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突然の西行き 初日編(1)

 おはようございます。こんにちは。こんばんは。きりやです。非常にお久しぶりです。長らく放置されたこのnote、2020年初頭に急に思い立ち旅行記などを残そうと開始しましたがその後おり悪く、みなさんご存じあのウィルスが大流行、あえなく私の筆は粉微塵になったのでした。

 あれから2年・・・ワクチンを3回接種し、よほど運が悪くない限り死ぬ可能性が低くなってきた(もちろんしっかりマスクして感染防御する前提です) と思われる今年2022年、本格的に旅行を解禁することにしました。これは今年の8月20日から23日の4日間にわたってお盆休みに敢行した

「突然の西行きOBON2022」

の拙い記録です。例によって私きりやがどういう思考で旅程を決めて動いていったかをわかりやすく書くように努めました。まずは事前準備と初日の部分、執筆しましたのでどうぞご笑覧ください。
(以後、口語文体とします。約5000文字・・・🤣)

 

事前準備編①

 当時小売業のDX部門に勤めていたきりやは8月のお盆休みをいつ取得するか悩んでいた・・・いかにDX、ITをつかさどる部門といえども小売業というジャンルは年末年始や盆の長期休みを否定していたのである。しかし2年押さえつけられていた旅行行きたい欲、略して「旅行欲」※1はついに爆発のときを迎えその奔流は有休消化と会社指定休日の合わせ技という形で8/20-24の連休として形を成したのである。

※1 “旅行欲”は4大欲求の一つとして数えられるほどにはメジャーな欲求であり、われら遠き祖先がアフリカから旅の果てに世界中へ拡散し、今や南極や宇宙にすら生存域を拡大させた故事にみられるように、人類にとって回避しがたい基本的なものである。

 さて休みの日程は決した、しかし旅程の組み立てには困難が立ちはだかった。休みの確定が直前だったのである。(以前にもありましたねこういうの)こういう場合、事前の入念な準備による訪問地やコストの最適化は極めて難しく、結論から言えば旅程を明確に確定させないまま8/20の午前11:21、この身は東海道新幹線”のぞみ333号”へ滑り込んでいたのであった。旅程は移動しつつ決めるとして全体的な方針としては下記5つの実績解除※2を「突然の西行きOBON2022」の主要なミッションとして設定した。
※2 ゲーム脳なもので・・・

①夜行フェリーに乗ること
②博多のららぽーとへ行き限定ガンプラを調達すること
③9/22で廃止される博多⇔長崎の特急に乗ること
④長崎市内を1日観光すること
⑤JALのマイルを利用して帰還すること

8/20(土) 東京→関西編

 旅程を確定させないとはいえ、何の打算も無く新幹線へ乗り込んだわけではない。コロナの感染対策と旅行の両立はこの旅の極めて重大なテーマである。具体的には可能な限りの3密回避を大きな前提とした。3密回避にあたって、東京発の東海道新幹線で混雑回避に有効なテクニックは大きく下記4つある。

①半端な時間に乗車すること
10:00などのキリの良い時間発は待ち合わせ等に使いやすく混雑する
②午後2時着など微妙な到着時間の列車を選択すること
旅行者の多くは朝一で行動開始して1日をなるべく長く活用したいと考える。そのため昼間の便は比較的人気が無い。
③新大阪止まりを選択すること
意外と新大阪以遠の需要もあり新大阪止まりよりも混雑する。
④ホーム端っこの車両を選択すること
指定車なら16号車とか良いよ。みんな歩きたくないんだね。

このような混雑回避の観点から自分の到着時間にほどよく都合が一致していた11:21東京発”のぞみ333号”新大阪行きをターゲットに定め、東京駅へ向かったのであった。

のぞみ333号(ぞろ目だね) 新大阪止まり

 新幹線といえば改札口でどの切符を投入したものか・・・とまごつく旅行者の姿は特にお盆などの繁忙期によく見かけるが、時代はペーパーレス、JR東海のチケットレス乗車サービスであるスマートEXを活用するのがおすすめ。発車直前まで購入可能だし、モバイルSuicaのIDを登録しておけば普段使っているiPhoneでそのまま乗車できる。

