ただいま家族留学中。
最近、新聞で「家族留学」という言葉を目にしました。なにやら、若者(大学生)が将来、仕事と子育てを両立するイメージができるように、子どものいる家庭に1日「留学」し、育児の話を聞いたり子どもと交流して育児体験をすることらしいのです。そして、気づいたのです。
「そうか、私はこの家に留学しているんだな」
昨年の8月、私はアメリカでの大学院留学を終えて帰国し、小・中学時代の友人ジェームスと妻ナギ子と二人の息子たちの家に上がり込み、寄生生活をしています。…と思っていましたが、この生活はなるほどびっくり、新たな留学だったのですね。自国でホームステイというか。考えてみれば毎日、共働き夫婦が仕事と育児に奮闘する姿、家がおもちゃやら洗濯物でぐっちゃぐちゃになっていく様子、そして子どもたちが笑ったり泣いたり怒ったりしながら成長していく姿を家族の距離感で、リアルに観察しています。育児体験に惹かれてこの生活を始めたわけではないけれど(参照:「なぜ寄生?」)、図らずともこの暮らしは家族留学の何ものでもないような気がしてきました。
この家族留学で、私は図らずとも育児に参加しています。みらい(6)を小学校へ送り、そこでママ友を作り、仕事の帰りにかのん(4)を保育園でピックアップする。これによって、おそらくナギ子の負担が少し軽減し、私は職場で5時ぴったりに「お迎えあるから帰らないと!」という仕事と子育てを両立するワーママ生活を擬似体験することができます。
↑道に落ちている物に反応するかのん
あとは、こんなこともやっています。
・ジェームス・ナギ子が休日出勤時のベビーシッター
・給食エプロンのアイロンがけ
・破れた服や穴の空いた靴下の修繕
・持ち物への名前書き
・日曜日のパンケーキ作り
・かのんとカフェデート
・保育園&通学グッズ(袋・ランチョンマットなど)の製作
気が向いた時だけ孫に世話を焼いたり、暇な時に遊びに来る祖父母のように、育児の楽しそうな部分だけを、私自身が楽しい時だけやっています。持ち物への名前書きも飽きたらそこでやめてもいいし、定時に仕事が終わって飲みに行きたくなったら飲みに行きます。真夜中におねしょやgeroや鼻血Booしたシーツを変えることも、泣きわめく子どもを風呂に入れることも、汚れたパジャマの洗濯もしなくていいのです。24時間365日親として責任を負うリアル親の責任感とは程遠く、「楽しいことだけやるママ」をしながら、最近ずっと一つの疑問を抱えています。
私は子どもが欲しいのか?
今年33歳になりますので、いつか子どもが欲しいならその「いつか」は生物学的に目前に迫ってきているように思います。現在、私にパートナーがいればその人と子どもが欲しいときっと願ったであろうと思いますが、特にそういう人もいません。ただ気づいてしまったのです。
本当に子どもが欲しくて、いいタイミングでパートナーに出会わなかったら、計画的にシングルマザーになるという選択肢があることに。
それは、アメリカでの留学生活の中で、現実味を帯びた選択として存在していることを感しました。経済的にも自立したアメリカ人の友人(独身)は第3者の精子提供による体外受精を試みていましたし、逆に子どもを授かりたい夫婦のためにドナーとして卵子提供をしている友人もいました。生殖医学の進歩が一般人の生活に溶け込みつつあることを体感したのです。選択的にシングルマザーになる女性を描いた映画(Maggie's Plan)も見たりして、(もちろん日米で受けられる医療は違いますが)もし私がこの人生で本当に子どもが欲しければ、何かしら方法があるのかもしれないと思うようになりました。
家族留学を始めて、まもなく1年がたとうとしています。1年とはアメリカの大学院修士課程では折返し地点、いよいよ修士論文を進めていくという地点です。私は就いている仕事で答えを見つけたい問いがあり、2年間現場を離れてアメリカの大学院に留学し、一定の答えと発見を得ることができました。が、さてどうでしょう。この家族留学で「私は自分の子どもが欲しいのか?」という問いへの答えは出るのでしょうか。
ところで、「家族留学」サービス(希望者と家族のマッチングなど)はmammaという慶応大学の学生が作った会社が運営しているそうです。
mammaの「家族留学」参加費は、学生4,000円、社会人5,000円(参考)。
私はジェームス一家に家賃として月3万円納入していますが、mammaを通して「家族留学」をするとなると1ヶ月の留学費用は単純計算で5000円×31日で15万5千円。
完全に元が取れていますね!
家賃3万円(光熱費込)で、人と暮らす安心感と疾病時ルームサービス付きですよ?!その上、育児体験オプションまで付いているのです!やっぱりこの寄生兼留学生活、コスパ良すぎませんか?ということで、今年の9月から家賃を3万5千円にすることにします!
その代わりといってはなんですが、部屋にクーラーがなかったので、夏を乗り切るためにクーラーをつけてもらいました。
お小遣いで買ってくれたジェームス、ありがとう!