【詩】心細し

うらぐわし、と口ずさむ

手櫛ですかれる御髪の画が現れる

やはり長く　黒く　細い　柔い髪だ

やはり手は端正で　指は毛束を他愛ないものとし　すくう

うらぐわし、と口ずさむ

舌が手櫛となり　かな文字をとかす

絡んだ髪を張り逆撫でれば

指が鼓膜となり　揺さぶられる

心は伏せられている

裏返すほどの画など貼っていない

緻密さに圧され　重厚さに塞がれ　深遠さに眩み　巧妙さに畏れ

力少なく　いとしいとすらも言えず

うつむいた