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短編小説

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#散文詩

サワガニ

サワガニ

「こんなところで…」

道の先にはうすくて赤い甲羅のサワガニ
最近の強い日差しに干上がりつつもゆっくりと横歩き
だいぶ下ったところに川があるからそこから来たのだろう

「そっちに水辺はないよ」

もちろんサワガニは進み続ける
このままだと車に轢かれるか乾ききってサワガニの一生は終わるだろう
わたしはハサミで切られないようにサワガニの甲羅をそっと持って川へと歩く

「最近は暑いでしょ

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知らないでしょ

知らないでしょ

あーーーー、だるい…
朝に目が覚めて体のだるさを感じたけれど
寝れば治るだろうなんて安易に思ったわたしを殴りたい
治るどころかなんだか熱が上がってる気がする

"こりゃ病院行かないとだめなやつかなーめんどくさいなーひとり暮らしってつらいなー"

などとぶつくさ言いながらもかかりつけの病院の診察券を見ると、午後の診察受付終了時刻までもうぎりぎりだった

"やばいやばい週末サークルあるからそれまでには

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