ねこペティREMIX#1「かぼちゃ」(エッセイ「灰かむり姫」)
かぼちゃ
(pumpkin)
みどりの皮の
奥からのぞく
きいろい色が
あざやかで
爪立てすぎて
しかられた
今回登場したねこ:ユメ・2歳オス。好奇心旺盛でいらんことしい。
「灰かむり姫(かぼちゃ)」
「かぼちゃは馬車にはしないでほしい」
事あるごとに妻は言う。かぼちゃはかぼちゃのまま。
畑仕事のサークル内で「美人だがダサい服を着て、すぐ帰る」彼女はずっと謎の人物だった。
継母にこき使われ、家事全般を担ってたと知るのはずっとあとのことだ。
彼女は「灰かむり姫」だった。
でも彼女には運命を変える都合のいいチャンスも、手を差し伸べる王子もいなかった。
だから、最終的に自力で家を飛び出した。
転がり込んだのは大学の自治会室。
僕は、ただで使えるワープロ目当てで遅くまでそこに入り浸ってた、ただのずぼらな先輩だった。
僕の料理の師匠は妻だ。
料理ができたという点が、愛想尽かしを回避させてきた、自慢にならない自負がある。
生き延びるため必要だったのは、魔法ではなく日々の食事。
だから僕は、今日も彼女にごはんを作る。
※ウェブマガジン「にゃなか」掲載作品(2016~18)に書き下ろしエッセイを添えてお送りします。掲載順は当時の連載どおりではありません。
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