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SS【番町〇〇屋敷】♯毎週ショートショートnote

お題「強すぎる数え歌」

【番町〇〇屋敷】(410文字)


「ここ、いいですね」
 結婚を控えて新居を探していた僕は、閑静な住宅街でいい物件を見つけた。人気の一番町の一戸建て。少し広いが条件ぴったりだ。奇跡的に家賃も予算内である。
「ありがとうございます。それでは早速ご契約を…」
 不動産屋はセカセカと書類を用意する。しかし、そのセカセカ感が少しばかり気になった。

「まさか事故物件じゃないですよね?」
「え、いえ、まさか」
「後からわかったら訴えますよ」
 僕は探りを入れてみる。どうも怪しい。
「実は…」
 ほら、やっぱり。
「夜になるとどこからともなく数え歌が聞こえてくるのです。それだけなんですよ。でもそれが、あるタイプの方には影響が強すぎる数え歌で」
 どんな歌なのかと聞くと不動産屋は律儀に歌ってくれた。

…一つ、人よりハゲがある
…二つ、ふもとにハゲがある

…十でとうとうつるっぱげ~

「前の居住者様は元々髪が薄かったので、歌のストレスで十の段階に。でもお客様はまだフサフサですし!」

 僕は契約をやめた。


おわり

(2023/11/20 作)

たらはかに様の11/19~11/25のイベントに参加させていただきました☆

またくだらぬ話を書いてしまった…
(石川五ェ門風に)

「ハゲの数え歌」は誰が作ったものかはわからないそうですが、昭和の時代に子どもたちの間で流行ったのだとか。
…たしかに、『いなかっぺ大将』のメロディに乗せて歌ってた記憶が。
(;・∀・)

※参考にさせていただいたサイトはこちら


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