送り火
我が街で毎年行われる花火大会。
昔から祭りの類が好きだった訳でもなく、いつもは閑散とする筈の河原が人でごった返す。
花火なら自宅のベランダからチラチラ垣間見るので事足りる。
でも、この街に縁があって住んで20年経つと、いつしかこの花火大会が夏の終わりを告げるものとして感慨を覚えるようになった。
夏は特に苦手な季節だけに、早く過ぎ去ってくれてもいい筈ではあるが、また一つの季節を見送る気持ちにもなって、無常感に浸ることにもなる。
今の時代が良い方向に向かっている感覚はまったくと言って良いほどに無い。
ただ、だからといって今生きている日々を自暴自棄に過ごす訳にもいかない。
だから、まずは自分自身が健康で居て、家族をはじめ自分の身の周りの人達が健康でいるようにしないといけない。
暑い季節は確かに嫌ではあるけれど、また季節が一巡りして暑いなと思えるのは、当たり前に見えて、実はそうでもないのかもしれない。
来年もまた、花火が満開になる終わりを見届けていよう。