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カフェオレと塩浦くん(長編小説)

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長編小説『カフェオレと塩浦くん』をまとめたものです。
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#29

カフェオレと塩浦くん #29

カフェオレと塩浦くん #29

 ほんの数時間、私たちはただ寄り添いながら、普段は見ない恋愛映画なんかを見たりしていた。

 なにも話さないし、突発的に獣のように暴れたりもしない。
 肩を寄せ合い、癒しあうようにした怪我をした翼をこすり合わせる。

 気づけば時刻は午後4時を回っており、明日の出社のことを考え、名残惜しくも私は彼の部屋を後にした。
「また、明日ね」と嬉しそうにも悲しそうにも聞こえた彼の言葉が、耳の中で未だに残響し

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