましながらも、時に厳しく接する先生のような存在。ユイカの成長のキーとなるキャラクターである。
【 天利 ミサキ 】(40歳)
ユイカの母。夫と死別してからはユイカを女手ひとつで育ててきた。それが原因で体を壊し、長期に渡って入院している。

【 レイコ 】 (40歳)
ミサキが入院している病院の看護師で、ミサキの小中学生のときの同級生にして親友。ミサキの病気の治療にもあたっているが、改善の見込みがないことが既にわかっている。ユイカのためにもなるべく生きていたいとするミサキの願いを受け入れ、懸命に延命治療を続けている。ミサキの相談役。

【 鈴木田 マサ 】 (30歳)
ミサキの弟。熱血体育教師。本作では、ユイカ親子を励ましたり、過去のエピソードなどを語るなどの役割を持つ。ユイカが唯一心を許している人物でもある。若干KYなところがあるが、人情味溢れるいい人。こういったところがユイカからバカにされている。

【 見延 チエ 】 (年齢不詳)
佐藤家のご近所さん。世界を飛び回るジャーナリストのお姉さん。
悩みの多いユイカの相談役になり、憧れの存在。

【 リサ 】(24歳)
外国からの留学生。朝早くから新聞配達をこなし、昼は学校、夜は深夜まで道路工事をしている苦学生である。それでも明るく、苦にならないという。日本をこよなく愛し、最終的に祖国との友好の橋渡しになる仕事につきたいという夢がある。生活が恵まれているにも関わらず、不幸なユイカとの対比。

【 山田 】
前回、ミサキの父をむかえる任についた死神エージェント。その後、ロザリーの計らいで『○死ニ(死神監査局二課)』へ転属。現在は各死神エージェントのマネージメント業務を行なっている。今のところ『○死ニの山田』などとは呼ばれていない。ロザリーから『ミサキの案件』を任されるが、カレンに依頼する際に、間違って(?)ユイカのプロファイルを渡してしまう。後にそのミスがバレることになるのだが……


【 ロザリー 】
死神監査局統括本部に籍を置くエリート。通称『○死のロザリー』。規則に厳しく容赦ない監査業務っぷりから死神エージェントたちに恐れられている。

【 あらすじ 】

 女子高校生の唯花は、駅のプラットフォームで独り「あ〜死にたい」と呟く。「…そ。じゃあ、今すぐそうしてあげるわ」死神エージェントと名乗る女ヘレンがお望み通りとばかりに、唯花に余命一ヶ月と死の宣告をする。「この世の全てを愛してから死になさい」と言葉を残して去る死神ヘレン。高校生の唯花には、病院生活に耐える母がいた。父も幼い時に亡くし夢も希望も失いかけていた唯花は、残された一ヶ月を生きようとする。一方、唯花の母親、千鶴も独りで死を見つめていた。そんな母のお見舞いに娘である唯花は顔を出さない。残された時間の中ですれ違う母娘と死神の物語。

【 プロローグ 】

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