 ここでは詳しくサービス内容を説明しないけれど、紙の券を複数枚渡されて改札で「UWAWA!」と混乱するということが無くなる。1度設定しておけば券売機や有人窓口に並ばずアプリ上で完結できてオススメなので、慣れてない人こそ是非調べて活用してほしい。慣れている人は乗車券分割選択乗車等を駆使するヨロ。一筆書き切符もいいね。

 さて乗り込んだ”のぞみ333号”は狙い通りガラガラで、隣席も前後も人が来なかった。16号車はホームの端っこでかなり歩く必要があり疲れたくない旅行者はエスカレーターや階段の付近の車両に集中しがち。まずは関西行き第一歩が快適なものになることが約束され大満足のきりやとともにのぞみは一路京都へ時速285㎞で向かった。

 道中ではSSKA、通称 #シンカンセンスゴイカタイアイス※3 と格闘、ドン曇りで富士山チャレンジに失敗するなどいくつか出来事はあったが定刻通り京都へ到着した・・・これからどうするか・・・
そう、この段階で旅程は碌に確定していないのである!
※3 面白いからツイッターで検索してみてね。単体で書いたnoteも実はあるよ!

霜がつくほど冷たい状態で提供される。もちろん購入直後はすぎて食べられない・・・

8/20(土) 関西編

 編とつけたがあまり特筆すべきことはしていない。Apple京都の開業時のノベルティTシャツをたまたま着用していたので冷やかしに行き、京阪プレミアムカーに乗って淀屋橋へ、着いたらバイクシェアを借りて御堂筋沿いを近代建築巡りしつつしばらくウロウロし、いつの間にかギリギリの時間になってしまったので急いで近鉄日本橋から神戸三宮行きの電車へ飛び乗り、阪九フェリーの神戸側乗り場へ向かった。ぐっと縮めるとそんな感じで適当に過ごすことになった。これだけ端折ったのはフェリーのため・・・

関東圏とは比較にならない高水準のサービスが受けられるのが私鉄王国関西である


事前準備編②‐ フェリーを決めよう

 さて上のほうで”旅程を明確に確定させないまま”と書いていたが実は事前に決めていた旅程が一つだけあり、それが8/20夜の関西→九州のフェリーだった。グダグダと決断できず外出のタイミングを逃すというのは私自身によく起きる困った出来事で、そういう時は旅程のどこか一つをえいやと予約することで退路を断ち、行動するやる気を無理やり発生させる荒業を使うことになる。今回もそのパターンで予約をして支払いまでしてしまうことで、当日の夜7時までに神戸にたどり着かないと予約が無駄になる!という迂遠な方法で自らを強制的に動かしたのである。

 とまぁ背景の事情はともかくこのフェリーを決めるときの話もしておきたい。長距離フェリー航路不毛地帯の東京にあって最大の希望の星、東京九州フェリーが開業したのは2021年7月で、今回活用することを考えていた。しかし前述の謎のグダりによって予約期限も現地購入が間に合う時間も過ぎてしまった。

 8/19の深夜に横須賀を出て九州に向かい、翌日博多で1泊という選択肢が見事にとん挫、翌日新幹線で関西へ行きそこからフェリーに乗るというひと手間が増えることになった。(ちなみにこのルートは東京九州フェリー登場以前の関東民が九州行きフェリーを利用する際によくあるルートである)

 関西から九州へ向かうフェリー航路は東日本在住から見るとまばゆいばかりのラインナップで、瀬戸内海という比較的安定した内海と両端地の豊富な人口※4 を背景に数多くの会社によってフェリー航路が多数運航されている。今回は個室なるべく安く(具体的には1万円未満)が満たせてかつ、なるべく新造船で直前予約でも空席があるという条件で絞り込んだところ、阪九フェリーの2020年就航の新造船「せっつ」シングルDXに空きがあったので決めるに至った。

