こどもの「退行」の受け皿になる
自己紹介
こんにちは。臨床心理士のかちゆみこです。
高1、中2、小3、小1の4人のこどもを子育て中でもあります。
4人のうち、上の子二人が不登校経験しています。
プロフィールの詳細は、以下をご覧ください。
新年度は、不登校かどうかに関わらず、どんなこどもたちにとって、とてもストレスフルな毎日になります。
今回は、この時期のこどもたちに起こっていること、親としてできることをお伝えしていきたいと思います。
そもそも「ストレス」って!?
「ストレス」とは、もともとは物理学の用語で、物体の外側からかけられた圧力によって、ゆがみが生じた状態のことを指しています。
転じて、心理学では、外部から刺激を受けたときに生じる緊張状態のことを言います。
「外的刺激」とは、気温や体調不良、人間関係など、日常の中で起こる様々な「変化」がストレスの原因になります。
ここで注意しておきたいのは、進学・進級・妊娠・出産など、「喜ばしい」お祝い事も「変化」という刺激なので、ストレス要因になり得るということです。
大人ももちろん日々、ストレスを感じてはいますが、こどもの方がストレスに対する耐性が弱く、影響を受けやすくなります。
例えば、「入学」「新年度」「クラス替え」などという新しい環境は、それだけでも、こどもにとって大きな影響を与えていることになります。
こどもが入学・進級したばかりのこの時期、親は「こどもたちはいつも以上にストレスを感じやすい」ということを頭の片隅に入れておくといいでしょう。
ストレスへの耐性を身につけるには?
言ってみれば、私たち人間にとって、この現代社会はストレスだらけ。
ストレスへの耐性力は、この世を生きるのに必要なチカラのひとつです。
では、どうやって適切なストレス耐性を身につけていけばいいのでしょう?
それはこどもたちの「意志」や「努力」で何とかできるものなのでしょうか?
いえいえ。答えは「NO」です。
そもそも、こどもたちは、ストレスに弱く、自分が今、ストレスを抱えた「緊張状態」にあることすら、なかなか自覚できません。
そんなときこそ、私たち親・大人の出番です。
まずは親がこどもの様子をよく観察し、今、どんな状態にあるのか気づくこと、それから、適切なケアやサポート、対応を選択していきましょう。
ストレスにさらされている時
こどもたちは何かしら感じてはいても、自分の中で起こっていることを言葉で上手に伝えることができません。
親として、意識しておきたいのは、こどもの様子に常日頃から興味をもち、観察することです。
ここで大切なのは、こどもたちを観るときに、親の中にある「ジャッジメント」や「比較」は一旦、脇に置いておくということ。
コツは、「今、この子はこんな状態なのかもしれないなぁ」と、ぼんやりと空に浮かんでいる雲を眺めるような感覚で、こどもを見つめてみること。
ストレスにさらされているサインとして、最もわかりやすいのは、体調の変化です。
・おなかが痛い、頭が痛い、足が痛い、体が重い、眠い、
などなど。
もし、こどもが体調の変化を訴えたときは、耳を傾け、「よくがんばっているね~」といたわりの声をかけて、痛がっている場所をさすってあげましょう。
こどもがいやがらなければ、体がどんな感じがするか、詳しく聞いてみてもいいかもしれません。
こどもが感じていることを否定せず、「あぁ、そんな風に感じてるんだね~」と親がそのまま受け入れてくれるだけで、こどもは安心して、自分の体の感覚を感じきれるようになります。
親が一緒にいてくれて、自分の状態をありのまま認めてくれていると、こどもは、自分の中の「いやな感覚」(ストレス)も、流れる雲のように、刻一刻と変化していって、いつかは小さくなったり、消えてしまうことを身体で覚えていくでしょう。
また、ストレスにさらされた時、「退行」という形でも表面化しやすくなります。
わかりやすい言葉で言うと、「あかちゃん返り」ということですが、実はもっともっと複雑で、その出方は多岐にわたります。
・おねしょ
・爪がみ
・ちょっとしたことで、泣きやすくなる
・理由もなく、イライラ気味
・ものに当たり散らす
・「暴君」のようにふるまう
・独占したがる
・すねる
・わざと嫌がることをする
・赤ちゃん言葉を使う
・離れたがらない
・スキンシップをとりたがる
などなど
これは、あくまで一種で、「退行」は今の年齢より前の成長段階に(一時的に)戻ってしまうことです。
大人でも、家族のだれかにイライラを理不尽にぶつける など、『退行』は誰にでも起こり得ます。
「退行」は安心できる関係だからこそ生じる
私たち親世代の多くは、社会の中で「甘えるのはタブー」とされ、早く成長するように、早く自立するように、育てられてきたのではないかと思います。
私もその一人です。
なので、長男・長女が小さい時は、「早く自立させよう」と、なかなかこどもたちの甘え・「退行」を受け入れる器が育っていなくて、わざと冷たく接したり、「自立できなかったらどうしよう」と悩み厳しくしたり、激しく叱り過ぎては自己嫌悪に陥ったりしていました。
成長は本来、一直線・一方向に進んでいくのではなく、「行きつ戻りつ」しながら、ぐるぐると曲線を描きながら進んでいくものです。
「退行」が生じることは、決して悪いことではありません。
むしろ、そのように「退行」することで、より人として生きるための「根っこ」「土台」を強化するチャンスが到来しているということではないかな?と私は感じています。
(もちろん「退行」をしっかりと受け止めることができたら・・・の話ですが)
また、「退行」は、安心できる関係性だからこそ生じるものです。
今はこどもたちに「退行」のサインが見られたときは、「腰を据えてこどもたちと関わるとき」と覚悟を決め、こどもたちのあるがままを受け入れる『受け皿』になれるよう、心掛けています。
不登校や引きこもりも一種の「退行」かもしれない
そんなこんなで、長男・長女のときは私自身もこどもたちの「退行」に戸惑いつつ、なかなか彼らのニーズを受け入れきれずに、成長してきたわけですが、
「不登校」という形でその課題が表面化して、「育て直し」のチャンスをもらったのかもしれないと今は感じています。
「学校」という外の世界ではなく、「家」で母である私と一緒に過ごすことは、ある意味で、長男・長女にとっては、乳児期から満たされてこなかったニーズを満たし直す時期だったのかもしれません。
「退行」⇒育ち直しの繰り返しこそ、根っこが育つ=ストレス耐性が身につく
先ほども書いたように、私は「退行」することで、より人として生きるための「根っこ」「土台」を強化するチャンスが到来していると考えています。
大人が、「戻ってもよし!」「戻ったときが育て直しのチャンス!」と大きな器でこどもたちの成長(もっと言えば、自分の成長)をゆったりと見守り、大人も一緒になって成長していこうと決めたとき、それこそ、「根っこの育ち」つまり「ストレス耐性」へとつながると思います。
言うは易し、行うは難し。
次回、2024年4月12日(金)15時 発信予定のCPCコラムでは、具体的にうちの次女ちゃんの事例を紹介しながら、今の時期に親ができること(セルフケアも含めて)をお伝えしてみたいと思います。
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