見出し画像

三人展《シェイクスピアの妹たちの部屋》|ブドゥワール|花モト・トモコ

 装うための部屋、ブドゥワール。お気に入りのドレスで満たされたクローゼットと宝石箱。じぶんの宝物をすべて広げられる空間。鏡の前でのときめきを呼び覚ましてくれる作品をご紹介いたします。

 視界の端に菫色の光が瞬きました。大理石のトレイに載せられた神への供物の如く輝くピアス。陽の光に照らされ陰影は色濃く貴石は燦然と光を放ちます。これはわたしのためのジュエリー ──啓示を受けたような心が通じ合う出会い。

 耳元にシャラシャラと光を踊らせ鏡の前でうっとり微笑む淑女が映し出されるかのよう。彼女の瞳も同じように煌めいているに違いありません。


 カットワークによって生み出された瀟洒な浴室をイメージさせる作品。真珠母貝色のモザイクタイルと客人を待つ未開封の石鹸からリアドのような一室を妄想します。

 タッセルのついた鍵が開くのは心の扉。新たな冒険を思い描くきっかけを与えてくれそうな示唆に満ちたロマンティックな作品です。

 シャビィな漆喰と煉瓦の室内に純白の釉薬を纏った陶器の果物皿は洋梨を抱え、カットワークのレースが蝶のミニバックを惹き立ています。モーヴがかったグレーの素材に刺繍された蝶のモチーフ。留め具は真鍮で持ち手はスネークチェーンかしら…。

 一緒にお出かけするならどんなお洋服を合わせましょう。

 花モト様がこの度ブドゥワールに寄せて下さったイラストレーション作品には多彩な画材での筆致に併せてカットワークも使われています。ドローイングを施し独自のテクスチャーを加えた紙を切り取り制作されたコラージュ。ファッションデザイナーがオリジナルファブリックをデザインするように、あるいは建築家が新たな建材を追求するように構築される花モト様の洗練されたモダニティ。類い稀な感性で創造された装身具はとびきりにファッショナブル。

 私ひとりの部屋に迎えるなら自分を少し背伸びさせてくれるアイテムがいい。花モト様のイラストレーションはこの上ないときめきを留めてくださいます。


花モト・トモコ|イラストレーター →HP
千葉大学卒業後、イラストレーターとして活動。 自ら彩色やドローイングを施した様々なマチエールの紙を用いて制作する切絵作品が特徴。ディテールにこだわった作品は独自のセンスと世界観が魅力。カッシーナ・イクスシー、三越伊勢丹、高島屋、アトレなどの広告、FIGAROjaponなどのファッション誌、ブランドとのコラボによるロゴやパッケージ、ディスプレイや動画など幅広く手掛ける。2022年3月11日ー3月20日、東京妙案ギャラリーで個展を開催。最新作のイラストレーション約40点を発表予定。

ヨネヤマヤヤコ|イラストレーター・ライター →Blog
香りの世界を偏愛するイラストレーター兼ライター。カルチャー・ソロリティ《菫色連盟》にてサロン「香水談話室」を主催。現在はモーヴ街6番地にあるブライオニー荘に隠匿中。
Twitter|@yoneyacco



作家名|花モト・トモコ
作品名|Bijou

色鉛筆・鉛筆・水彩紙       
作品サイズ|33.6cm×26cm
額込みサイズ|44cm×36.4cm
制作年|2018年(アーカイヴ作品)

作家名|花モト・トモコ
作品名|Secret Key

鉛筆・インク・水彩絵具・水彩紙・ボール紙・ジェッソ
作品サイズ|33.6cm×26cm
額込みサイズ|44cm×36.4cm
制作年|2019年(アーカイヴ作品)

作家名|花モト・トモコ
作品名|Butterfly Bag

鉛筆・水彩絵具・水彩紙・ボール紙・ジェッソ
作品サイズ|33.6cm×26cm
額込みサイズ|44cm×36.4cm
制作年|2017年(アーカイヴ作品)

この記事が参加している募集

オンライン展覧会

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?