※4 関西圏は言わずもがな、着地のメインである福岡は2つの政令指定都市を抱えている。歴史的には高速道路網の整備が山陰地方では遅れたことも背景にあるようだが・・・

8/20(土) フェリー編

 さて肝心の新造船「せっつ」の旅、2つほどあった不満点を除いて大大大満足だった。まずはよかったところから・・・さて、フェリーといえば皆さん何を思い浮かべるだろうか。生憎の低気圧!傾く船体!飛び散る水しぶき!窓枠の上端から下端まで揺れ動く水平線!嘔吐者続出阿鼻叫喚!・・・も船旅の醍醐味ではあるけれどもこれはエクストリームな例。基本的には見渡す限りの穏やかな海や遠くに見える陸地や町の灯り、水平線の彼方から登ったり沈んだりする太陽や月、下をくぐる大きな橋等々たくさんの魅力がある。

新門司港付近 多くの船が見える

 今回の瀬戸内海、神戸→新門司の魅力は瀬戸内海を行きかう多くの船舶や、3つある長大橋(明石海峡大橋瀬戸大橋来島海峡大橋)を通過すること、遠くに見える山や街、瀬戸内の穏やかな海、など挙げればきりがない。船自体の魅力も大きい。特筆すべきは展望露天風呂で、遠く海を眺めながら潮風を感じつつ風呂につかるのは「人生で最高の風呂体験」といっても大げさではない。レストランもメニュー豊富で和洋中、いろいろな好みに対応できる。船の上で海を眺めながら食べる朝食はこれまた格別で、絶対に経験しておくべき最高の食事だ。

明石海峡大橋 右側が神戸、左側が淡路島
船内のモニターではリアルタイムに現在地が表示される。
これは来島海峡大橋の通過をお知らせしている。

 船の魅力はまだまだ続く。新造船「せっつ」は個室部屋を多めに採用し、長距離フェリー航路に抱く一般的なイメージ、大きな部屋に枕が並んでいてすし詰め(最安の需要はあるのでこのタイプの部屋は新造船にもある)、というイメージの払しょくを図っている。今回私が利用したのは個室の中で最安のデラックスシングルという船室で、ネット割引(2割)とポイントを利用して1万円切りで神戸→新門司を移動できた。内装は木目を中心としてそれなりに高級感があり、中でタオルやTシャツを洗いたいという需要から独立洗面台があることも決め手になった。

夏休み期間はネット割引が適用されないと思っていたのでサプライズになった。
デラックスシングルの室内

 さて、意気揚々と船内に乗り込んだ私はある困難に直面した。財布の中の現金は3千円・・・勘のいい方なら気づいたかもしれない。2022年、令和4年の夏、DXが叫ばれ、コロナ対策が求められる現代においてなんと・・・支払いが・・・

現金のみ!!!!!!!!!???!???!!!!!!???

だったのである。旅行先での万が一のため最低限の現金を出してはいたが、その万が一が発生してしまった。普段の支払いはすべてキャッシュレス、現金に触れることは1か月に1回あるかという生活をしているので、現金払いという体験のあまりの劣悪さには堪えるものがあった。もちろん事前調査の甘さは批判されて然るべきで、わかってて乗るものでしょ、という指摘には素直に首肯するものである。ただ国内最大手のフェリー運航を担う会社でグループ会社である東京九州フェリークレカ決済に対応しているのは知っていたことで、"当然"阪九フェリーもクレカが使えると思い込んでしまったのはやむを得ないと思う。内海航路である瀬戸内海より電波事情が悪い太平洋上を進む東京九州フェリーではクレカに対応してることで技術的困難に由来するというよりは意図的に現金以外を無視する経営判断の結果であることが伺えたことから、意思決定にあたっての母数として計上されることを期待して、現金以外の利用が可能になることを要望するメールを光の速さでしたためて送信した。小さなことだが声を上げることが世の中を良い方向へ変革する。仕事でもプライベートでも何に対しても言えることだが、

改善や進歩は受け身では実現しない!

 そんなこんなでなけなしの現金をつかって1850円のローストビーフ丼を船内でいただいた後、つながりにくいWi-Fiと格闘しつつ、ここまでの文章を、エンジンの軽い振動を足元に感じつつ(これも船旅の魅力だね)執筆して初日の行動を終えたのであった。
(2)へ続く・・・(執筆中><)

温玉を別皿にしたらビジュアルが崩壊したローストビーフ丼


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