見出し画像

タカシクエスト 第20章


タカシクエスト 第20章


発達障害を持つ祖父は、能力は高いが気性が悪い。なので、とても一緒には暮らせなかった。

さらに、母は父とも仲が悪かった。

だから、喧嘩をする度に母の姉が住んでいる千葉県船橋市へ逃げていった。

しかし、何度も姉に迷惑を掛けるわけにはいかないので、富士吉田市内のアパートを借りて住むようになった。

そして、そのアパートで騒音問題が発生した。

俺が住んでいる城は山の中にあり、周囲は森に囲まれていた。

だから、いくら大声で叫んでも近所迷惑になることはなかった。

しかし、アパートとなるとそうはいかない。

大声が近所中に筒抜けになってしまう。

そして、俺は勇者なので、一般人では出せないレベルの大声が出せる。

だから、一般の村人と同じ住居に住むのは難しかった。

それで、隣の家には20代くらいの奥さんが住んでいた。

その奥さんは、引っ越してきた当初は元気良く、「こんにちは!」と挨拶をしてきた。

けれど、数日後、奥さんの反応が変わった。

階段ですれ違うと、「あっ…こ…んにちは」となった。

そして、数週間後には、「あっ…ああ」となった。

俺の大声がうるさくてたまらないようだ。

けれど、「言いたいことも言えないこんな世の中は」
という状態だった。

奥さんには悪いことをしたと、今でも後悔をしている。

オラに力(お金)を分けてくれ~。